トホシカメムシ 2011年9月24日 裏高尾にて
森林公園のバグズ・ストリート通いがやめられない。
こんなに寒くなったのに、まだ虫が見られるんだもん。
いつも更新を楽しみにしている『鎌倉発 旬の花』というHPがあります。
鎌倉を中心とした植物と虫の観察が中心のサイト。
好きな虫が私と似ていること、また植物の検索をしたいとき、その四季の姿がわかるようにつくられているので、いつも参考にさせていただいている。
きょう(12月10日)は、このHP管理者「一人静」さんから、
『道端自然観察館』というグループの12月観察会が森林公園のバグズ・ストリートで行われるときき、
手すりになぜ虫が集まるのか、という謎を解く絶好の機会、
とばかり飛び入り参加させていただいたのでした。
(*バグズ・ストリート・・・私が勝手に虫が特に多くみられるこの森林公園の手すりの一部分をこう呼んでいる。
実際にはこの公園の手すりはもっと長くつづいている)
『道端自然観察館』は先ごろ通算60万アクセスを達成したという人気のサイト。
管理者の「花虫」さんは、東京、神奈川の虫のいそうな場所はすべて踏破しているのではないか、と思われるほど。
また私がいつも行く森林公園の近くに住んでおられるMさんとOさんも参加されるという。
おふたりは、なんともう5年間もこの手すりの虫を一年を通して観察してこられたとうのだから、
お会いできるのが楽しみ。
10時の集合なのに、みんな待ちきれなくて9時半にはもうそれぞれに虫さがしをはじめている。
参加者は10名。
公園内の林縁に沿って、延々とつづく手すりをゆく、
いずれ劣らぬ虫目のひとびと。
雲ひとつないお天気だけれど、気温はかなり低い。
でも、バグズ・ストリートの手前から
「いるいるー」という花虫さんの声。
オオツノカメムシがさっそく見つかる。
この間も見たゴミをいっぱいくっつけたクサカゲロウの一種の幼虫ですが、
きょうはオナカの側を見てやろう、と手のひらに載せていたら・・・・・
チクッ!
咬んだ―!案外気の強いやつだと思ったら、
『虫探検広場』の園長さんから、クサカゲロウは肉食だと
教えていただきました。
肉食の虫らしい行動だったわけです。
きょうもクヌギカメムシがあちこちに。
これはオス。
腹部の横から、皮ふくろみたいなのが横にはみ出しているのは
卵をもったメス。
ふくろ部分がぶよっとしていて・・・・気持ちわるい~。
3ミリと小さいけれど、よく見るとオトボケ顔のこの虫は、
ヨツモンホソチャタテ。
これも3ミリくらいの、ゾウムシ?
体表一面毛がはえている。
きょうも会えたね、キイロテントウ。
手すりの下側もチェック。
翅がほぼ退化して飛べないコナミフユナミシャクのメス。
自分は飛ばないでフェロモンを出しながらこうしてじっとしていると、
翅のあるオスが寄ってきてくれるらしい。
婚活としては楽?
でも誰もきてくれないかもしれない。
そんなとき自力でどうにもできないっていうのは、さびしいなあ。
1,5ミリもある初めて見る立派なカメムシは、
オオクモヘリカメムシ。
緑のさし色が鮮やかです。
*後日、このカメムシは青りんごの匂いがすると、一部で人気(?)との情報が。
匂いかいでみれば良かったー。
オレンジ色で翅のあるミツバウツギフクレアブラムシ。
寒さに縮こまっているような態勢のこのゾウムシは
ノミゾウムシの仲間か。
参加者の一人静さんが、
コミミズクが見たい、と。
コミミズクって、フクロウの一種では、と
?になりながら、後をついていくと、
Oさんが、見つけましたよー、と。
行ってみると・・・・・
手すりの上に、まるでたれた液体が固まったような
1センチくらいの細長いもの。
ぺったりとはりついている。
しばらくすると、あっ、動き出した。
なに!?これ・・・・・。
一見エビみたいな、
海へお帰り、といいたくなるような、
ここにいるのが不思議な生きもの。
色違いの薄茶のもいた。
コミミズクはヨコバイ科の虫だったんです。
(もちろん、ミミズク、コミミズクというフクロウもいます)
これは「ヨコバイの仲間のコミミズク」の越冬幼虫でした。
コがつかない、ミミズクというヨコバイもいて
成虫を見るとなるほど、だからミミズクという名前なのか、と
思うのですが。
(ミミズクの成虫はここで見られますhttp://www.insects.jp/kon-mimizuku.htm )
ヨコバイのコミミズクの幼虫は・・・鳥の名前をもった、エビのような姿の不思議ちゃんでした。
そして、きょうのいちばん人気は、
カラスハエトリ。
ひさしのような前頭部からきらっとのぞく眼に魅入られたように、
みんな写真を撮るのに夢中に。
これはメス。
黒いのはオス。
フラッシュをたいた一人静さんの写真には、
なんとカラスハエトリの眼玉に、撮影者の姿が写りこんでいた。
手すり周辺も見てみると、大きな切株にはキノコや菌類がいっぱい。
夢中で菌を食べているアカハバビロオオキノコムシ。
見上げれは50センチ以上ありそうな大きなボール状のヤドリギがあちこちに。
マユミの葉裏には、キバラヘリカメムシのアーモンド形の卵が。
ヒツジの顔に見える冬芽の見つけ方も教えていただきました。
いつも見て歩くバグズ・ストリートだけでなく、
園内すべてのく手すりをみてまわったので
10時前に見はじめて、昼食をはさんで、終わったのは3時(それでもまだみんな未練ありげ)。
手すりだけで、5時間くらいも!
さすがに、夢中になっていると忘れていた寒さがじわっと感じられて、
近くのカフェでお茶。
なんでここの手すりに、四季をつうじてこんなに虫がいるのか、という謎を解くべく、みなさんにきいてみると、
○植生のゆたかな林縁に沿っていること。
○金属製の手すりであること。
○焦げ茶色に塗装されている(温まりやすい、滑りにくい。園内には一部ステンレスのぴかぴかした手すりもあるが
こちらではほとんど虫はみない)
○太さが同じで、長くつづいている。
○手すりの上は葉っぱの影などより、虫が目につきやすい。
○手すりのなかが空洞なので、中には(越冬中も含め)虫がいっぱいいるのでは。
○ところどころの支柱に隙間があるので、そこから虫が出入りできる。
などなど、日ごろの観察の実感のこもった意見がいろいろ。
木製の手すりのほうが虫が集まりやすいと思うのですが、
案外、虫はこういった人工物を利用しているのですね。
もし、身近にこんな条件に合う手すりがあったら、
虫目になってみては?
主催者の花虫さんはじめ、みなさんのお人柄なのでしょう、
とてもリラックスできて、ゆずりあって心行くまで写真も撮れる
楽しい観察会でした。
姉妹サイト『バニャーニャ物語』その11 「フェイの錬金術」
更新しました!
バニャーニャはもう早春。
錬金術に夢中になったフェイは、
なんとか釜を手に入れようと・・・・・・。
一足早い春のバニャーニャに遊びに行こう!
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