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趣味の世界と零細企業末端社長としての近況報告。
書きたいことを書き、たまにアッと驚くことを発表する。

相続税その2

2008-05-04 01:43:14 | 永住できる目黒区を考える
おとといは、文化を崩壊させる相続税の話、きょうは、会計理論では説明できない相続税の話をしましょう。

  普通、会社の場合には、儲かった利益に対して税金がかかります。

  たとえば、製造業の場合を考えてみましょう。

  製造業であれば、材料を仕入れて、加工していきます。

  そして、出来上がった製品を売って、利益を上げます。

  製品が出来上がった段階で、「これは定価が100万円ものだから、100万円の
  売上を計上しよう。」ということには、なりません。

  これが売れてお客の手元にいった段階で、はじめて売上100万円を計上するのです。

  売ったのだから、現金は手元にあるはず。

  だから、課税されてもその現金で納税ができるはず。

  もし売れ残ったりした場合には、ぜんぜん儲かっていないし、そもそも売れてなければ現金がないので、課税もされません。
  
  当然ですよね。

  もし、まだ売れていない在庫を売れたことにして利益をかさ上げしたら、粉飾決算ということになります。

  こういう利益は、専門用語でいうと
 「未実現である」といいます。

  実際に実現していない利益、ということですね。

  売れていないので、利益の裏づけとなる現金がない。

  なので、利益があるとは認められない。

  したがって、課税もできない。
  
  とても、理にかなっています。

  未実現利益の計上は、会社法でも認められていないし、法人税法上も課税されないことになっています。


  ところが、相続税ではこれをさせられるのです。
  
  きのうも話しましたが、たとえば、自宅。

  基本的な考え方としては、「これを売ったら、いくらになるか」を計算して、
  それに対して税金がかかってきます。

  売れてもいないのに、それに対して税金がかかり、現金での納付を求められるのです。

  これでは、そもそも払えというほうが無理がありますよね。


  世論では、格差是正のために相続税の課税を強化しろ、という声があるように報道されています。
  
  でも、本当に相続税の課税が強化されたら、死ぬことに対してもおカネがいる、という世の中になってしまいます。

  そもそも、自分の財産は自分が働いて得た所得から所得税や住民税を払って、その残りで得た財産です。

  それに対して課税するのは、二重課税でもあります。

  さらに、未実現利益に対する課税もされる。

  相続税は、本当に問題の多い税金だと思います。