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世界で「リスクあり」と判断された食品が日本に流れ込んでいる…「危険な輸入食品」の現実

2023年03月15日 | 自然・農業・環境問題

NEWSポストセブン 2023.03.14

 農産物をめぐる科学技術の進歩は、生産量を飛躍的に増大させ、価格を押し下げた。その一方で、「食の安全」の観点から安心して口にできない食品は、世界各国で規制され、排除されつつある。そんな中で、“誰も口にしたがらない危険な食品”を大量に輸入し、消費している日本は、輸出大国アメリカから、あろうことか「ラスト・リゾート(最後の楽園)」とさえ呼ばれている──。東京大学教授・農業経済学者の鈴木宣弘さんが危険な輸入食品について綴る。(短期連載第2回。第1回から読む )

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 新型コロナや中国の爆買い、ウクライナ紛争に異常気象。未曽有の事態が重なって、ただでさえ食料自給率の低い日本は、あと何年も経たないうちに恐怖の「3食、芋だけ生活」が訪れ、最悪の場合7200万人が飢えて死ぬ──そんな“未来予測”を前回でレポートした。そもそもいま私たちが口にしている野菜や果物、肉や牛乳も決して安全とは言えない。

 7割近くの食品を海外からの輸入でまかなう日本人は、言い換えれば「海外に胃袋を占領されている」状態でもある。今回は、輸入食品に伴う「いまそこにある危機」についてお伝えする。

《小麦は人間が直接口にしますが、トウモロコシと大豆は家畜のエサです》

 これはアメリカ穀物協会の幹部が2008年、あるニュース番組でアメリカ人に向けて発言した内容だ。“家畜のエサ”であるトウモロコシと大豆を“食料”としてアメリカから大量に輸入している日本人のことを彼らがどう見ているか、よくわかる一幕である。

農業が心配なじゃがいもと小麦

 日米の食品輸入におけるいびつな力関係の発端は、1975年にさかのぼる。当時アメリカから輸入していたレモンから、膀胱がんの原因物質とされ日本では使用が禁止されていた『オルトフェニルフェノール』や『チアベンダゾール』などの防カビ剤が検出された。そのため日本はレモンを海洋投棄し、アメリカに対して使用禁止を求めた。

世界最強の国ランキング 1位は?

 しかしアメリカはこれに激怒し、当時の日本経済の支柱であった自動車の輸入を制限すると脅しをかけた。ひるんだ日本は「農薬としては禁止しているが、収穫後に散布したから『食品添加物』と見なす」と規制を緩和し、発がん性の禁止農薬を日本に持ち込むことを許してしまったのだ。

 以来、日本は同様の「規制緩和」をほかの食品にも適用させている。特に筆者が懸念しているのは「じゃがいも」と「小麦」だ。

 アメリカ産のじゃがいもには『ジャガイモシストセンチュウ』という害虫が発生しており、輸入したじゃがいもとともに日本に広まれば国産のじゃがいもにも危険が及ぶ。そうした理由で、長らく日本はアメリカからの生鮮じゃがいもの輸入を禁止していた。

 実際、1990年代まではじゃがいもの国内自給率が90%程度あったため、輸入に頼らずとも国内でまかなえることも大きな理由だった。

 しかしその後自給率は低下の一途を辿り、66%まで落ち込んだ現在、ついに「アメリカ産じゃがいも」に手を出さざるを得ない状況になってしまう。そこで2020年に日本が取った方法は、かつて農薬つきのレモンを輸入したときと同様に、害虫を駆除するための強力な農薬である『ジフェノコナゾール』を「食品添加物」と見なす、というルール変更だった。ジフェノコナゾールは動物実験により発がん性や神経毒性が指摘されており、国内ではほとんど使われていない。

 しかも日本は輸入解禁に伴い、じゃがいもにおけるジフェノコナゾールの残留基準値を20倍に緩和した。

 残留農薬が問題になっているのは小麦も同様だ。

 農林水産省が2017年に行った調査によれば、日本におけるアメリカ産の小麦の97%、カナダ産の100%から『グリホサート』と呼ばれる農薬が検出された。

 グリホサートは、発がん性の疑いが指摘されているほか、人間の体内に吸収されると、腸内細菌を殺し、さまざまな疾患を誘発することが懸念されている。

 一部ではこの懸念を否定する見解があるものの、アルゼンチンやオーストラリア、ブラジル、ベルギー、デンマーク、イギリス、オランダ、スペイン、スイスなどで規制が強化される方向にあり、アメリカにおいても今年から消費者向けの販売を停止することが決まっている。つまり世界はグリホサートにリスクがあるととらえているのだ。しかし農民連食品分析センターの調査(2019年)によれば、日本で売られている食パンのほとんどからグリホサートが検出されている。

 その半面で数少ない「国産」「十勝産」「有機」の表示があったパンからは検出されていないことも明らかになっており、海外産の小麦がいかに危険であるかがおわかりいただけるだろう。

 にもかかわらず日本はそれに逆行し、2017年に小麦はそれまでの6倍、そばは150倍にグリホサートの残留基準値を緩和した。

 残念ながら日本人の命の基準値はアメリカの意向で決められていると言わざるを得ない状況が続いているのだ。

世界一、遺伝子組み換え食品を食べている

 輸入食品の汚染は農薬だけに留まらない。

 アメリカ農務省次官補だったタープルトラ氏もまた2008年、ニュース番組で「日本人は1人当たり、世界で最も多く遺伝子組み換え食品を消費しています」と発言した。

 実際、日本には大豆やトウモロコシをはじめとした遺伝子組み換え食品が次々に入ってきている。さらに恐ろしいのは今後、遺伝子組み換え食品かそうでないかが非常に見分けづらくなることだ。

 今年4月から食品表示のルールが変更され、「遺伝子組み換えでない」と表示できるのは「分別生産流通管理をして、遺伝子組み換えの混入がないと認められるに限る」場合のみになる。一見、ルールが厳格化されて、より安全になったと思えるかもしれないが、現実的に考えればあらゆる生産地から一括して大量に輸入される穀物に、遺伝子組み換えのものが一切入っていないと断言することはほぼ不可能だ。つまり、この変更によって国内の食品のほとんどは「遺伝子組み換えでない」と表示できなくなり、実質的に遺伝子組み換え作物を作っている海外企業の利益を増すことになる。

 実際、日本にこの「ルールの厳格化」を要求していたのはそうした海外の農業系企業であるとの証言もある。

 知らぬは“植民地”の日本人ばかりなのだ。

ホルモン剤・エストロゲン使用の食肉が流通

 世界からリスクがあると判断された食品が日本に流れ込んでいるのは食肉も同様だ。

 2020年11月、台湾でアメリカ産の豚肉の輸入に反対する大規模なデモが起き、与野党を巻き込む政治的な大論争を経て、輸入禁止にするかどうかを問う住民投票が実施された。その理由は牛や豚などの飼料に、添加物として使われる科学物質であり興奮剤・成長促進剤としての効果がある『ラクトパミン』という物質が使われていたことだった。

 ラクトパミンは人体への有害な影響が指摘されており、実際にラクトパミンを使用した豚の肉や内臓を食べて中毒症状が起きた例も報告されている。それ故にEUや中国、ロシアでは国内使用・輸入ともに禁止されている。

 台湾の住民投票は、アメリカ追従派の巻き返しなどにより輸入禁止は否決となったが、国を揺るがす大論争が起きたのは事実だ。

 一方、日本においては、国内での使用は禁止されているにもかかわらず、輸入に関してはサンプル検査により、残留基準を満たしているかチェックしたうえで認められている。しかしそもそも、その基準が本当に安全なのか、また輸入する肉すべてを検査するのではなく少量のサンプルのみで本当に安全性が担保できるのかは大きな疑問と懸念が残る。

 いちばんの問題は、世界的な大論争を巻き起こしたラクトパミンの問題が日本ではほとんど報道されず、われわれが「食の安全」に無関心なまま黙々と有害物質の残留した牛や豚を食べていることだ。

 私たちが「ザル」であることをいいことに、ホルモン剤が投与された危険な「肥育ホルモン牛肉」も日本に入ってきている。

 ホルモン剤とは牛の成長を促進させる目的で使用される化学物質であり、代表的なものには女性ホルモンとして有名な『エストロゲン』がある。肥育時に投与することで成長を早めることができるとして用いられているが、乳がんの細胞を増やす原因になると指摘されており、ラクトパミンと同じく日本国内では使用が認められていない。

 当然、それは世界的な傾向でありEUはアメリカ産の牛肉を成長ホルモンが入っていることを理由に禁輸している。

 欧米では消費者も牛肉の安全性に敏感で、スーパーには「ホルモンフリー」と表示された牛肉が売られ、通常の牛肉よりも4割ほど割高になるにもかかわらず、需要が高まっているという。

 しかし、日本はアメリカの圧力に負け、輸入肉に関しては「検査をすれば売っていい」とほぼ“素通り”に近い状態でホルモン牛肉を認可しているのが現状だ。

 恐ろしいのは、アメリカ産の牛肉だけでなく、オーストラリアやニュージーランド、カナダ産の牛肉であってもホルモン剤からは逃れられないことだ。各国とも日本の検査が「ザル」であることを見抜き、「危ない牛は日本へ」を合言葉にするかのようにホルモン牛肉を次々に日本に輸出している。オーストラリアに至ってはEU向けの牛にはホルモンフリーの牛肉を輸出する一方で、日本向けにはホルモン入りの牛肉を出荷している状況だ。

 ホルモン剤の弊害は乳製品にも蔓延している。

 アメリカの化学メーカーが開発した『ボバインソマトトロピン』と呼ばれる、ホルスタインに注射すれば乳量が3割増えるというホルモン剤が、1998年に医学雑誌『ランセット』と『サイエンス』上で「乳がんは7倍、前立腺がんも4倍罹患リスクが上がる」という論文が発表された。アメリカではそれを受けてスターバックスやウォルマートなど大手飲食店やスーパーが「不使用」宣言をしている。

 日本においても牛へ直接投与することは禁じられているが、それを使用したアメリカ産の乳製品に関してはホルモン牛肉と同様に“素通り”して入ってきているのが現状だ。

消費者の行動が事態を変える

 除草剤、防カビ剤、ホルモン剤などの残留、遺伝子組み換えの不安……。食料自給率が40%を割るわが国において、いま口に入るものの6割以上がそうした「危険な食べ物」であり、私たちの体は「実験台にされている」と言っても過言ではない。

 頼りになるはずの検査は「ザル」であり、政治家たちは食料自給率よりも軍事費に予算を割こうとするいまの日本において、信じられるものは何もないのではないか。明日から、家族に何を食べさせればいいのだろうか。途方に暮れる読者も多いだろう。

 しかし、希望を捨ててはいけない。筆者は、消費者の行動こそが事態を変えていく最も大きな力になると断言する。実際、アメリカでボバインソマトトロピンが大問題になったときも、消費者がそれを使用している乳製品を排除するような運動を始めたために、スターバックスやウォルマートは「不使用」宣言をした。

 台湾でラクトパミンが大問題になったのも、市民による大規模デモが発端だった。

 つまり、「政治や行政が動かなかったとしても、われわれは負けない」と自分たちで示すことが重要なのだ。

 最終回はその具体的な方法や、本当に安全な食品を手に入れる方法について解説する。

(次回につづく)

【プロフィール】

鈴木宣弘(すずき・のぶひろ)さん/1958年三重県生まれ。東京大学農学部卒業後、農林水産省に15年勤務の後、農業経済学者として学界へ。九州大学大学院教授などを経て2006年より東京大学大学院農学生命科学研究科教授に。

※女性セブン2023年3月23日号


体調いいですか?
ホルモン異常、腸内フローラの乱れ、なかなか氣づかないですよね。
ワクチンのせいなのか、12年前の放射能内部被ばくのせいなのか、はたまた農薬のせいなのか?
これだけオンパレードな状態では仕方のないことです。
ゲノム編集技術もすでに。
農薬と発達障害の関係性も言われています。
おまけにほとんどがチンして食べてます。
小麦のお菓子+砂糖・人工甘味料。
遺伝子組み換えワースト1、それにつけてもおやつは『カール』、ですよ。
ご自愛ください。


自衛官中途退職 前年度比35%増

2023年03月14日 | 社会・経済

2021年度5742人 ハラスメント横行・任務激化

「しんぶん赤旗」2023年3月12日

 2021年度の自衛官の中途退職者が前年度比で約35%増加し、直近15年間で2番目に多い5742人に達したことが、防衛省がこのほど公表した資料で判明しました。

 岸田政権は昨年閣議決定を強行した安保3文書で、敵基地攻撃能力の保有などと並ぶ「戦争国家」づくりの重要な柱として「人的基盤の強化」を打ち出していますが、現場自衛官が任務激化の中で深刻な矛盾にさらされている実態が浮き彫りになりました。

 防衛省は本紙の取材に、中途退職の理由として「民間企業等への就職」「進学」「家庭の事情」「性格不適合」(21年度集計)を列挙。中途退職抑制のため、23年度から民間会社を活用するとしています。

 資料は安保3文書に基づき、防衛省内で開かれた「防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会」の第1回会合(2月22日)で配布されたもの。それによれば、イラク、インド洋などに海外派兵が拡大した07年度に中途退職者が5952人に達した後、09年度からおおむね4000人前後で推移。17年度から増加傾向が続き、21年度に急増しました。重大なのは、現場の中核である「曹」や、3尉以上の「幹部」の中途退職が直近15年間で最多になっていることです。組織劣化の進行をうかがわせるものです。

 中途退職者激増の背景として、任務激化に伴う心身の負担や、ハラスメントの横行が指摘されています。21年度の防衛省・自衛隊内でのハラスメント相談件数は、16年度に比べ約9倍に増加。最近では、元自衛官の五ノ井里奈さんが隊内で性暴力を受け、退職に追い込まれた経緯を告発しています。

 「自衛官の人権弁護団・北海道」の佐藤博文弁護士は、現職自衛官や家族からの退職に関わる相談が増えており、「22年度はもっと増える」との見通しを示しています。

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自衛隊が隠してきたハラスメントの実態の一端…「絶望の自衛隊」著者が語る 離職続出で人材確保の危機

「東京新聞」2023年3月6日

 自衛隊在職中に性暴力を受けた五ノ井里奈さんの告発をきっかけに、防衛省はハラスメントの実態解明を進めている。これまでもパワハラなどによる自殺や訴訟は後を絶たず、中途退職も新規採用の3割を超える。防衛費の増額を急いでも、運用する人材を確保できるのか。自衛隊を取材し続けるジャーナリスト三宅勝久さんに聞いた。(稲熊均)

◆防衛省がセクハラ横行を知らなかったはずはない

 五ノ井さんは告発後、インターネットを使い自衛隊内におけるセクハラの被害についてアンケートし、現職や元隊員から140件以上の回答を得ている。内容の一部を挙げると—。

 ▽(女性隊員の胸などを撮影した)エックス線写真を皆でまわして眺める▽飲み会で体を触ったり、男性隊員の局部に服の上からのキスを強要▽宴会で野球拳に参加させられ、服を脱ぐことを強要される…。

 三宅さんは、こうした多くの回答からも「五ノ井さんへの性暴力は一端にすぎないし、防衛省が深刻なセクハラが横行している実態を知らなかったはずはない。それでも公になることはなかった。これまでも暴力やいじめは、自殺した遺族や退職した隊員が訴訟を起こさなければほとんど明らかにならなかった」と話す。

◆閉鎖体質が改まらない限り、自浄作用は期待できない

 2月21日には、陸上自衛隊松山駐屯地で勤務していた男性がうつ病で自殺したのは過重勤務やパワハラが原因と、両親が訴えていた裁判で、地裁は国の賠償責任を認めた。ただ、認定したのは過重勤務で、パワハラの訴えは退けた。

 三宅さんは自衛隊内での暴力、ハラスメントをめぐる過去の多くの裁判で取材を重ね、近著「絶望の自衛隊」(花伝社)など数冊の著作で告発者の声を伝えてきた。裁判では勝訴できた場合でも、原告が大きな労力と負担を強いられる。

 「損害賠償請求は原則として原告側に立証責任がある。情報は自衛隊が握っていて開示には高いハードルがある。五ノ井さんのケースのように非を認めるのはまれ。組織の隠蔽いんぺい、閉鎖体質が改まらない限り、自浄作用は期待できない」

◆好感度と大量離職とのギャップ

 ハラスメントとの因果関係ははっきりしないが、隊員の離職で自衛隊の人材確保が危機に直面しているのは事実だ。2020年10月に開かれた財務省財政制度等審議会の部会で提出された資料によると、自衛官の中途退職者はそれまでの10年間で約4割増加し、年間約4700人。新規採用者の3分の1に相当する。

 一方で近年、国民が自衛隊に抱く好感度は高い。内閣府の世論調査で、自衛隊に良い印象を持つとの回答は最近10年、9割前後を維持する。東日本大震災などでの救援活動がイメージを高めたとみられる。宮城県出身の五ノ井さんも「避難生活を支えてくれた自衛官にあこがれた」ことを入隊動機の一つに挙げている。

 三宅さんは、自衛隊の広報PRもあり高めてきた外からの印象と、実態のギャップが隊員個々の「失望」や「絶望」にもつながっていると強調する。「訓練や雑務で休む間もわずかなのにもかかわらず、命令の名の下に上司の私用や慰みのような労務も課せられる。それでも気に入られないといじめや暴力を受ける。失望して早々に辞める者もいれば、心を体を蝕むしばまれ、人生に絶望する者もいる」

 政府は今後、5年間で防衛費を大幅に増額する。最新鋭の装備導入も急ぐ方針だ。だが三宅さんはこう懸念する。「人材確保もままならないのに新たな装備の訓練や運用で職務時間が激増する恐れもある。今でも限界に近い過労状態の部隊もあるのにさらに劣悪な職場環境になれば、ハラスメントの横行、拡大につながりかねない」


 国民からのアンケートを取ると、自衛隊員を増やすべきだと答えた国民が多数だったようだ。しかし、自分や身内には入ってほしくないという。「好感度」と現実のギャップか?「戦争」と「平和」の板挟みか?


古賀茂明氏「アベ政治は終わったはずなのに、何か得体の知れないものに支配されている」

2023年03月13日 | 映画

日刊ゲンダイDIGITAL  2023/03/13

 衝撃的な銃撃死から半年以上が経ったが、岸田政権や自民党を見ていると、いまだこの国は安倍晋三元首相に支配されているのかと思わずにはいられない。「彼がもたらしたのは、美しい国か、妖怪の棲む国か?」──。そんな視点で検証したドキュメンタリー映画「妖怪の孫」が今月17日から公開される。企画プロデューサーを務めたのは、元経産官僚のこの人。2時間のストーリーから何が見えるのか。

 ──選挙、憲法、官僚、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)、地元・下関など、映画ではいくつものテーマが扱われていますが、見どころは?

 もちろん全部僕が手掛けているわけじゃないので、驚きがたくさんありました。中でも、安倍さんの幼少期や性格も熟知している野上忠興さん(政治ジャーナリスト)のパートはすごく面白い。「アベノミクスなんて見せかけで、要領のいいやつだった」と。アベ政治の本質を突いているなと思いましたね。下関の元市議の女性の話も面白い。東京では見えてなかった地元の安倍さんのことが浮き上がってきました。

 ──企画プロデューサーに就かれた経緯は?

 企画の発想は、菅前総理を題材にした映画「パンケーキを毒見する」や「新聞記者」のプロデューサーであるスターサンズの河村光庸さん。実は「パンケーキ」を撮っている時から、河村さんは「本当は俺がやりたいのは安倍さんなんだよな」と言っていたんです。それで、「パンケーキ」と同じテレビマンユニオンの内山雄人監督に頼むとか、具体的に動き始めたところで、昨年6月、河村さんが急逝してしまった。実は、亡くなる前夜に河村さんから電話がかかってきて、「古賀さん、とにかくこの安倍の映画を出さないと、俺は死んでも死に切れないんだ」という話をしていたんです。翌日に亡くなったと知って、びっくりしたんですが、その後、監督らから僕に「プロデューサーをやってくれませんか」という話があって。「えー、できるわけないよ」と言ったんだけど、結局、お引き受けしました。

 ──河村さんの「遺言」みたいなものだったんですね。

 もともと製作サイドからは、「安倍氏を扱う映画だから風当たりが強くなる。打たれ強い人が(スタッフに)欲しい」というリクエストがあったそうです。河村さんの企画にずっと携わってきたから引き継いで欲しいというのと、社会的、政治的に難しい映画だから、そこを支える役割。その2つをやってくれということでした。

 ──主役の安倍氏まで亡くなってしまって、製作は大変だったのでは。

 もうできないんじゃないか、という時期はありました。安倍さんの呪縛から解かれて自由になるかと思ったら逆なんですよ。「死者に鞭を打つのか」と、日本的なあの言葉です。監督は最初、いろんな政治家にインタビューしようと考えていたけれど、野党議員も逃げちゃう、スポンサーも引いていくみたいな感じでね。ただ、意外だったのは、松竹が新宿ピカデリー(映画館)をおさえているからやろうと決断してくれたことです。きちんと客観的に見つめ直した映画を見てみたいという人はたくさんいるんだろうな、ということはみんな分かっているんですよ。松竹の決断は、エンターテインメント業界として、観客が求めているものを世に出すのが我々の仕事だ、という筋を通してくれたと感じています。

 ──古賀さん自身は映画で覆面官僚2人にインタビューしていました。

 安倍さんを評価できる人っていうのは、各省庁で官房に近いところにいた人とか、内閣府や内閣官房にいて官邸に出入りするなど、中枢にいた人じゃないと分からないんですね。そういう経験のある2人ですが、想像以上に深い絶望にあるという感じでしたね。

 ──「我々が習った憲法学では集団的自衛権は違憲。これからは合憲と答えないと公務員になれない」という言葉には背筋が凍りました。法律を作る官僚が「もう憲法は変わった」とはっきり言う。すごいことだな、と。

 「テロだ」いう言葉も出ました。国家の根本規範である憲法を正当な手続きを踏まずに変えることは、暴力は使わずとも、テロ以外何ものでもない、ということですよね。あの安保法制反対のデモまでは、わりと一般の人が参加するムードがあった。でも結局、あれだけやっても止まらなかったっていうことが、その後の日本の一般市民に、相当影響を与えたと思います。何も変わらないという諦めになってしまった。あれが止まっていたら、日本はまったく変わっていたんじゃないかと思います。

 ──覆面官僚の「そんな勇気ある官僚は残念ながらいない。(官僚は)臆病で弱くて卑怯な人間なんです」という言葉も強く印象に残りました。

 財務省の公文書改ざんで自ら命を絶った赤木俊夫さんについて聞いた部分ですね。妻の雅子さんに聞くと、最初は財務省本省からもお花を送った人がいたそうなんですが、途中から音信不通になったと。裁判になったこともあるけれど、赤木さんに花を手向けるとか、お線香をあげるなどしたら、きっと安倍さんに睨まれるという恐怖感が官僚にはあるんだろうな、と思っていて、それを聞いてみたんです。そうしたら出てきたのが、あの名ゼリフでした。

 ──「妖怪の孫」というタイトルは直接的な意味だけではないですよね?

 河村さんが「タイトルは妖怪の孫だ」と。ただ当初は、「昭和の妖怪」と呼ばれた岸信介元総理の孫で、脈々と伝わる保守の思想……というところまでだった。岸さんのことをあまり知らない人もいるし、僕はタイトルとしてどうかな、と思っていたんです。だけど、旧統一教会のこともあったし、安倍さんが亡くなった後でも岸田総理は「アベ的」なものを否定できず、防衛費のGDP比2%とか原発の新増設とか、むしろ先鋭化している。それで、後から解釈を付け加えたんです。「妖怪の孫」とは、岸さんの話をしているというより、もう安倍さんはいないし、そういう意味ではアベ政治は終わっているはずなのに、何か得体の知れないものに支配されているという状況。それを許してしまうのは、もちろん岩盤保守層の人たちであり、それをしっかり固めた安倍さんの最大の功績です。ちょっとやそっとじゃ壊れない。

 ──まさに日本中が妖怪に支配されている。

 今の日本のしくみは、憲法が想像していた世界を完全に逸脱しているんですよ。憲法では国民主権であり、国民が国民の代表である国会議員を選び、国会が国権の最高機関です。その国民の代表である国会が選んだ内閣総理大臣が政治をするのだから、この人に任せれば国民のための政治が行われるという前提なんですね。しかし、内閣が国民のために働かない、あるいは米国のために働いているとしたら……。そんな酷い内閣は選挙で落ちるでしょ、というのが憲法のしくみなんです。ところが、何をしたって選挙で勝っちゃう、というのが安倍政権だった。もうどうすればいいのか分かりませんよね。国民が正しいんだってことであれば、国民が勝たせたんだから、安倍さんがやってることが正しいと、安倍支持派の人は言うでしょう。公約を掲げて選挙に勝ったんだから、その公約を前に進めて何が悪いのかと。でも、最後は国民自身に返ってくるんです。映画にアニメが登場します。人の心の中に妖怪が仁王立ちしているのは、「国民自身がなにか変えられちゃっていませんか」というメッセージになっている。もう一度、みんなで考え直してみようというメッセージです。4月に統一地方選や国政の補欠選挙がありますから、映画を見て、よく考えてもらいたいなと思っています。

(聞き手=小塚かおる/日刊ゲンダイ)


とうとう袴田巌さんの再審開始が認められました。
おめでとうございます。

 


「裁判所の見解で本当に学校の教育が成り立つのか」と原告の公立小教員。最高裁が上告棄却、残業代支払い認めず

2023年03月12日 | 教育・学校

「教員の業務は増える一方だ。担任がクラスの子ども1人1人のことを考える余裕すら奪われている」(原告)

金春喜

ハフポスト 2023年03月12日 

「突然の知らせに唖然とした。裁判所には、教員が長時間労働を強いられる現状を厳しい目で見てほしかった」

3月8日夕、埼玉県の公立小学校に勤める男性教員(64)は、弁護士から届いたメールに肩を落とした。

教員の時間外労働に残業代が支払われないのは違法だとして約240万円の賃金を支払うよう、男性が埼玉県に求めた訴訟について、最高裁判所が上告を棄却したとする資料が添付されていたという。

1審・さいたま地裁判決に続いて男性の請求を退けた東京高裁の判決が確定し、男性の敗訴が決まった。

「裁判所の見解で本当に学校の教育が成り立つのか」

公立校の教員の月給に4%(「教職調整額」)を一律に上乗せして支給する代わりに、残業代は支払わないーー。1971年に制定された「給特法」は、教員の給与についてそう定めている。

ただ、同法では、▽実習▽学校行事 ▽職員会議▽非常災害などに必要な業務ーーからなる「超勤4項目」以外の残業を命じてはならないとしている。

男性は、超勤4項目に当てはまらない業務による時間外労働の分の残業代を、労働基準法に基づいて支払うよう訴えた。こうした時間外労働が2017年9月~2018年7月の期間、月平均60時間分の残業に上ったと主張していた。

東京高裁は2022年8月に下した判決で、教員の職務や勤務形態の「特殊性」に触れ、「教員の自主的で自律的な判断に基づく業務と、校長の指揮命令に基づく業務が日常的に渾然一体となり、正確な峻別は困難」と指摘。

その上で、教職調整額が支給されていることや、「厳密な時間管理を前提にできない」とする教員に労働基準法の賃金制度は「なじまない」ことを理由に、残業代の請求を退けた。

男性は上告。最高裁第2小法廷は2023年3月8日付の決定で、「裁判官全員一致の意見」として、男性側の主張は上告するための理由に当たらないとの見解を示し、棄却した。

男性はハフポスト日本版の取材に、「学校現場の教員の業務は管理職に適切に管理されないまま、増える一方だ。今や担任がクラスの子ども1人1人のことを考える余裕すら奪われている」と説明。

さいたま地裁の判決では、時間外勤務の労働時間に保護者への対応や児童のノートの添削が含れず、翌日の授業準備についても「1コマ5分」しか認定されなかった。こうした点を踏まえ、「裁判所の見解に則ることで本当に学校の教育が成り立つのか疑問。国が現状を改善する必要がある」と話した。

給特法をめぐり、文部科学省は2022年に有識者会議を設置。今後、教員の勤務実態の調査結果をまとめた上で、給特法の見直しについて議論する方針だ。


最近の裁判所は時代に取り残されている感を否めない。
明日「袴田事件」の再審決定されるか注視。

今日は融雪剤(薪ストーブの灰)をまいた。
上下ヤッケを着てマスクして、時たま風が逆になりもろに被ることも。
1回目終わり。
もう降らないでほしい。


3.11に原発ゼロを叫ぼう!

2023年03月11日 | 生活

3・11から12年 つながりが生きる力に

「東京新聞」社説 2023年3月10日

 福島から娘たちを避難させた選択は間違いではなかったと、無事に成人して安堵(あんど)している。その一方、自分たちだけが逃げ出したような負い目から逃れられない−。

 東京電力福島第一原発事故からの十二年は、今は京都市に住む団体職員の高木久美子さん(56)=写真=にとって、葛藤の渦の中で過ごした時間でもありました。

 事故が起きた二〇一一年三月十一日、原発から五十キロのいわき市に家族五人で暮らしていた高木さんは、同居する実母と小学生の二人の娘を出身地の秋田に避難させ、夫婦はいわきに残りました。

 でも夫は娘たちの長期避難に反対でした。娘たちは九カ月後、いわきに戻りますが、高木さんは放射線量を気にしてばかりの生活に疲れてしまい、震災翌年に娘二人を連れて京都に移ります。

 災害救助法に基づいて福島県が原発避難者に無償提供し、京都市が用意した公営住宅でした。京都に知る人がいなくても娘たちの命と健康を守りたい一心でした。

 つらかったのは国や東電が福島の人々を、避難指示区域の「内」か「外」かで選別したことです。

 高木さんら区域「外」の人に母子避難が多いのは、東電からわずかな賠償しかなく、夫は妻子の避難生活を支えるため地元に残って働かざるを得ないためです。いわきの夫と二重生活になった高木さんも仕事を必死で探しました。

◆自主避難の葛藤の中で

 京都では放射線の心配から解放されましたが、夫との別れが待っていました。

 「一緒に避難を」と説得しましたが、夫は「そこには四十歳すぎの男に仕事はない」。夫婦の溝は埋まらず、避難の翌年、離婚に至ります。父親と会えないことは娘たちを不安定にし、不登校になった次女は「お父さんに会いたい」と言って泣きました。

 いわきの家は夫婦で働いて建てた家でした。家を出るときに持ってきた家族写真には、娘たちと若い母親の自分が写っています。撮ったのは夫…。家族と離れる夫のつらさも、今なら分かりますが、原発事故は思いやりも正気も奪い、多くの家族に苦悩と離散をもたらしました。

 「事故さえなかったら、今も家族は一緒だった」。高木さんの胸には、抜けない悔恨のとげが刺さったままです。

 国と東電は原発事故の痛みや犠牲の多くを被災者個人に押しつけてきました。「反省」を口にはしますが、責任逃れの言葉の陰に隠れてしまっています。

 原発事故避難者の取材をしていると、区域外避難者の離婚をよく耳にします。しかし、国と東電は自己責任で避難した人たちを「自主避難者」と呼び、まともな賠償をしてきませんでした。あちらこちらで発せられる家族の痛みなど聞こえないかのようです。

 京都に来てからの高木さんは行動する人に変わりました。

 一三年、京都府に自主避難した人たち五十七世帯百七十四人が国と東電に計八億四千万円余の損害賠償を求めた集団訴訟の原告に加わりました。一八年春、京都地裁は国と東電の責任を認め、一部原告を除いた百十人に計約一億一千万円の賠償を命じました。国の賠償基準を超える内容で、審理は大阪高裁で続いています。

 原発賠償裁判で勝ち取った判決は、国が昨年、九年ぶりに着手した原発賠償基準(中間指針)の見直しにつながりました。

 ただ、避難指示区域外の避難者も賠償の増額対象ですが、その額はごくわずかです。区域内賠償の増額に主眼が置かれ、「区域内外で格差が広がる恐れ」を指摘する専門家もいます。

 国は被災者を分断するような政策はやめ、区域外の人々にもまともな賠償をすべきでしょう。

◆寄り添い合う仲間得て

 高木さんは「風評被害をまき散らすな」と非難され、福島では放射線被害を語れませんでした。避難先での生活費が続かず福島に戻った母子も見てきました。

 原発事故で失った多くのものを私たちは忘れてはなりません。だからこそ、原発事故の問題を福島に閉じ込めず、広く問いかける必要があるのです。そのためには人と人とのつながりを太く、強くしたい。それが、原発事故の被災者にとって未曽有の核災害を乗り越え、生きる力になるはずです。

 寄り添い合える仲間を得て、京都に根を下ろして生きると決めた高木さん。表情に明るさが戻り、力を込めてこう語るのです。「次世代に対する責任として福島の人の分まで京都で声を上げたい」と。

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いわき市民訴訟 原発事故 国の責任認めず

控訴審で一転 仙台高裁

「しんぶん赤旗」2023年3月11日

 東京電力福島第1原発事故で、避難指示が出ていなかった福島県いわき市に居住していた住民1339人が東電と国に約13億6000万円の損害賠償と原状回復などを求めた「いわき市民訴訟」(伊東達也原告団長)の控訴審判決が10日、仙台高裁でありました。小林久起裁判長は、国の責任を認めず、東電だけに計3億2660万円の支払いを命じました。

 2年前の一審判決では国の責任を認めていました。同種の集団訴訟で国の責任を認めなかった昨年6月17日の最高裁判決後、初の高裁判決ですが、最高裁判決に従うものになりました。

 小林裁判長は、国の機関が地震予測「長期評価」(2002年7月)を公表した翌年の03年から事故の発生まで8年2カ月の間に、国が東電に規制権限を行使しなかったのは「違法な不作為」であり、「極めて重大な義務違反」と繰り返し述べました。さらに規制権限を行使していれば、防潮堤の設置や建屋の水密化で事故が避けられた可能性は「相当程度高いものだった」と認めました。

 その上で小林裁判長は、津波対策には「幅のある可能性があり、内容によっては、必ず重大事故を防げたはずだと断定できない」と判断。国の規制権限の不行使によって「違法に損害を加えたと評価できない」と、国の責任を否定しました。

 東電については、長期評価で重大事故を起こす危険が具体的に予見されながら、津波対策を先送りしたのは「原発の安全対策についての著しい責任感の欠如を示すもの」と指摘しました。

 他方、損害の因果関係が及ぶ期間の延長が一般のおとなや子ども・妊婦で認定され、賠償額が一審判決を上回りました。また、東電が対策をせずに「経営上の判断を優先させ」たことを、精神的苦痛の評価で考慮しました。

政府への忖度だ

原告ら「たたかい続ける」

 「いわき市民訴訟」の原告と弁護団は判決後、仙台市内で報告集会を開きました。オンライン参加を含め約300人が参加しました。

 原告団長の伊東達也さん(81)は「国に忖度(そんたく)した残念な結果だ」と語りました。国の責任を認めなかった昨年の最高裁判決に全国から怒りの声が多く寄せられたと述べ、「国民の声を聞かない今回の判決に、政府への忖度があったと思わざるをえない」と強調しました。

 弁護団の高橋力弁護士は、判決で事故の予見可能性や国の不作為などを認め、原告側の主張に沿うものであったのに「結論は国の責任を否定した昨年の最高裁判決に準じてしまった」とくやしさをにじませました。

 渡辺淑彦弁護士は、判決が東電の「悪質性」を認め、賠償額が増額になったことを「前進した」と評価しました。

 各地で原発避難者訴訟をたたかう原告たちも駆けつけ「絶対許されない判決だ」などと発言。昨年の最高裁判決をくつがえすために、たたかい続けるとの決意が語られました。

 原告団・弁護団は声明で、今回の判決について「国策に追随する硬直的な判断にほかならない」として、「福島原発事故に対する国の責任を明らかにする最高裁判決を勝ち取るために全力を尽くす決意」を表明しました。


原発、電気を供給してくれるものと考えるのはよそうじゃないか。
人類にとって危険極まりないもの。
戦時の目標になるもの。

電気は「原子力」以外からいくらでも作れる。
それをしてこなかったのは政府の責任だ(懐に心地よいようだ)。

昨日は1日中☂
だいぶ融けただろうと期待していたが、それほどでもなかった。
まだ70cmある。

沼の水も現れ、岸辺の土が顔を出した。
ウサギの足跡も縦横に。


「マイナ合憲」も“歯止め”

2023年03月10日 | 生活

最高裁判決 番号法の拡大にクギ

「しんぶん赤旗」2023年3月10日

 マイナンバー(個人番号)制度はプライバシー権の侵害で違憲だとして、住民が利用差し止めなどを求めた訴訟の最高裁判決が9日、第1小法廷であり、原告の上告を棄却しましたが、なし崩しで広がるマイナンバーの利用拡大への歯止めとなるものとなりました。

 深山卓也裁判長は「個人番号法は、その利用範囲を社会保障、税、災害の分野に限定することで、個人番号で検索・管理される個人情報を限定している」と判示。

 それに加え、システムや法制度で目的外使用を規制しており、「国がマイナンバー付きの個人情報を利用、提供する行為は、原告のプライバシー権を違法に侵害するという主張には理由がない」としました。

 今回、判決があったのは九州訴訟、仙台訴訟、愛知訴訟の三つについて。いずれも一、二審で原告が敗訴しています。

 判決後の会見で、九州訴訟代理人の武藤糾明弁護士は「判決は、番号法が合憲である理由として、3分野での利用に限ることを厳格に規定していることをあげた。その原則を確認するものとなった」と評価しました。

 会見では、高度化するデジタル社会に則して「司法にプライバシー権についての認識をアップデートしてほしい」という声もあがりました。愛知訴訟事務局長の加藤光宏弁護士は「判決はプライバシー権を『個人の情報をみだりに第三者に開示または公表されない自由』としたが、プロファイリング(名寄せした個人情報で、その人物像を仮想的に作り出すこと)の規制など、もう一歩先に踏み込んでほしかった」と述べました。


保険証・免許証・銀行口座等、様々な分野に拡大しようとしている。


東大教授が緊急提言「牛乳廃棄、コメ減反」で日本は滅びる!

2023年03月09日 | 自然・農業・環境問題

「文藝春秋」編集部

source : 文藝春秋 2023年4月号

 

「安全保障の基本は自給率向上」

 今、食料品の価格が高騰している。ウクライナ戦争による穀物の値上がりや円安の影響を受け、3月の値上げ食品は3442品目にもおよんだ。「物価の優等生」と言われる卵でさえ、過去5年間の平均と比較して25%も値上がりし、頭を抱えている読者も多いだろう。

 ところがそれとは裏腹に、北海道などの酪農家では「生産調整」という名の下に、搾ったばかりの生乳を大量廃棄せざるを得ない状況に追い込まれている。

 また、コメも安値が続いており、農家は政府から「減反」を強いられている。

 高騰する食料品のために家計が苦しくなる中、こんな不条理がなぜ続いているのか?

 農業経済学の専門家で「安全保障の基本は、食料自給率を上げること」がモットーの鈴木宣弘氏(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)が、「文藝春秋」4月号に緊急寄稿し、このような事態を放置している政府を厳しく批判している。

薬殺される子牛たち

 鈴木氏は最新の情報や調査に基づき、酪農家がいかに政府の政策変更に振り回され、悲惨な状況にあるかを紹介する。

〈北海道では牛乳の需要減に対応して、乳牛を「廃用牛」として食肉用に出荷するよう促したが、供給が溢れ廃用牛価格も大幅に下落した。また乳雄子牛の価格の暴落も重なり、値段が付かず薬殺されるケースも続出している。酪農家では女性陣が子牛の面倒を見ることが多く、手塩にかけて育てた子牛が無残に薬殺される場面を見て「耐えられない」と精神的に追い込まれてしまう人も多いという。

 さらに、近年、農水省が推進した「畜産クラスター事業」で補助金を得て、バター不足解消の要請に応えて増産するために、多額の負債を抱えてまで機械や設備を購入した農家もある。ただでさえ借金を背負った上に、輸入飼料の高騰とコロナ禍での牛乳余りが追い打ちをかけた。北海道と千葉の酪農家107戸を対象にした今年はじめの調査では、実にその98%が経営赤字に陥っているとのデータもある。公表はされていないが、ここ数カ月の間だけでも、筆者のもとには数人の酪農家の方が自殺されたとの傷ましい話も入ってきた。ご夫婦で亡くなる場合もある〉

余った農畜産物を買い上げて貧困層に配ればよいのに……

 アメリカでは農家を救うために積極的に財政政策を行っている。政府が余った農畜産物を買い上げて、貧しい人々に無料で配布する事業も行われており、農家も貧困層も助かる仕組みだ。

 しかし、日本の政府は農家に負担を圧しつけるばかりだ。

〈かつてない異常事態が起きているのに、政府は一向に買い上げなどの財政出動に踏み切らない。コロナ禍では日本の貧困層がさらに苦しくなり、コメや牛乳を「買いたくても買えない」事情があったのもたしかだ。それならば、なおさら、政府がコメや乳製品を大量に買い取るべきだった。フードバンクや子ども食堂といった困窮する人々への人道支援など、買い取った乳製品などを活かせる道はいくらでもあるはずだ。

 アメリカでは、コロナ禍の経営難に苦しむ農家に対して総額3・3兆円の直接給付を行い、3300億円で食料を買い上げて困窮者に届けている。また、緊急支援が必要ない平常時にも、アメリカ、カナダ、EUでは設定された最低限の価格で政府が穀物や乳製品を買い上げ、国内外の援助に回す仕組みを維持している。

 なぜ、日本で同じことができないのか。今後近いうちに必ず海外からの輸入に頼れない事態が起こり、乳製品が足りなくなる。政府の言うままに牛を淘汰してしまえば、種付けから搾乳まで最低3年はかかり、いざ必要な時に間に合わないだろう。だが、日本の政府は、援助政策がアメリカの海外市場を奪う可能性があり、アメリカの怒りを買うことを恐れている。そのため目先の牛乳の在庫を減らすことにばかり拘泥し、酪農家を救おうとする姿勢は微塵も感じられないのだ〉

アメリカに胃袋を握られた日本

 いまや日本の食料自給率は38%しかなく、先進国でも最低水準だ。しかも、農業に必要な肥料、種子などの多くを海外に依存しており、これらが入ってこなくなればたちまち国民の大半が飢え死にしてしまう。

 なぜ日本は自国の農業を保護できないのか? その背景には、アメリカの圧力があると鈴木教授は指摘する。

〈筆者は1982年に農水省の国際部に入省し、貿易自由化などの国際交渉に近い部署で仕事をしてきたので、アメリカとのせめぎ合いを間近で見てきた。農水省に15年ほど勤め、研究者に転じてからも貿易政策に関する研究を行い、自由貿易協定(FTA。日韓、日中韓、日モンゴル、日チリ)の事前交渉にあたる産官学共同研究会には学界の代表として参画している。また、2011年以降は東大教授としての立場で、TPP(環太平洋パートナーシップ)交渉にも深く関わっている。貿易自由化や食の安全基準をめぐって数多くの要求を突きつけるアメリカの強引な振る舞いは実際に経験してきたことだ。

 日本の政府関係者は、私が国内農家への「援助」という言葉を口にするだけで震え上がり「その話はやめてくれ」と懇願する。そんな場面は何度かあった。「アメリカの市場を奪う」と受け止められ、万が一、アメリカ政府の逆鱗に触れれば、自分の地位が危うくなるとの恐れを抱くからだ〉

 では、アメリカはどのようにして日本人の胃袋を握っていったのか?――3月10日発売の「文藝春秋」(4月号)では、鈴木教授の論文「日本の食が危ない!」を30ページにわたり一挙掲載。日本が近い将来、深刻な飢餓に陥るリスクがあることなどを指摘したうえで、食料自給率を上げるための未来図を示している(「文藝春秋 電子版」では3月9日に公開)。


ということです。ここにもアメリカに従うしかない対米従属な日本があります。

良い天気です。3℃には満たないようです。
雪解けが進むなか、雪に覆われていたオンコの枝を助け出す仕事です。

そして家前の氷割り。


緊急連載 コメが食卓から消える日 真剣に考えるべき「コメの現物支給」

2023年03月08日 | 自然・農業・環境問題

東京都と大阪府の取り組みが注目集める

日刊ゲンダイ 2023/03/08 

 米価の下落、コストの上昇で恐ろしい勢いで離農が加速しそうなコメ農家。そうなれば、ますます食料自給率が下がり、コメが食べられない日がやって来る。肥料の原材料は中国やロシアが握っているし、「コメがなければ小麦粉」というわけにもいかないのは、ロシア侵攻後、目の当たりとなった現実だ。日本人が飢えるリスクは日増しに高まっているのだが、政府は知らんぷりだ。国会で質問されても「生産基盤の強化と安定に取り組む」(岸田首相)、「価格転嫁の方法を議論している」(野村哲郎農相=写真)とノンビリしたものだ。この危機感の欠如は何なのか。

 農業関係者は「政府の無能や怠慢なら、まだいい。これが政府の方向性なのだろう。つまり、地域のために先祖からの土地を守ってきた農家なんて潰れてもいいと思っている。株式会社化した大規模経営の方が効率が良いし、米国の食料を輸入すればもっと褒めてもらえると思っているのではないか。だから、ますます農家はやってられないんだ」と嘆いたが、その通りだろう。農林中金総合研究所の主任研究員、小針美和氏もこう言った。

「コメ自体が余っていることに加えて、予算がないことが政府の動きが鈍い理由ではないか。昨年、補正予算で肥料の高騰に関しては値上げ分の7割を補填する予算措置をした。7割でも足りないが、足元はそれでいいと思っている。食料安保を考えれば担い手の支援が必要なのに、農政はそういう方向になっていません。防衛予算と同じように国民の合意を得て農家を支援する体制をつくることが大切です」

 国は「自然災害や価格低下による収入減を補償する収入保険制度がある」とも言うが、こちらは収入が減ると補填されるもので、コスト高による農業所得減少はカバーされない。農家が絶望的になるのもわかるのだ。

 そんな中、注目を集めているのが東京都と大阪府の取り組みだ。物価高騰の生活支援策として、低所得世帯にコメなどを配ることにしたのである。

 東京都は住民税均等割が非課税の174万世帯が対象で、コメだけの支給を選んだ場合は1世帯当たり25キロを配る。全世帯が「コメだけ」を選択すると4万トン超になる。すでに補正予算に組み込まれていて、早ければ今月中にも支援が始まる。大阪府は子育て世帯への支援で、18歳以下の子ども1人に対して10キロを配る。対象は139万人で、こちらは総量1万3900トンになる。

「これはいい取り組みだと思いますよ。自治体だけじゃなくて、企業も賃上げだけでなく、コメの現物支給をやればいいと思います。とにかく、今、コメ農家に離農されたら、いくら武器を持っていても兵糧攻めで一巻の終わり。コオロギの研究に何兆円も出すくらいならば、苦しんでいる人にコメの現物支給を考えるべきです」(東大大学院教授・鈴木宣弘氏)

 最近の若い人は自炊をしないらしいが、こうしたことが自炊のきっかけになれば、コメ離れも止まりそうだ。


 余っているのだから、どんどん拠出すればいい。牛乳だってそうだ。捨てないで子ども食道などに出せばいい。牛乳、捨てる一方で輸入だ。バターなどもどんどん値上がりしている。「資本主義の矛盾」と言えばそれまでだけど。


日本人がコメを食べられなくなる日が現実に…個人経営の農家は大赤字で離農加速の深刻

2023年03月07日 | 自然・農業・環境問題

日刊ゲンダイDIGITAL 2023.03.07

【緊急連載 コメが食卓から消える日】(上)

    もうコメが食べられなくなるかもしれない。そんな懸念が急速に高まっていることをご存じだろうか。日本人なら「まさか」と思うだろうが、本当だ。

    米価の下落、燃料費や肥料代といったコスト高、日本人全体のコメ離れなどの要素が重なり、2023年はコメ作りをやめる農家が急増しそうなのである。

農林中金総合研究所の主任研究員、小針美和さんのリポートは衝撃だ。

    昨年7月、米価下落と肥料高騰によって5ヘクタール以下の水田作経営(個人)は赤字に転落するとの試算を出した。ちなみに日本の農家の9割は5ヘクタール以下だ。つまり、ほとんどのコメ農家が赤字に沈んでしまうことになる。

その赤字額も20万円以上だ。なんだ20万円か、というなかれ。ここには人件費は含まれていない。ただ働きでもコスト割れなのである。これではバカバカしくてやってられないが、この試算は現実のものになり、さらに深刻化している。

「まず、米価ですが、2020年を100とすると、21年11月は77.6でした。22年はやや持ち直して、84.4になりましたが、まだ20年比15%減です。一方、肥料、農機具、農薬、光熱費、建設資材などのコストは21年は109.8、22年は120.9。なかでも肥料はすさまじく、21年は106.6だったのが、22年は150.4です。さらに、23年は原料費の高止まりに加えて22年秋からの円安、海運運賃の高騰が重なり、前年比7割アップとみられている。個人経営の農業所得は人件費を抜いて全国平均で14万円を超える赤字と推計しています」(小針美和氏)

    これでは農家はやってられないが、そこに追い打ちをかけているのが食料安全保障の問題だ。

肥料の原料は中国やロシアから輸入、何もしない岸田政権

    肥料の原料は尿素、リン安、カリだが、そのうち尿素とリン安は中国が最大の生産国。その中国が自国の生産に必要な肥料を確保するために「法定検査」を実施し、実質的な輸出制限をかけているのだ。結果、国際価格は暴騰、尿素価格は18年比で倍になっている。カリについてはロシアとベラルーシが生産国で、ロシアへの経済制裁から輸出がストップ。こちらも価格が高止まりしている。

    政府はトマホークを買えば、国民の命が守られるような言い方をしているが、中国が肥料を出さなくなれば、その瞬間、日本はオシマイだ。

「そうなれば日本が最初に飢えることになるのです。農家の経営危機を放置すれば、離農が拡大し、農地は荒れ、さらに食料自給率が下がってしまう。そこで輸入を止められたらアウトです」(鈴木宣弘・東大大学院教授)

    ところが、岸田政権はこうした農業の危機に対して、いまだに「検討」を繰り返している。恐ろしい怠慢がさらに農家を絶望させ、離農を加速化させているのである。


アメリカへ貢ぐことしか頭にないからすべてが穴だらけ。
「国民の命と暮らしを守る」
言ってみただけ~!

沖縄のデニー知事が話し合いを求めてアメリカへ行った。
がんばれ!

すっかり雪に覆われていた川が出てきました。


安倍政権の言論弾圧「放送法解釈変更」をめぐる総務省内部文書のリアルすぎる中身!

2023年03月06日 | 事件

 高市早苗はこれでも「捏造」と言い張るのか

「リテラ」2023.03.05 

 安倍政権下でおこなわれた報道圧力の実態がつまびらかとなる内部文書が公開され、大きな問題となっている。2日に立憲民主党の小西洋之・参院議員が公開した、約80ページにもおよぶ総務省の内部文書だ。

 放送法における「政治的公平性」について、政府はそれまで「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断する」という見解をとってきた。だが、安倍政権下の2015年5月12日、当時の高市早苗総務相が参院総務委員会で「一つの番組のみでも極端な場合は一般論として政治的に公平であることを確保していると認められない」と答弁し、突然の解釈の追加、事実上の解釈変更をおこなったのだ。

 この解釈変更がテレビの番組づくりにもたらした影響は計り知れない。ご存知の通り、安倍政権下では批判的だったキャスターやコメンテーターが次々と番組から消えていった一方、政権を擁護するコメンテーターが跋扈するようになった。さらに、情報番組やワイドショーでは政権批判や不正の追及をすること自体がどんどん減っていった。こうしたいまにつづく状況をつくり出したのは、高市総務相が明言した解釈変更によって、ひとつの番組内で中立を保たなければならなくなったことが大きく影響しているのだ。

 しかし、なぜ高市総務相が唐突に解釈変更を明言したのか、その背景に何があったのかはこれまで謎に包まれていた。ところが今回、公開された総務省の内部文書では、当時、安倍晋三首相の首相補佐官を務めていた礒崎陽輔氏が、おもに『サンデーモーニング』(TBS)をやり玉に挙げるかたちで、しつこく総務省に事実上の解釈変更を要求していたことが判明。さらに、安倍首相の“鶴の一声”によって、高市答弁に至っていたことがわかったのだ。

 当の高市氏は、この内部文書を「捏造文書だ」「非常に悪意をもってつくられた文書」と主張し、「捏造文書でなかった場合には議員辞職するか」という質問にも「結構ですよ」と応答。森友公文書改ざん問題のきっかけとなった安倍首相の「私や妻が関係していたということになれば総理大臣も国会議員もやめる」を想起させる展開となってきている。

 いかに高市氏の主張が苦しいものなのかについては後述するが、そもそもこの内部文書を総務省が「捏造」する理由がない上、礒崎氏本人も「総理補佐官在任中に放送法で定める政治的公平性の解釈について総務省と意見交換をしたのは事実」だと認めている。そして、実際に解釈変更がおこなわれたのも事実なのだ。

 それでは、政権への忖度と擁護に溢れかえるいまのテレビ番組の状況を生み出すことになった放送法の解釈変更は、いったい、どのようなやりとりのなかで実行されるにいたったのか。公開された約80ページにもおよぶ内部文書から、紐解いていきたい。

(以下省略)

「捏造文書でなければ議員辞職する」と啖呵を切った高市早苗大臣だが…

 ──以上、今回公表された総務省の内部文書約80ページをざっくりと追ってみた。ここからは、少なくともこの放送法の解釈変更が「言論弾圧」(山田首相秘書官)という大きな危険を孕んだものであり、審議会に諮ることや法改正が必要であるという認識が示されながらも、『サンデーモーニング』を異常なまでに目の敵にしている礒崎首相補佐官の執念と恫喝、さらには礒崎氏に同調した、安倍首相による絶対的な「天の声」があって実行に移されたことがよくわかる。

 また、総務省も結果的に政治に振り回されるだけで、問題があることを理解しながら唯々諾々と従ってしまっている。まさに安倍政権の官邸支配の構図が浮かび上がる内容だと言えるが、こうした文書を総務省が「捏造」する理由など、どこにもないだろう。

 しかも、現在、「捏造文書だ」と主張している高市大臣は、法解釈の変更を答弁した張本人であるわけだが、その答弁にいたった経緯について問われると「質問通告があったからじゃないか。答弁書の案を私が見たのは前日。その経緯は知らない」などと発言。しかし、とてもじゃないが従来の政府解釈を変更するという重大な答弁書を、経緯も知ろうとせずにそのまま読み上げたというのはおかしい。むしろ、内部文書にあるように「本当にやるの?」「一度総理に直接話をしたい」という反応こそリアリティがあるだろう。

 さらに高市大臣といえば、いま刑事告発されている政治資金規正法違反問題で、疑惑隠蔽のために「虚偽の領収書」を発行したという“証拠の捏造”疑惑が浮上。高市大臣は「捏造文書だ」と決めつける前に、自身の事務所の“証拠の捏造”疑惑について説明すべきではないのか。

 その上、高市大臣が「捏造文書でなければ議員辞職する」と啖呵を切ったばかりに、今後、総務省が事実の隠蔽に走り、万が一、関係官僚が命の危険にさらされるような事態へと発展しないか、不安は大きい。いや、高市大臣のみならず、3日の参院予算委員会で岸田文雄首相は「(内部文書について)正確性が定かでない」と答弁し、松本剛明総務相も「発言者に内容の確認を取っておらず、文書の記載について、かなりの方々が認識が異なると言っていることが判明した」などと発言しているように、すでに逃げの一手に出ている。国民の「知る権利」を侵害するかたちでこのまま「真偽不明」で闇に葬られる可能性は高い。

 だが、それでいいはずがあるまい。繰り返すが、この解釈変更は、政権批判が封じられ、かたや擁護で溢れかえるといういまのテレビ番組の状況をつくり出した元凶ともいえるものだ。そして、政権批判を厭わずおこなう『サンデーモーニング』のような番組を狙い撃ちにし、時の権力が恣意的に解釈を変更させていたのである。解釈変更の見直しの議論は当然のこと、テレビ番組における報道のあり方を問い直すためにも、この内部文書をなかったものにするわけにはいかないのだ。

(編集部)


 わたしもTVを見ていたころは『サンデーモーニング』だけはよく見ていた番組だった。ほんとうに「アホ」な番組ばかりの中よく頑張っていた。
 この問題は大きい。高市大臣だけでなく、総理の「首」も飛ばなければならないような重大事件だ。今後の追及を期待している。

 さて、今日ようやく「確定申告」を提出してきた。
やれやれである。
この頃は、集中力がなくなり、いやいややってるものだから、なかなか進まず。
売り上げも年金も減った。


「日本人消滅」のカウントダウンがいよいよ始まった…出生数激減で明らかになった「絶望的現実」

2023年03月05日 | 生活

現代ビジネス 3/5(日) 

出生数激減を前提とした社会構想を

 2022年の出生数の速報値(外国人を含む)が79万9728人と初めて80万人を下回ったことを受けて、日本中が大騒動状態である。いずれこうなることは分かっていたのに、突如として問題が降りかかってきたかのような慌てぶりだ。

 子どもを出産し得る年齢の女性人口が激減していくという「少母化」が、日本の出生数を激減させる最大の要因である以上、「異次元の少子化対策」をいくら講じようと出生数減の流れを反転させることは極めて困難だ。

 国立社会保障・人口減少研究所は2115年までの将来人口推計を行っているが、出生数は一貫して減り続けると予測している。

 政府はいまだ子育て支援策に熱心だが、周回遅れも甚だしいということだ。いまの日本は出生数の減少が進むことを前提とし、社会経済活動をどう維持・機能させていくか考えなければならないところまで追いつめられているのである。

 「出生数の減少を前提とした対策」を講じるには、人数が減ることで子どもたちの身の回りにどのような影響が及ぶのかといった視点も欠かせない。さらには、永続的に若い労働力が減り続けていくことで起きることを踏まえた議論も不可欠である。

 だが、国会論戦を聞くと子育て中の当事者たる「大人」への支援策ばかりが目立つ。子どもの数が減ることに伴って将来的に社会に何が起き、それにどう備え解決していくのかといった議論はほとんど聞こえてこない。

学校の統廃合がもたらす子どもへの影響

 出生数が減っていけば、子どもが学ぶ場での変化は大きくなる。

 すでに人口減少が進む自治体を中心に小中学校の統合が進んでいる。文部科学省の調査(2021年度)によれば、統合によって通学時間が60分超、通学距離が20キロ以上となった小学生は少なくない。小さな子どもにとって心理的負担が大きいだろう。

 スクールバスや借り上げタクシーの導入も進んでいるが、親がマイカーで送迎せざるを得ないケースも珍しくはない。ここまで通学距離が長くなると、放課後のクラブ活動への参加も制約される。小学校の在り方を根本から見直す時期に来ているということだ。

 地方の高校においては、一学年あたりの生徒数が20人前後という超小規模校が珍しくなくなってきている。こうした規模の高校では入学試験での学力選考が難しくなっている。「地域に高校が1つしかなく、よほどのことがなければ不合格にしづらい」(小規模校の校長)というのだ。

 学校とは学力を身につける場だけでなく、知らない人とのコミュニケーションの取り方など社会に出る前の“練習の場”としての役割も担っている。生徒数が少なくクラス替えも出来ないと、こうした能力もはぐくむことに支障が出かねない。

 多くの人数でプレーするスポーツの種目が制約されたり、クラブ活動においても複数校によるチーム編成を余儀なくされ練習時間が思うように取れなかったりするケースも相次いでいる。

 超小規模でなくとも一学年あたりの人数が少なくなれば、生徒同士が切磋琢磨しながら成長していく力はその分だけ弱まる。もちろん、どんな時代にあっても「天才」と呼ばれるような才能豊かな人材は誕生するが、一学年の絶対数が減れば才能豊かな人材の絶対数もそれに比例して少なくなるだろう。それは日本全体の人材不足へとつながっていく。

日本発のイノベーションが起こりづらくなる

 出生数の減少が社会に及ぼす影響は学校教育にとどまらない。最大の弊害は若者が減ることで社会が硬直化することである。

 出生数の減少は人材の裾野が狭くなるということだ。各分野とも年々、新卒者の採用が難しくなる。それは自衛隊や警察といった「若い力」を必要とする職種も例外ではない。このままでは日本が誇ってきた「安全な国」神話は過去のものとなるだろう。

 ただでさえ急減する若者が、社会人となってそれぞれの道に進むと、配属先の組織ではさらに小人数となる。一方で必要な人数の新卒者が採用できない職場ほどベテラン従業員の雇用延長が進みがちだ。

 こうした組織では世代交代はスムーズに進まず、若者の占める割合も小さくなるので新風も吹き込みづらくなる。こうしてマンネリズムが支配する職場が多くなれば日本社会全体が「勢い」を失ってしまう。

 そうなればイノベーションも起こりづらくなり、画期的な新製品の開発や消費マーケットにブームを起こす力も無くなっていく。これらは出生数の激減がもたらす弊害の一端に過ぎない。

日本人が消滅していく過程に入ってしまった

 こうした未来図が容易に予想されるのに、「異次元の少子化対策」を講じれば出生数減少の流れを変えられるかのように語る政治家たちの姿勢はもはや無責任であろう。

 今後も「やってる感」だけの子育て支援策の充実に終始するならば、日本は沈む一方である。

 そうではく、これからの政治家には、人口減少に歯止めはかけられず、しかも年齢が若いほどその減り方は激しいという「不都合な現実」をしっかり受け止め、それでも日本が豊かな国であり続けられるよう考え、実行に移すことが求められる。

 わずかながらも日本経済に余力が残っているうちに人口減少時代にあった社会の在り方や経済成長を続ける方策を見出せないならば、日本の建て直しは絶望的に厳しくなる。日本人が消滅していく過程に入ってしまったという国難なのである。

 国民の英知を結集することなしには乗り切れない。真の政治リーダーの登場が待たれる。

河合 雅司(作家・ジャーナリスト)


 「自公政権」には無理な話である。
「防衛費」の増額しか頭にない。
「武器」より暮らしだ。

 今朝カーテンを開けるとシコンノボタンが咲いていた。
昨年秋にもらってきた植木だ。
すぐに花をつけたのでてっきり秋咲きと思っていたから驚いた。
調べると春から秋まで花期は長いらしい。
でも1日花でもうすでに散っていた。


「音のない世界」で磨かれた個の力。

2023年03月04日 | なんだかんだ。

期待の長身ドリブラー・FW笹井一愛がプロリーグで刻む新たな一歩

YAHOO!ニュース3/4(土)

松原渓 スポーツジャーナリスト

【先天性難聴を乗り越え、WEリーグデビュー】

 3月5日に再開するWEリーグで、18歳のルーキーが新たな一歩を刻む。

 ノジマステラ神奈川相模原の下部組織から、昨年10月にトップチームに昇格したFW笹井一愛(ささい・ちなり)だ。

 笹井はこの春に高校を卒業し、後期からは社会人としてプロの世界に挑む。

 N相模原にとっての開幕戦となった、第2節のリーグデビュー戦は鮮烈だった。ボールを持つとゴールに向かってどこからでも仕掛けていく。奪われた瞬間にボールにアプローチして奪い返し、再びゴールを目指す。

 武器はスピードを生かしたドリブル。167cmの長身でリーチが長く、スケールの大きなストライカーだ。ポジションは3トップの一角で、前期リーグ戦では7試合に出場して2ゴール。3月3日には、U-19代表候補メンバーにも初選出されるなど、勢いがある。

 N相模原の菅野将晃監督は、笹井をトップチームに昇格させた決め手をこう語る。

「男子の世界もそうですけど、サッカー全体のレベルが上がっている中で、個で突破できる選手はすごく大事になっています。ゴールを奪うというサッカーの本質を追求する中で、彼女のような選手が必要になると思います」

 笹井が持つ個の力は、障がいを持ちながらプレーしていることと無縁ではない。

 病名は「先天性難聴」。練習や試合の時には補聴器をつけているが、外すとほとんど音は聞こえない。試合中、監督の声は届かないため、近い選手に伝えてもらい、ハーフタイムなどに修正点を確認する。だが、基本的にわからないことは日々の練習の中で解決している。「彼女自身が自分からコミュニケーションを発信できるし、傾聴できる」と菅野監督は言う。

 他に、難聴を抱えながらプレーしてきたことで研ぎ澄まされた力はあるのだろうか。「これはいいことなのかはわからないんですけど」と、笹井は控えめに笑った後、こう続けた。

「音が聞こえないからこそ、周りの選手に遠慮せずに自分がイメージしたプレーをすることができます」

 視覚を中心に聴覚以外の感覚をフルに使って状況を把握し、ゴール前で迷いなく仕掛けられる。

 その一方で、苦労しているのが守備だ。

「守備は後ろの選手の声を聞いて合わせていく場面が多いのですが、私は味方の指示がほとんど聞こえません。その代わりに、周りの動きを感じながら自分で判断して動き出すようにしています。でも、まだまだタイミングを間違えることもあって、その時はチームメイトにその都度教えてもらっています」

 これまでは、午前中にチームの練習を終えた後、午後から高校の授業に出席し、足りない分は補習を受ける形で両立してきた。そんな多忙なスケジュールでも、時間さえあればグラウンドでボールを蹴る“練習の虫”。中学生の頃から続けてきたその飽くなき向上心で、トップチーム昇格を掴んだ。

「ホームゲームだったので、サポーターの皆さんの前で決めることができてすごく嬉しかったです。チームメートのみんなからも『初ゴールおめでとう!』と言ってもらえました」

 また、8節の大宮戦(△1-1)では、1点ビハインドの58分に同点弾を決めた。決めた後、すぐにゴールにボールを取りに行って追加点を促す姿は印象的だった。

【成長を導いた2つの転機】

 笹井を輩出したN相模原のアカデミーは、ユース年代では全国トップクラスの強豪だ。そこで、笹井はどのように頭角を表してきたのか。「きっかけは2つあります」と、笹井はまっすぐな瞳で当時を語ってくれた。

 一つは、中学生時代。サッカーを始めた小学生の頃は、小柄でとにかく「走る」選手だったという。そのプレースタイルが、N相模原のサッカーに合うのではないかと当時のコーチからアドバイスを受け、下部組織のアヴェニーレ(U-15)に入団した。しかし、なかなか出場機会を得られず、一念発起して中学校の男子チームに入部する。

「最初はフィジカルも通用しなくて全国大会にも出られなくて、本当に悔しくて…。でも、男子選手と一緒にプレーするようになってから、体の強さが出てきて『球際で負けない』という自信がついてきたんです。それで、アヴェニーレでも少しずつ試合に出られるようになっていきました」

 当時のスケジュールは、まさに“サッカー漬け”だ。朝6時から男子サッカー部の練習に出て、夕方まで学校の授業。アヴェニーレの練習は夜6時からで、帰宅は22時ごろだったという。動いた分ご飯もたくさん食べて、元々小さかった体は大きくなった。それが、今のフィジカルの礎になっている。

中学時代にフィジカルの礎を築いた(写真提供:ノジマステラ神奈川相模原)

 ストライカーとしての成長を導いたもう一つのきっかけは、高校時代(ドゥーエ/U-18)にある。そのきっかけを作ったのが、当時チームを率いていた田邊友恵監督(現・ちふれASエルフェン埼玉)だ。

「(田邊)トモさんは、オフの日も含めて週に2、3回、上手い選手のプレー動画とか、サッカー漫画のスクリーンショットをLINEで送ってくれました。オフの日には学校の帰り道、グラウンドにボールを蹴りに行ったらいつもトモさんがいて、シュート練習に付き合ってくれました」

 そして、高校2年生の時、サッカーとの向き合い方を変えてくれる出来事があったという。

「夏の全国大会進出がかかった試合で、PK戦までもつれたんです。そこで、5番目の最終キッカーに指名されたんですが、自分が外して、全国に行けなくて…トモさんからは『練習不足だ』と言われました。それから、練習前とか練習後にPKの練習をたくさんしたんです。そうしたらその年の冬に、同じ相手と全国大会がかかった試合を戦うことになりました。それで、またPK戦になっちゃったんです。『一度外しているので蹴らせてもらえないだろうな』と思っていたら、3番目のキッカーに指名してもらって。今度は決めて、全国に行くことができました。その時蹴らせてもらったおかげでPKを克服できて、自分の中でも練習に取り組む意識が変わりました」

 笹井は中学・高校といろいろなポジションでプレーした経験を生かし、どこからでも仕掛けられるストライカーに成長。高校1、2年次に出場したJFA全日本U-18女子サッカー選手権大会では、全6試合で9ゴールを決め、2年連続ベスト4進出の原動力となった。

【トップチーム昇格、そしてU-19代表へ】

 中学1年生の時からトップチーム昇格を目標にしていた笹井が憧れていたのは、FW南野亜里沙だ。

「(南野)アリさんは、技術の高さはもちろんですが、サポーターに期待されている中で点を取れる選手。その姿に憧れていました」と、念願のトップチームで共にプレーできる喜びを噛み締めている。

 一方、プロリーグでプレーしたこの半年間で、新たな課題も見えてきた。菅野監督は言う。

「守備の原理原則を身につけるところですね。ゲームを作る場面でも、技術的な面や、パスの判断、味方との関係性はさらに成長できる部分だと思います」

 デビュー時に比べると相手のマークも厳しくなり、囲まれてボールを失うシーンが見られるようになった。今後はいかにゴールに近い位置で、いい形でボールを受けられるかが鍵となる。

「もっと味方とアイコンタクトできれば得意な形で受けられると思うんですが、今はまだそれがあまりできていないです。周りの選手をうまく使った方がいいと思いますが、自分的にはドリブルで抜いていきたいです(笑)」

厳しいマークの中でも点を取れるか(写真提供:ノジマステラ神奈川相模原)

 卒業式が終わった後、3月からはチームの寮に入り、24時間サッカーと向き合う環境になった。「筋力トレーニングや体のケア、食生活の面も、意識を変えてやらないと」と、笹井は意欲を漲らせる。

 目指すのは、チームを勝たせる点取り屋だ。

「ドリブルでもっと相手が怖いと思うような選手になること。目標は、チーム内得点王です。シーズンが終わるまでに、ステラの中で1番点を取りたいなと思います」

 笹井には、明確な目標が2つある。

「U-19代表選出を聞いてびっくりしました。昨年のU-20ワールドカップを見て、『自分も出たいな』と思っていたので、すごく嬉しかったです。同年代にはフル代表でプレーしている選手もいます。目標を高く持って、自分もいつかフル代表に入れるように、ノジマステラで貪欲に吸収して成長したいと思います。

それから、同じ境遇の難聴の子たちに自分の姿を見てもらいたい。『障がいがあるからスポーツは無理だ』と思っている子たちにも、『頑張れば夢は叶えられる』という希望を持ってもらいたいです」

 後期のリーグ戦では、笹井のドリブルを警戒するチームも増えそうだ。ストライカーとしての真価が試される。背番号28の新たな挑戦が始まろうとしている。

松原渓 スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。


 昨日の記事の続きみたいになりましたが残念で仕方ありません。
今放映中のTVドラマもあります。
もっと大きな問題になるかと思ったのですがほとんどのマスコミはスルーでした。
裁判所が「差別」にお墨付きを与えたのです。
さまざまな「障がい」を持っていても頑張っている人たちがごっそりといる社会で・・・

 話は変わります。
今注目の「チャットGPT]。
インストールなしで自由に使えるのがM
icrosoft Binb検索。
「チャット」を選択するとそのままで使えます。
ちなみに、「里の家ファームのblog記事、今日は何がいい?」
て、聞いてみました。答えてくれました。
でも、今日はその記事ではありません。


事故で亡くなった女児の賠償額、「聴覚障害だったから」で減らしてよいのか

2023年03月03日 | 事件

「裁判所による障害者差別だ」盲・ろうの支援弁護士が語った判決への異論

 JBpress 2023.3.3(金)

    柳原 三佳(ノンフィクション作家)

 

 交通事故で死亡した聴覚障害児の逸失利益(将来得られるはずだった収入)は、どのように算出されるべきか……。

 2月27日、注目の判決が大阪地裁で言い渡されました。

 約3年にわたって続いたこの裁判では、亡くなった女児の両親(原告側)が、「全労働者の平均賃金を基礎として算出すべき」と主張。一方、被告側は「聴覚障害者の平均賃金(全労働者の約60%)で算出すべき」としていました。近年はAI技術等の発達で、高性能の音声認識アプリも生み出され、聴覚障害者であっても活躍の場を広げています。そうした時代の変化を裁判所がどうみるかが大きな争点でした。

「聴覚障害者の労働能力が制限されること、否定できない」

 大阪地裁の判断は、「全労働者の平均賃金の85%を基礎収入とする」というものでした。裁判官は「被害者には将来さまざまな就労可能性があった」と前置きしながらも、「聴力に障害のある人はコミュニケーションに影響があるため、労働能力が制限されることは否定できない」として、全労働者の平均賃金(497万2000円)から15%減額し、被告側に約3800万円の賠償を命じたのです。

 原告である両親は、判決直後に開かれた報告集会で、無念の思いをこう語りました。

「国が障害者差別を認めるという悔しい結果になり、怒りを通り越して言葉になりません。お金じゃなく、娘が努力した11年間を認めてほしかった……。私は今日、最後の最後まで気を緩めずに、やれることをやると、亡き娘と約束しました。そして、差別的な発言をした相手に、娘の前で謝罪をさせるまで頑張っていきたいと思います」(父親の井出努さん)

「この3年間、弁護団の先生方が本当に頑張ってくださり、また聴覚障害者協会の方々も、最後の最後まで署名活動に尽力してくださいました。先生方は、聴覚レベルと学力はイコールではありませんと言ってくださり、これだけみなさんが訴えてくださったのに、司法は障害者に対し偏見を持ち、差別の目は変わらないんだと思うと、これ以上どうすればいいんですか、という気持ちになりました……」(母親のさつ美さん)

持病のてんかんを隠していた加害者

 事故は、2018年2月1日、大阪府立生野聴覚支援学校の前で発生しました。

 同校の5年生だった井出安優香さん(当時11)は下校中、小学部の先生や友達と横断歩道の前で信号待ちをしていました。そこへ、道路工事をしていたホイールローダーが突然暴走し、至近距離から突っ込んできたのです。

 この事故で安優香さんが死亡、一緒にいた児童2人と教員2人が重傷。歩道にいた安優香さんら被害者には何の落ち度もない、不可抗力の事故でした。

 自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪で起訴された加害者の男(当時36)には、「難治てんかん」という脳の持病がありました。

 この病気は、意識を失うような重篤な発作がいつ起こるかわからないため、医師や家族は再三「運転しないように」と注意していたそうです。にもかかわらず、男は虚偽の申請をして免許証を取得し、仕事で重機の運転を続けていたのです。

 刑事裁判で大阪地裁の裁判官は、「本件事故時はてんかん発作で意識を喪失していた」と認定。その上で、「てんかんの危険性を軽視していたと言わざるを得ず、厳しい非難に値する」として、危険運転致死傷罪の成立を認め、2019年3月、懲役7年(求刑懲役10年)の判決を言い渡しました。

 加害者は現在、刑務所に収監されています。

当初は女子平均賃金の40%と主張していた被告

 本件裁判については、一昨年、以下の記事で取り上げました。

(参考)「障害あっても努力家だった娘の人生、なぜそんなに軽んじる」 あまりに非道、「逸失利益は聞こえる人の40%」の被告側主張(2021.6.9)

 上記タイトルにもある通り、裁判が始まった当初、被告側(損保会社は三井住友海上)は、女性平均賃金の40%(153万520円)で算出すべきだと、極めて低額の主張をしていました。安優香さんが生まれつきの難聴だったことから、「聴覚障害者には『9歳の壁』という問題があり、高校卒業時点での思考力や言語力・学力は、9歳くらいの水準に留まる」というのがその理由です。

逸失利益を「女性平均賃金の40%で算出すべき」という被告側の主張に、安優香さん側の支援者と父親はデモ活動で不当を訴えた(井出さん提供)

 ところが裁判の途中で、被告側は突然それまでの主張を変えてきました。「原告らの指摘により、聴覚障害者の平均賃金の存在を知った」ということで、今度は「聴覚障害者の平均賃金(294万7000円)」を基礎収入として、算出しなおしたのです。

 井出さんは語ります。

「結果的に裁判所が下した85%という判断は、数字だけを見れば被告の主張(60%)と原告の主張(100%)の間を取ったかたちになりました。中には、60%から引き上げられてよかったという方もおられるかもしれません。しかし、私どもを支援してくださっている弁護団は、この15%の減額自体、『障害者差別』だと、厳しく批判されています」

 筆者も判決後の報告集会を視聴しましたが、実際にご自身が聴覚、視覚障害者である弁護団の方々の報告会でのコメントは、大変説得力のあるものでした。

 被告側(実質的には三井住友海上)は、本裁判で「聴覚障害者の逸失利益は健常者の60%」だと主張していましたが、こうした弁護士らの活躍を同社はどう説明するのでしょう。そして裁判所は、15%減額の根拠をどこに求めるのでしょうか。

 ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。

裁判所は「障害者権利条約」の契約国としての義務を怠った

 まず、先天性のろう者である田門浩弁護士のコメントです。

<障害者権利条約第6条では、次のように言っています。

1、締約国は、障害のある女子が複合的な差別を受けていることを認識するものとし、この点に関し、障害のある女子が全ての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとる。

2、締約国は、女子に対してこの条約に定める人権及び基本的自由を行使し、及び享有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発、向上及び自律的な力の育成を確保するための全ての適当な措置をとる。

 裁判所も締約国に入っているわけですから、裁判所こそが積極的に複合差別をなくするための措置を取らないといけないです。今回の判決は、この義務を怠ったと言わざるを得ません。このような司法の在り方は今後変えていく必要があると考えています>

無限の未来を図るために新しい物差しが必要

 次に、全盲の大胡田誠弁護士のコメントです。

<私も皆さんと同様に、今回の判決に関しては非常に憤りを感じております。

 障害のない年少者について言うと、女子が事故に遭った場合には全労働者の平均賃金で計算する、だけれども、障害があるということで逸失利益を15%割り引くということですね。年少者の事故について、女子の場合には全労働者で計算するというのはやっぱり、男女差別はいけないことだということが一般的になっているからだと思うんです。一方で、今回、障害があるということで逸失利益を割り引くというのは、障害を理由とする格差、これは差別ではなく区別なんだから許されるんだというのが裁判所の考えなんだということがよくわかりました。

 これは一番やってはいけないことだと思うんですよね。障害があることは事実で、これは区別なんだから仕方がないというのは、これまで多くの障害者がそれによって悩まされてきた。一番それを打破しないといけないことだったにもかかわらず、一番やってはいけないことを裁判所がやってしまった。そんな気がいたします。

 この判決は、過去の偏見、差別によってつくられた古い物差しによって安優香さんの未来を測ってしまった。安優香さんの無限の未来を測るためには、やはり新しい物差しが必要で、それは、田門弁護士が言うような、障害者権利条約を批准した我が国が持つべき物差しなんだと思います。

 まだ裁判所にはその物差しがなかったんだなということがわかった。これから司法を変えていくためには、新しい物差しを導入しなければならないと強く思いました。

聴覚障害があるとコミュニケーションに問題があると裁判所はしきりに言っていますけれど、今回の弁護団には、全く聞こえない弁護士が3人います。難聴の弁護士も入っています。この弁護団の中で、コミュニケーションにまったく問題がなかったということ、私はとても強く印象に残っています。

 今、さまざまなテクノロジーとか、さまざまな工夫があれば、コミュニケーションには全く支障がないんだということを実感として感じたので、これを何とか裁判所には伝えたいと思いました>

娘の無限の可能性、なぜ否定するのか

 安優香さんは11歳で、危険運転の暴走車に命を奪われました。彼女の未来には、無限の可能性があったはずです。それなのに、なぜ、命を奪った側の被告に差別され、その可能性を制限されなければならないのか……。母親のさつ美さんは、その理不尽さがどうしても受け入れられないといいます。

「私は安優香が11年間、どれほど頑張ってきたかを間近で見てきました。裁判官にはぜひ、聴覚支援学校に直接行って、子どもたちがどれだけしっかり勉強を頑張っているか現状を見て、聴覚障害者について学んでいただきたいと強く思います」

 原告側が控訴をするかどうかはまだ決定していませんが、まもなく方針が決まる予定です。


「後進国日本」の姿がここにも現れました。




アベノマスク黒塗り文書の開示

2023年03月02日 | 生活
「東京新聞」2023年3月2日 
 
 新型コロナウイルス対策として政府が全国に配った「アベノマスク」の行政文書で単価や枚数を黒塗りにした部分の開示を、大阪地裁が命じた。原告が請求した45件全ての文書の公開を認めており、ほぼ完勝といえる判決だ。そもそも審理中から、国の主張にはおかしな点があったという。巨費を投じた政策に世論が沸騰して3年。判決文から見えてくるものとは。(岸本拓也、中山岳)
 

 <アベノマスク> 安倍元首相が2020年4月に全戸配布を表明した布マスク。一部に汚れや虫の混入が発覚し、予定の約1カ月遅れの同6月に配り終えた。配布時には既に市場に不織布マスクの供給が戻り始めており、効果が疑問視されている。介護施設や妊婦向けを含め計約2億9000万枚を調達し、21年度末までに少なくとも約502億円を投じた。厚労省の調査では、検品対象の15%に当たる約1100万枚が不良品。国は22年、余った約7100万枚を希望者に配って在庫を処分した。

 「単価を非開示にしたこと自体が常識ではありえない。当然の判決だ」。勝訴から一夜明けた1日、原告で憲法学者の上脇博之氏は「こちら特報部」の取材に、こう言い切った。
 アベノマスクが注目されたのは、新型コロナが猛威を振るい始めた2020年4月1日。マスクの品薄状況の改善を狙って、安倍晋三首相(当時)が「全世帯に2枚ずつ配布する」と宣言した。17社と随意契約を結び、調達した布マスクを家庭や学校、介護施設などに無料で配った。
 政策効果などが不透明だったため、上脇氏は同年4〜5月、事業を所管する厚生労働省と文部科学省に、納入業者との契約文書などの公開を請求。しかし開示された文書は、発注枚数や単価が黒塗りだった。
 一部の文書には「マスクの単価が税込み143円」と、黒塗りし忘れたとみられる記載もあったが、実際はいくらで他の契約はどうなのか、価格や業者決定のプロセスも分からない。文書45件の黒塗り部分の開示を求め、同年9月に大阪地裁に提訴した。
 それから2年半近くたって出た今回の判決文。徳地淳裁判長は「公にしても、国の利益や企業の競争を害する恐れはない」などとして、国側の主張をことごとく退けている。

◆「営業ノウハウ明らかになり競争不利に」→「不当に害するとは考えがたい」

 まず「企業の営業ノウハウ、アイデアが明らかになって、同業者との競争上不利になる」という論理。判決は、マスクの需給バランスが崩れた特殊な状況下での各企業の調達能力を推認できる可能性はあるとしつつ、「その程度の漠然とした情報が、各企業の競争上の地位を不当に害するとは考えがたい」と一蹴した。

◆「同様の事態で売値のつり上げ可能に」→「積極的な開示の方が有益」

 「同様の事態が生じた際に、売値のつり上げが可能となる」という主張も、「談合による違法なつり上げでない限り、いわば自由競争の範囲内」と否定。その上で「単価が事後的に公開される前提の方が信頼維持の観点から企業に自制心が働きやすく、談合を防ぐことができる。売値のつり上げを避けるには、むしろ単価金額の積極的な開示の方が有益」と正反対の判断を示した。

◆「政府と取引する企業なくなる」→「大量調達する事態が起きる可能性は低い」

 判決は「国が随意契約により購入する物品代金や単価は、税金の使途にかかる行政の説明責任の観点から開示の要請が高い」とも説明。「政府と取引する企業がなくなってしまう」という懸念にも、将来感染症が急拡大して政府が布マスクを大量調達する「特殊な事態が起きる蓋然性がいぜんせいは常識的に考えてかなり低い」と疑問を呈した。こうして、賠償以外の原告の請求を全て認めた。
 厚労省は判決後、「厳しい判決だ」などとするコメントを出した。岸田文雄首相は1日の国会で「(控訴について)さまざまな観点から適切に判断する」と述べている。
 提訴後の21年11月、会計検査院がアベノマスクの調達平均単価は約139円だったと明らかにしたが、単価の詳細や契約の経緯は今も不明。上脇氏は「国民の大半が使わなかったアベノマスク事業を総括する必要がある。国は控訴しないで、まずは国民に情報を開示した上で、第三者による検証を進めるべきだ」と訴える。

◆準備書面の提出遅れ、変わる主張‥‥審理中もおかしな対応

 そもそも法廷の審理中から、国の対応には首をかしげる場面があったという。
 結審を控えた昨年9月、国は主張をまとめた最終準備書面を、提出期限から8日遅れ、口頭弁論当日に提出した。原告側が「結審の直前に出されても反論できない」と異議を唱え、徳地裁判長も認めて書面を受け取らなかった。
 提出期限を守れなかった理由を法務省行政訟務課に取材したが、「内部の事務処理に関することで詳細は控える」という。原告弁護団のたに真介弁護士は「国相手の裁判でこんなことは初めて。国は主張の内容をなかなか詰められず、ごたごたした様子がうかがえた」とあきれる。
 この裁判と並行して、上脇氏が起こしたアベノマスク契約の経緯に関する文書開示請求訴訟でも、国の「迷走」ぶりが目立つ。
 国は当初、業者とのやりとりを記したメールについて「作成または取得した事実はなく、実際に保有していない」と存在を否定。しかし審理が始まると、「廃棄した」と主張を変えた。さらに昨年3月、業者数社がメールを開示し、業者側に残っていることが判明。国はその4カ月後に「個人フォルダーの中にメールが100通以上あった」と明かしたが、「布製マスクの購入契約締結から納品に至るまでの実質的な過程が分かる文書には該当しない」と主張し、開示しなかった。
 谷弁護士は「業者からメールが出てくると国は突然、めちゃくちゃな主張をし始めた。情報は出さないという結論ありきの姿勢しか感じられない」と批判。「政策に関する基礎データが国民に示されないままでは、検証できない」と開示の必要性を強調する。

◆なぜ情報出したくない?識者「安倍政権に忖度せざるを得なかった」

 それにしてもなぜ、国はここまで情報を出したがらないのか。
 
 元厚労官僚で神戸学院大の中野雅至教授(行政学)は「安倍政権に忖度そんたくせざるを得なかったのだろう」とみる。アベノマスクは当初から費用対効果が疑問視されており、国が単価を公表すれば、世論から「高い」などと批判が高まる恐れもあったという。「安倍首相や政権の権威が失墜するのではないかとの恐れから、役人の感覚として『何となく非開示にしておこう』との判断に傾いたのでは」と述べる。
 そもそも省庁には「国民に情報を出さずに政策を進めたい、つまり『よらしむべし、知らしむべからず』の感覚は根強い」と言う。「うがち過ぎかもしれないが、非開示にして提訴されれば裁判は数年かかる。敗訴して開示することになっても、そのころにはマスコミの追及や世論の関心は薄れる。そこまで考えてもおかしくない」
 元文部科学官僚で星槎大の寺脇研客員教授(教育行政論)は森友学園に関する財務省の決裁文書改ざんの例を挙げつつ、「第2次安倍政権以降、総理の責任を追及されるような事態になるのはまずいという考えが、官僚に強く働くようになった。アベノマスクの情報黒塗りの一因でもある」として警鐘を鳴らす。
 「今回の判決は司法がチェック機能を果たしたと言えるが、情報開示を促すには国民の怒りの声も重要だ。情報開示に後ろ向きな政権には選挙でノーの意志を示さない限り、今後も政権が白紙委任を得たかのように政策を進め、検証もままならないといった課題は起きるだろう」

◆デスクメモ

 判決によると、厚労省や経済産業省の「合同マスクチーム」は最大時134人体制で、布マスク担当者は31人もいた。この訴訟の国側代理人にも、官僚が名を連ねている。3年間、霞が関はどれだけの労力と税金を費やしてきたのか。推し進めた政治の責任も問われるべきだ。(本)

このように信用できぬ政権の下、大事な「マイナンバー」を託すわけにはいかん。
 
今日もいい天気。日中は+気温。
昨日の道路。
今日の道路。
先月21日にトレーニングルームの説明を受け、ボチボチと始めている。
誰もいないし、何時間やろうと全部無料。
田舎のいいところだ。


ちょっといわせて 税金使った普及やめよ

2023年03月01日 | 生活

「しんぶん赤旗」2023年3月1日

 「いよいよ最後のチャンス! カード申請は2月末まで!」「マイナポイントの申し込みはお早めに!」―テレビからは、プロ野球監督や俳優が出演するテレビCMが流れ、全国紙には2月4日付に続いて18日付でも全面広告です。政府は、マイナンバーカードを普及するため、新規に取得すると最大2万円のマイナポイントがもらえると大宣伝を展開しました。

 しかし、待ってほしい。この“アメ”は、税金です。政府はこれまで、マイナポイント事業に総額2・1兆円もの予算を使っています。しかも、日本共産党の宮本岳史衆院議員の調べ(本紙昨年7月16日付)によると、マイナポイント第2弾のCMは、あの東京五輪談合事件の主役、電通が49・7億円で請け負っているのです。

 そもそもカード取得は法律では任意です。政府の個人情報保護委員会に寄せられた報告では、2017年度から21年度までの5年間で、約5万6541人分のマイナンバー情報が漏えいしたり、情報が入ったUSBなどが紛失しています。

 安全性への懸念や監視社会への不安から、国民のカード取得が政府の思い通りに進まないのは当然です。

 そのため、政府は、“ムチ”作戦も。現在は社会保障と税、災害対策の3分野に限定しているマイナンバーの利用範囲を、国家資格更新や自動車登録などにも拡大しようと法改定をたくらんでいます。さらに、健康保険証を廃止したうえで、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を義務付けようとしています。すでにカード未取得者の窓口負担増も始まっています。岡山県備前市では保育料や給食費などを無償とする対象を家族全員がカードを取得した世帯に限定する、という教育の機会均等に反することまで実施されようとしています。

 便利でも必要でもないカードを“アメ”と“ムチ”で強引に利用拡大を図り、持ちたくない国民にカードを強制する“政策”はただちにやめるべきです。(藤沢忠明)


まったくだ!
現役世代ならいざ知らず、高齢者にとっては不便で必要でもないし、安全性にも欠ける。
税金、こんな使い方でよいのか?!