ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

影見えて

2019-11-03 04:38:00 | 短歌





うつそみの ひとのこころの 影見えて もはやつかへぬ くはしめのかほ





*辛辣ですね。もちろんこれは大火の作です。こういう歌をさらりと詠ってくれるところが小気味よくすがすがしい。

うつそみの、は、人、にかかる枕詞ですから、特に訳しません。

人のこころの影が見えて、もう通用しない美人顔であることよ。

繰り返し言われているように、この時代、人間の感性が進化し、人の心まで見えるようになりました。大火が細やかにテクニックを教えてくれるので、もうみんな誰の心も簡単に見抜けるようになりましたね。

たとえばネットに流れている芸能人の写真なんかに、尋ねてみるのです。そうしたら、写真が何も隠すことなく正直に真実を答えるのです。なぜそんなことができるかは詮索しなくてもよい。とにかく、それができるようになったというのが重要なのだ。

表面は人格者を気取って完璧に装っている芸能人が、裏で人を馬鹿にしていやなことをしていたりすることなど、もうばればれなのです。

世の流行は今、自分自身ですから、自分がいいとか、自分らしいのがいいとか、言うことを言っていますがね、その自分自体が嘘なのだということがばれている。人の美貌を盗み、人の徳分を盗み、完璧に良い人間に化けている馬鹿なのだということが、もうばれている。

芸能界というのは、とにかく見栄えが命です。見栄えが通用しなくては、何もない。それなのにその見栄えが通用しない時代がやってくる。いやもう来ている。

見栄えばかりを馬鹿にきれいに磨きこんで、完璧を装えば装うほど、それは馬鹿になる。そんなことをしなければ、自分がもたないほど、自分がつらいのだということになる。

時代の最先端を生きているはずの芸能人が、もはや痛い流行遅れになっているのです。なぜなら、人間はもう進化し、本当の自分自身の空に飛んでいくからです。その進化の過程で、人の見栄えはもっと質素になっていく。

自分を衒わなくてもいいほどに、自分が確かなものになっているからです。

本当の最先端は、もっと違うところに芽生えているのです。





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