ご無沙汰しております。m(_ _)m
ブログの閲覧回数100万回突破時はスウェーデンに滞在中でしたが、先週の金曜日(3月11日)に無事に日本に帰ってきました。
今回の滞在は、ストックホルムにあるカロリンスカ研究所(ノーベル医学生理学賞の選考委員会があることで有名)の知り合いの研究者のもとでの研究目的の留学でした。ちょうど1ヶ月にわたってストックホルムに滞在し、留学としては短い期間だったものの本格的な実験作業にも取り組み、海外での研究体験を得たことで研究者として一回り成長できたと思います。
もちろん、せっかく1万キロの彼方に行ってきたので、週末は観光にも積極的に出かけて見聞を広げてきました。基本的にはストックホルム近郊の博物館などを巡っていましたが、滞在の最後には北極圏のナルヴィクやキルナまで夜行列車で出かけたりもしました。それらの内容についてはぼちぼちとこのブログで紹介していきたいと思います。
さて、今回は帰国時の話を記したいと思います。
今回のスウェーデン渡航では、往復ともフィンランド航空を使い、ヘルシンキ経由でストックホルムに飛びました。
帰国便は夜間飛行でしたが、なんと機内から壮大なオーロラを鑑賞することができました。
以下、詳細を記していきます。
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現地時間の3月10日木曜日、帰国当日も私は研究所に顔を出し、研究室のルームメイトやボスに別れの挨拶をしてから昼過ぎに空港に向かいました。
カロリンスカ研究所はストックホルム市の北に隣接するSolna市にあり、国際線が主に発着するArlanda空港はさらに北方に位置しています。
空港へは、ストックホルム中央駅発着の高速列車Arlanda Expressや通勤電車で行くのが主流ですが、カロリンスカ研究所からは直通の空港シャトルバスが出ており、今回はそれを使いました。Arlanda Expressだと280クローナ(約3800円)もかかるのですが、バスだと119クローナで移動できます。なお、バスは事前予約すればさらに30クローナ安くなるのですが、うっかり忘れていてちょっと損しました。
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ストックホルムからひとまずヘルシンキに向かいました。
スウェーデンの代表的な航空会社はスカンジナビア航空(SAS)ですが、SASはスカンジナビア諸国の合同運営となっており、アジア方面からの発着はデンマークのコペンハーゲン空港に集約されています。そのため、ストックホルムへは日本からの直行便はありません。どうせ直行便が飛んでいないのなら、フィンランド航空利用のヘルシンキ経由の方が時間のロスは少ないので、今回の滞在では往復ともフィンランド航空を利用しました。
ヘルシンキ行きのチェックインカウンターは同じEU圏内の国内線扱いなので、こじんまりとした印象でした。
ここで日本までの飛行機を予約した電子チケットを見せ、ストックホルム~ヘルシンキ、ヘルシンキ~中部国際空港、中部国際空港~札幌(JAL便)の3つの航空券を発券してもらい、荷物を預けました。フィンランド航空は最近福岡線を開設しており、いずれは札幌線も開設してくれるかもしれません。そうなれば日本国内での乗り継ぎが要らなくなり、札幌からヨーロッパへの出張が格段に便利になるのですが・・。
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ヘルシンキへのフライトは定刻14時10分発のフィンランド航空642便(A319, OH-LVG)でした。
かなり早い出発30分前から搭乗が始まり、定刻の5分前には乗客の搭乗を終えて出発しました。
日本への乗り継ぎ客も多少は乗っているものの、殆どが地元客なので、機内放送はスウェーデン語、フィンランド語、英語の3ヶ国語のみでした。
ところが、機長からの歓迎アナウンスのみ、「ミナサマ、コンニチワー」から始まる軽快な日本語が聞けました。きっと日本通の機長さんなのでしょう。一回きりだったので録音できなかったのが悔やまれます。
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他の航空会社では離着陸時の電子機器の使用制限はかなり緩和されていますが、フィンランド航空は安全最重視らしく、デジカメを含む電子機器は離着陸時に使用できませんでした。こちらはベルトサインが消えてから撮ったスウェーデンの大地。次に見られるのははたしていつになることやら。
さようならスウェーデン!
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ヘルシンキ・ヴァンター空港へは1時間弱で到着。スウェーデンとフィンランドでは時差が1時間あるので16時になっていました。日本行きの飛行機出発までは1時間しかありませんが、同じターミナルビルから出発するので、30分程度で乗り継ぎ可能です。
ヘルシンキでEU圏からの出国審査を受けました。フィンランドやスウェーデンはシェンゲン協定を批准しており、互いの国を行き来する際の出入国審査が省略されています。そのため、出国審査はストックホルムではなくここで受けることになります。ストックホルムに向かう際の入国審査では結構事細かに色々聞かれましたが、出国審査はパスポートを見せるだけですぐにスタンプを押してもらえました。
空港内の免税店(空港内の詳しい様子は別記事でご紹介しようと思います)でムーミングッズなどを買い、日本行きの飛行機の搭乗口に向かいました。アジア方面への飛行機はいずれも同じような時刻に出発しており、日本行きも成田行きと中部空港行きがほぼ同時刻の出発なので、搭乗口周辺は日本人の密度がとても高く、久しぶりに日本人に囲まれて海外生活での緊張がほぐれました。
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日本への帰国便はフィンランド航空79便(A330-300, OH-LTR)中部国際空港行きを利用。機内最後方の左側窓際席でした。
隣の席は日本のとある国立大学の学部生の女の子で、春休みに友人とフィンランドの北部ラップランドを旅行した帰りとのこと。生物系の専攻とのことで、まだ研究室には入っていないそうでしたが、離陸まで私の研究の話などをしばらく話しました。
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エコノミークラスのシートはこんな感じ。シートピッチは狭めですが、座り心地は悪くなかったです。
実は私は海外旅行に行くのは16年ぶりだったのですが、この間に飛行機の座席は格段の進歩を遂げており、各座席にテレビモニターが付くようになりました。以前は何時間もの飛行だと時間を潰すのが大変で、空港で文庫本を買って揺れる機内で読んだりしていましたが、今は好きな映画を見ながらリラックスして目的地に向かえます。
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現地時間17時20分にヘルシンキ空港を出発。離陸から1時間ほどが経過した頃、ロシアとの国境付近で日没を迎えました。
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日没とほぼ同時に1回目の機内食の提供が始まりました。
夕食はチキンライスを選びました。ムーミンのチョコが付いているのがフィンランドらしいです。
日本そばもなかなか美味でした。
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離陸から2時間が経過し、機内食を食べ終わった頃、飛行機の前側にほんのり緑色の明かりが見えてきました。
これはもしや・・オーロラ?
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こちらはヘルシンキから日本までの飛行ルート(赤)です。約8000kmあります。
これを見ると、途中で北極圏のぎりぎり手前を通過することが分かります。オーロラは北極線(北緯66度33分)に沿ってよく見られるので、この飛行機でもオーロラが見られる可能性がありました。
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しばらくすると、明かりが窓のすぐ近くまで近付いてきました。おお、これは明らかにオーロラです!
まさに光のカーテンといえる光景に、しばし絶句しました。
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刻々と変化するオーロラ、まさか飛行機の中からこんなに美しい光景が見られるとは思っておらず、感動しました。
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既に機内は就寝モードに入っており、窓の日除けを閉めている人が大半で、特に機内放送も無かったのでオーロラに気付いている人は他にいませんでした。また、オーロラは時折肉眼で見える程度まで明るくなるのですが、機内の明かりがある状態だとよほど目を凝らさないと気付くことは難しかったでしょう。(よく私は気付いたものです)
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ともあれ、せっかくオーロラが見えているので、隣の席の子にも声をかけて窓を覗いてもらいました。実はその子曰く、フィンランド北部での滞在中は曇りがちで殆どオーロラは見えなかったそうで、目の前の空一面に広がるオーロラに興奮している様子でした。
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数秒でオーロラの形は変化するので、写真を撮るのは大変でした。
まず機内照明の映り込みを防ぐため、コートを頭から被ってカメラを窓にぴたりとくっつけ、超高感度で短いシャッタースピードを使って撮影しました。動画でも撮ろうとしましたが、ISO6400、F2.8、シャッタースピード30分の1秒では殆ど写りませんでした。
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オーロラは明るくなったり暗くなったりを繰り返しながら、既に1時間以上も見えていました。
隣の席の学生さんに逐一撮った写真を見せていたのですが、その都度オーロラの美しさに見とれていました。「こんなに綺麗なものが見えているのに、寝てるなんて勿体ない」と、他の席の友人にも呼びかけてくれて、何人かの女の子が代わる代わる私の席の窓にオーロラを見にきました。
(色んな意味で幸せなひとときでした)
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一番ブレが少なく綺麗に撮れたのがこちらの写真。恐らくオーロラのほぼ真下を飛んでいる状態で、頭上まで緑色の光がカーテン状に広がっていました。オーロラ越しに北の夜空の星々が見えていて、本当に綺麗でした。
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実は私もオーロラを見るために前日までスウェーデン北部の北極圏地方に行っていたのですが、やはり天気に恵まれず撃沈。帰国便でオーロラが見える可能性があるとの情報をネットで見かけていたので、一縷の望みをかけてはいましたが、まさかここまで長時間にわたってはっきりとしたオーロラを楽しめるとは予想していませんでした。
オーロラ鑑賞といえば、普通は氷点下の寒さの中で凍えながら眺めるものですが、空調の効いた機内からドリンクを飲みながらゆったり眺められるのですから、贅沢なものです。
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オーロラが見え始めてから2時間が経つと、徐々に飛行機から遠ざかっていきました。
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オーロラがもっともよく見えていたときの飛行位置はこの辺。
ロシア北方のノヴァヤゼムリャ列島の付け根の辺りです。GPS計測では、北緯65度くらいでした。
この後は日本に向けて緩やかに南下するので、北極線から遠ざかります。
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オーロラが見えはじめてから2時間半ほどで、オーロラはほぼ地平線に隠れました。
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飛行機はシベリアのど真ん中を順調に飛び続け、オーロラが地平線に消えてから1時間ほどで空が白み始めました。
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さらに1時間ほどが経ち、中国の上空に差し掛かると太陽が昇ってきました。
日没から僅か5時間しか経っていません。飛行機で飛ぶことで夜を半分ほどに圧縮したというわけです。
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ハルビン付近を通過。川の流れが複雑です。
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到着2時間前から朝食の提供が始まりました。
ソーセージとスクランブルエッグ、そしてほうれん草のソテーのおかずで、結構ボリュームがありました。
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朝食を食べ終える頃には、3分間ほど北朝鮮の上空を飛行し、清津付近から日本海に出ました。
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ほぼ定刻の日本時間9時35分に中部国際空港に到着しました。
飛行中の天候は安定していて、殆ど揺れることなく快適なフライトを楽しめました。
1ヶ月ぶりの日本の空も快晴。名古屋の気温は7度ほどで、春の陽気を感じました。
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中部空港で入国審査を済ませ、国内線に乗り継ぎ、日本航空3105便(B737-800, JA314J)で新千歳空港に向かいました。
この機材は東京ディズニーシーのキャラクターであるダッフィーの特別塗装機でした。
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機内のヘッドカバーにもダッフィーのイラストが描かれていました。
最近の日本航空のシートは黒皮で、格好良いデザインになっています。また、この機材は機内WiFiに対応していました。
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中部空港離陸後に見えた北アルプスの山々。
日本の山ですが、雪が積もっているので、つい先日見た北極圏の山と見分けがつきませんでした。
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12時50分、定刻より早めに新千歳空港に無事到着。
なんと外は強く吹雪いていて、北欧よりも厳しい天候に驚きました。
その後、JR快速エアポートに乗り、13時には札幌に帰着。早速北大の研究室に顔を出してお土産を渡したり、この日が期限だった学内向けのeラーニングを受講したりなどしました。
飛行機を2回乗り継いできたとはいえ、ほんの十数時間前までストックホルムの研究室にいたのですから、飛行機の速さには驚くばかりです。
幻想的なオーロラが見えたこともあって、1ヶ月にわたるスウェーデン滞在がまるで夢でも見ていたかのように感じました。
無事に帰国した今、私は色々と将来のことを見据えて動き始めなければいけない状況にあります。
スウェーデンで学んだことも生かしながら、これからの研究者人生を踏み出すために一層頑張って進んでいこうと思う今日この頃なのでした。
ブログの閲覧回数100万回突破時はスウェーデンに滞在中でしたが、先週の金曜日(3月11日)に無事に日本に帰ってきました。
今回の滞在は、ストックホルムにあるカロリンスカ研究所(ノーベル医学生理学賞の選考委員会があることで有名)の知り合いの研究者のもとでの研究目的の留学でした。ちょうど1ヶ月にわたってストックホルムに滞在し、留学としては短い期間だったものの本格的な実験作業にも取り組み、海外での研究体験を得たことで研究者として一回り成長できたと思います。
もちろん、せっかく1万キロの彼方に行ってきたので、週末は観光にも積極的に出かけて見聞を広げてきました。基本的にはストックホルム近郊の博物館などを巡っていましたが、滞在の最後には北極圏のナルヴィクやキルナまで夜行列車で出かけたりもしました。それらの内容についてはぼちぼちとこのブログで紹介していきたいと思います。
さて、今回は帰国時の話を記したいと思います。
今回のスウェーデン渡航では、往復ともフィンランド航空を使い、ヘルシンキ経由でストックホルムに飛びました。
帰国便は夜間飛行でしたが、なんと機内から壮大なオーロラを鑑賞することができました。
以下、詳細を記していきます。
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現地時間の3月10日木曜日、帰国当日も私は研究所に顔を出し、研究室のルームメイトやボスに別れの挨拶をしてから昼過ぎに空港に向かいました。
カロリンスカ研究所はストックホルム市の北に隣接するSolna市にあり、国際線が主に発着するArlanda空港はさらに北方に位置しています。
空港へは、ストックホルム中央駅発着の高速列車Arlanda Expressや通勤電車で行くのが主流ですが、カロリンスカ研究所からは直通の空港シャトルバスが出ており、今回はそれを使いました。Arlanda Expressだと280クローナ(約3800円)もかかるのですが、バスだと119クローナで移動できます。なお、バスは事前予約すればさらに30クローナ安くなるのですが、うっかり忘れていてちょっと損しました。
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ストックホルムからひとまずヘルシンキに向かいました。
スウェーデンの代表的な航空会社はスカンジナビア航空(SAS)ですが、SASはスカンジナビア諸国の合同運営となっており、アジア方面からの発着はデンマークのコペンハーゲン空港に集約されています。そのため、ストックホルムへは日本からの直行便はありません。どうせ直行便が飛んでいないのなら、フィンランド航空利用のヘルシンキ経由の方が時間のロスは少ないので、今回の滞在では往復ともフィンランド航空を利用しました。
ヘルシンキ行きのチェックインカウンターは同じEU圏内の国内線扱いなので、こじんまりとした印象でした。
ここで日本までの飛行機を予約した電子チケットを見せ、ストックホルム~ヘルシンキ、ヘルシンキ~中部国際空港、中部国際空港~札幌(JAL便)の3つの航空券を発券してもらい、荷物を預けました。フィンランド航空は最近福岡線を開設しており、いずれは札幌線も開設してくれるかもしれません。そうなれば日本国内での乗り継ぎが要らなくなり、札幌からヨーロッパへの出張が格段に便利になるのですが・・。
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ヘルシンキへのフライトは定刻14時10分発のフィンランド航空642便(A319, OH-LVG)でした。
かなり早い出発30分前から搭乗が始まり、定刻の5分前には乗客の搭乗を終えて出発しました。
日本への乗り継ぎ客も多少は乗っているものの、殆どが地元客なので、機内放送はスウェーデン語、フィンランド語、英語の3ヶ国語のみでした。
ところが、機長からの歓迎アナウンスのみ、「ミナサマ、コンニチワー」から始まる軽快な日本語が聞けました。きっと日本通の機長さんなのでしょう。一回きりだったので録音できなかったのが悔やまれます。
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他の航空会社では離着陸時の電子機器の使用制限はかなり緩和されていますが、フィンランド航空は安全最重視らしく、デジカメを含む電子機器は離着陸時に使用できませんでした。こちらはベルトサインが消えてから撮ったスウェーデンの大地。次に見られるのははたしていつになることやら。
さようならスウェーデン!
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ヘルシンキ・ヴァンター空港へは1時間弱で到着。スウェーデンとフィンランドでは時差が1時間あるので16時になっていました。日本行きの飛行機出発までは1時間しかありませんが、同じターミナルビルから出発するので、30分程度で乗り継ぎ可能です。
ヘルシンキでEU圏からの出国審査を受けました。フィンランドやスウェーデンはシェンゲン協定を批准しており、互いの国を行き来する際の出入国審査が省略されています。そのため、出国審査はストックホルムではなくここで受けることになります。ストックホルムに向かう際の入国審査では結構事細かに色々聞かれましたが、出国審査はパスポートを見せるだけですぐにスタンプを押してもらえました。
空港内の免税店(空港内の詳しい様子は別記事でご紹介しようと思います)でムーミングッズなどを買い、日本行きの飛行機の搭乗口に向かいました。アジア方面への飛行機はいずれも同じような時刻に出発しており、日本行きも成田行きと中部空港行きがほぼ同時刻の出発なので、搭乗口周辺は日本人の密度がとても高く、久しぶりに日本人に囲まれて海外生活での緊張がほぐれました。
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日本への帰国便はフィンランド航空79便(A330-300, OH-LTR)中部国際空港行きを利用。機内最後方の左側窓際席でした。
隣の席は日本のとある国立大学の学部生の女の子で、春休みに友人とフィンランドの北部ラップランドを旅行した帰りとのこと。生物系の専攻とのことで、まだ研究室には入っていないそうでしたが、離陸まで私の研究の話などをしばらく話しました。
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エコノミークラスのシートはこんな感じ。シートピッチは狭めですが、座り心地は悪くなかったです。
実は私は海外旅行に行くのは16年ぶりだったのですが、この間に飛行機の座席は格段の進歩を遂げており、各座席にテレビモニターが付くようになりました。以前は何時間もの飛行だと時間を潰すのが大変で、空港で文庫本を買って揺れる機内で読んだりしていましたが、今は好きな映画を見ながらリラックスして目的地に向かえます。
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現地時間17時20分にヘルシンキ空港を出発。離陸から1時間ほどが経過した頃、ロシアとの国境付近で日没を迎えました。
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日没とほぼ同時に1回目の機内食の提供が始まりました。
夕食はチキンライスを選びました。ムーミンのチョコが付いているのがフィンランドらしいです。
日本そばもなかなか美味でした。
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離陸から2時間が経過し、機内食を食べ終わった頃、飛行機の前側にほんのり緑色の明かりが見えてきました。
これはもしや・・オーロラ?
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こちらはヘルシンキから日本までの飛行ルート(赤)です。約8000kmあります。
これを見ると、途中で北極圏のぎりぎり手前を通過することが分かります。オーロラは北極線(北緯66度33分)に沿ってよく見られるので、この飛行機でもオーロラが見られる可能性がありました。
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しばらくすると、明かりが窓のすぐ近くまで近付いてきました。おお、これは明らかにオーロラです!
まさに光のカーテンといえる光景に、しばし絶句しました。
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刻々と変化するオーロラ、まさか飛行機の中からこんなに美しい光景が見られるとは思っておらず、感動しました。
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既に機内は就寝モードに入っており、窓の日除けを閉めている人が大半で、特に機内放送も無かったのでオーロラに気付いている人は他にいませんでした。また、オーロラは時折肉眼で見える程度まで明るくなるのですが、機内の明かりがある状態だとよほど目を凝らさないと気付くことは難しかったでしょう。(よく私は気付いたものです)
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ともあれ、せっかくオーロラが見えているので、隣の席の子にも声をかけて窓を覗いてもらいました。実はその子曰く、フィンランド北部での滞在中は曇りがちで殆どオーロラは見えなかったそうで、目の前の空一面に広がるオーロラに興奮している様子でした。
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数秒でオーロラの形は変化するので、写真を撮るのは大変でした。
まず機内照明の映り込みを防ぐため、コートを頭から被ってカメラを窓にぴたりとくっつけ、超高感度で短いシャッタースピードを使って撮影しました。動画でも撮ろうとしましたが、ISO6400、F2.8、シャッタースピード30分の1秒では殆ど写りませんでした。
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オーロラは明るくなったり暗くなったりを繰り返しながら、既に1時間以上も見えていました。
隣の席の学生さんに逐一撮った写真を見せていたのですが、その都度オーロラの美しさに見とれていました。「こんなに綺麗なものが見えているのに、寝てるなんて勿体ない」と、他の席の友人にも呼びかけてくれて、何人かの女の子が代わる代わる私の席の窓にオーロラを見にきました。
(色んな意味で幸せなひとときでした)
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一番ブレが少なく綺麗に撮れたのがこちらの写真。恐らくオーロラのほぼ真下を飛んでいる状態で、頭上まで緑色の光がカーテン状に広がっていました。オーロラ越しに北の夜空の星々が見えていて、本当に綺麗でした。
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実は私もオーロラを見るために前日までスウェーデン北部の北極圏地方に行っていたのですが、やはり天気に恵まれず撃沈。帰国便でオーロラが見える可能性があるとの情報をネットで見かけていたので、一縷の望みをかけてはいましたが、まさかここまで長時間にわたってはっきりとしたオーロラを楽しめるとは予想していませんでした。
オーロラ鑑賞といえば、普通は氷点下の寒さの中で凍えながら眺めるものですが、空調の効いた機内からドリンクを飲みながらゆったり眺められるのですから、贅沢なものです。
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オーロラが見え始めてから2時間が経つと、徐々に飛行機から遠ざかっていきました。
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オーロラがもっともよく見えていたときの飛行位置はこの辺。
ロシア北方のノヴァヤゼムリャ列島の付け根の辺りです。GPS計測では、北緯65度くらいでした。
この後は日本に向けて緩やかに南下するので、北極線から遠ざかります。
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オーロラが見えはじめてから2時間半ほどで、オーロラはほぼ地平線に隠れました。
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飛行機はシベリアのど真ん中を順調に飛び続け、オーロラが地平線に消えてから1時間ほどで空が白み始めました。
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さらに1時間ほどが経ち、中国の上空に差し掛かると太陽が昇ってきました。
日没から僅か5時間しか経っていません。飛行機で飛ぶことで夜を半分ほどに圧縮したというわけです。
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ハルビン付近を通過。川の流れが複雑です。
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到着2時間前から朝食の提供が始まりました。
ソーセージとスクランブルエッグ、そしてほうれん草のソテーのおかずで、結構ボリュームがありました。
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朝食を食べ終える頃には、3分間ほど北朝鮮の上空を飛行し、清津付近から日本海に出ました。
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ほぼ定刻の日本時間9時35分に中部国際空港に到着しました。
飛行中の天候は安定していて、殆ど揺れることなく快適なフライトを楽しめました。
1ヶ月ぶりの日本の空も快晴。名古屋の気温は7度ほどで、春の陽気を感じました。
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中部空港で入国審査を済ませ、国内線に乗り継ぎ、日本航空3105便(B737-800, JA314J)で新千歳空港に向かいました。
この機材は東京ディズニーシーのキャラクターであるダッフィーの特別塗装機でした。
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機内のヘッドカバーにもダッフィーのイラストが描かれていました。
最近の日本航空のシートは黒皮で、格好良いデザインになっています。また、この機材は機内WiFiに対応していました。
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中部空港離陸後に見えた北アルプスの山々。
日本の山ですが、雪が積もっているので、つい先日見た北極圏の山と見分けがつきませんでした。
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12時50分、定刻より早めに新千歳空港に無事到着。
なんと外は強く吹雪いていて、北欧よりも厳しい天候に驚きました。
その後、JR快速エアポートに乗り、13時には札幌に帰着。早速北大の研究室に顔を出してお土産を渡したり、この日が期限だった学内向けのeラーニングを受講したりなどしました。
飛行機を2回乗り継いできたとはいえ、ほんの十数時間前までストックホルムの研究室にいたのですから、飛行機の速さには驚くばかりです。
幻想的なオーロラが見えたこともあって、1ヶ月にわたるスウェーデン滞在がまるで夢でも見ていたかのように感じました。
無事に帰国した今、私は色々と将来のことを見据えて動き始めなければいけない状況にあります。
スウェーデンで学んだことも生かしながら、これからの研究者人生を踏み出すために一層頑張って進んでいこうと思う今日この頃なのでした。
取ろうと思ったのですが方法がわかりませんでしたので、
ブログのコメントを利用させて頂きました。
私は東京都山岳連盟 気象委員会のものですが、私どもので
行っている気象の講習会があります。そのなかで高層気象の
講座があります。一般の人に成層圏・対流圏を文字で説明しても
理解が深まらないと思い、WEBでコンテンツを探していたら
【もとすけのつぶやき】様の動画「積乱雲の発達」を見つける
ことができました。
この動画を私どもの講習会でフリーで使用することはできるの
でしょうか?連絡方法がどうしていいのかわからないのでこのような
形になってしまい申し訳ありません。宜しくお願いします。
以上
当ブログ管理人の"もとすけ"こと堤と申します。
コメントいただきありがとうございます。
気象の講習会で拙動画をご使用になりたいとのこと、まことに光栄に感じます。
当該動画はYouTubeで公開しておりますので、基本的にご自由にご使用ください。
https://www.youtube.com/watch?v=Tj_FdjqmFxs
こちらがフルHD版の動画リンクです。
適宜ダウンロードしていただくなどして、どうぞご使用ください。
ご丁寧にご使用の希望をお知らせいただき、ありがとうございました。
なお、もし追加で何かご連絡いただく場合は、YouTubeの私のチャンネルにメールアドレス情報を加えましたので、そちらにご連絡いただければと思います。
よろしくお願いいたします。
堤