ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

細月の

2022-01-17 14:56:10 | 短歌





すみそめの ゆふべにかかる 細月の かひにすくひし おのがかげかな




*「すみそめの」は「ゆふべ」にかかる枕詞ですね。「かひ」は「匙(かひ)」です。この歌、ツイッターに発表したときは、「すみそめのゆふべにかかるみかづきのかひにすくひしつきのかげかな」となっていましたが、今一つ意が伝わらないと思い、表題のように直してみました。

月の写真が欲しいところですが、ないので、これでがまんしてください。丸い花の形が少し月を思わせるということで。

夕べの空に細い月がかかっている風景はよく見られますが、時々、それがまるで匙のように、自分の影をすくっているかのように見えるときがあります。地球照と言いましてね、地球が跳ね返す光が、月の暗部を薄く照らして、その影がうっすらと見えるときがある。それを見て、自分の重い影を背負っていく人間の心を思い合わせたりしました。

この世に、罪の影を持っていない人間はいません。暗い迷いの時代に、馬鹿なことを何もしなかった人間はいません。人間は自分を嫌がり、その苦しさのあまりに、この世を破壊せんばかりに暴虐を働いてきた。その罪はあまりに重く、人間の前に立ちふさがるのです。

馬鹿な人は、それを見るのが嫌なばかりに、罪から逃げ続け、余計に罪を重ねるのだが、正しい人は、おのれの重い影を正しく背負い、それを支払ってゆくべく真面目に働いていくのです。

夕べの空にかかる細月が、おのれの影を匙のようにすくっているように、人間もまた自分の影を背負っていくのだ。

それが正しい人間の態度なのです。そこから逃げていては、人間は始まりません。たとえ自分のしでかしたことが人間として認めたくないほど恥ずかしいことでも、馬鹿にならずに正視し、正面から受け止め、自分のものとして背負っていくのが、美しい人間のすることなのです。

迷いの時代、人間はみんな、間違ったことをたくさんしてきました。しかし自分というものがわかり、本当の自分の正体に気づくと、生まれ変わったように自分が美しくなる。すばらしいことができるようになる。神に従って正しく生きることがどんなに美しい幸福を呼ぶかを知る。

そのように美しくなった人間は、重い自分の影をすくいあげる月のように、自分を正しく背負って、まっすぐに自分を生きていくのです。






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