鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

イモムシが行方不明

2013-05-09 14:33:23 | 日記
 『猫が行方不明』というステキなフランス映画があったけれど、
いま、うちでは『イモムシが行方不明』。

 忙しくて野外歩きができなかったので、駅までの緑道を歩く時が
唯一の虫観察のチャンス。
 で、おととい道端のエノキの幼木に40ミリくらいのオオシマカラスヨトウ(ガの一種)の幼虫を見つけて
連れ帰った。
 オオシマカラスヨトウの幼虫は、ふっくらしたモチモチお肌でグミキャンディみたい。
ツノのような突起がある尾部をふりふり歩くのがかわいいので、前から大好きなイモムシ。


(手前側がオシリ)

 エノキの枝は近所にたくさんあるので、食草としてこれもたっぷり持ち帰った。

 ところが・・・・・・さっきエノキを足してあげようと飼育容器をあけると、
いない、いない、いなーい・・・・・・。
 エノキの葉にいる幼虫はすごくうまく葉の模様に溶け込んでいるので
見落とさないように、一枚一枚見て行ったのだが、やっぱりいない。

 40ミリもあるのだから、と居間の床をはいずりまわって調べても、見つからない。
今まで飼育していた虫が逃亡すること(一番の逃亡名人は、虫ではないけどオカヤドカリだった)は、ないではなかったけれど、
蓋もしてあるのに、どうして?!
 どこ行っちゃったんだろう?


 ところで、6月に出版予定の『毎日が楽しくなる 虫目のススメ―虫と、虫をめぐる人の話』、
やっと全部のページのレイアウトデザインができたPDFが出来上がった。
これから、編集や校閲の方に読んでもらって、赤をいれてもらって、それをデザイナーにデータ修正(たぶん何百か所もある)してもらって・・・・・・やっと印刷屋さんに渡せる、というわけで、まだまだ気は抜けないけれど、
でも一区切り、というところまできました。

 前著『虫目で歩けば』より30ページくらい多い176ページの本なので
つくりでがあった。
 また虫の写真がたくさんあるので、名前の間違いがないように、専門の人に校閲をしてもらうことになったので、入稿(印刷にいれる)まで、もう少し時間がかかりそう。
 そのあとさらに、初校ゲラを校正校閲→印刷屋もどし→再校(もう一度間違いがないか著者、編集、校閲が読む)→色校(主にデザイナーが写真の色がきれいに出ているかどうかチェック。修正するならここが最後のチャンス)→やっと校了。
 という流れで印刷物はつくられる。

 印刷物をつくるのに、一番こわいのが「間違い」。
ブログと違い、直せないのです。

 書いたのは著者なんだから、著者が一番わかっているだろうに、と思うかもしれませんが、
そこに落とし穴が。
 著者は、もちろん内容については自分が書いたものだから一番わかってはいるけれど、
著者ならではの、「思い込み」による間違いというのがままある。
何度も自分の書いたものを見ているうちに、変換間違いなども見慣れてしまい、スルーしてしまうことがあるものなのです。
なので、原稿はやっぱり「他人に」読んでもらわなければなりません。
ネットの書き込みなどを見ると、いかにパソコン入力による変換間違いが多いか、というのがわかると思う。

 また虫の種名の間違い。
これは虫をテーマにしている本ではもっとも気を使うところですが、
私の場合は、標本をもとに名前を調べるというわけではなく、フィールドで見た実物と写真から判断することになるので、ものによっては困難なこともあります。
 私は「同定」という言葉は使わないことにしています。
「同定」とは、たとえばチョウやガだったら、鱗翅目の専門家が、実物の標本を見て名前を見極めるという意味なので、一般の愛好家ができることではないと思うからです。
 それでも分類の第一歩は、見た目から、なので、必死に図鑑やネット、それでも難しい場合は専門の方に
画像をお送りして教えていただくこともあります。

 出版前にできるだけのことはしているつもりですが、それでも完璧ということはありません。
もし、種名の間違いなどがあった場合は、このブログに訂正記事を載せていくという方法で
対処したいと思っています。




 もう家の近くのエゴノキも花が咲き始めた。

エゴノキはいろんな虫がくるから大好き。垂れさがる花も実もかわいい。

アサギマダラの幼虫を養うために採集してきたキジョランも根付いて、新芽を吹いている。

元氣に育ちそうだから、来年もまたアサギマダラを飼育できるかな。




 それにしても・・・・・・イモムシはどこに?