
冬の夜は まなこ清めて つまを見よ 夢詩香
*やはり冬の間は、冬の句がいいでしょう。寒さが身に染みますね。
夜は一層寒い。人生にも、そういう時期はある。
つらいことが重なって、暗く厳しい時を生きねばならない。冷たい人の仕打ちや、窮乏してくる財政や、困ったことをしてくれる子や友人や、いろんな問題が噴き出てきて、苦しいなんてことを言う暇もなく、忙しく働かねばならない。
人間は今まで、人を苦しめるようなことをたくさんしてきましたから、ちゃんといいことをして勉強してきた人でない限り、たいていの人にはそういう真冬の夜のような時期があるのです。
寒い季節に光もない。月も星もない。身を粉にして働かねば嫌なことになる。
だがそんな時、つまこがいてくれるのは、幸いだ。やっかいものでも、家族がいてくれれば暖かい。
縁あって家族になってくれた人々は、魂の仲間だと言っていいでしょう。同じ環境の中に集まって、互いに協力し合い、愛を勉強していかねばならない魂なのです。
人間というものは、近くにいる人ほど粗が見えるものですから、よけいに憎んだりしてしまうものですが、本当は、もっと目を清めて見てみれば、よいところも見えてくるものです。
酒を飲んで文句を言ってばかりいる人だけど、ちゃんとまじめに働いてくれるとか、美人じゃないけど料理はうまいとか、そんな小さなことだが大切なことがあるはずだ。そこを大事にしてみる。
言葉にして言ってみる。
あなたのおかげでいいものを買えたよとか、おまえのおかげでうまい飯が食えるとか。そんな暖かい言葉を言ってみるのです。それだけで、周りにある愛が増えてくる。
子供がいておれは幸せだ。働く気力がわいてくる。
お父ちゃんがいて幸せだ。今日も学校に行ける。
当たり前のことを当たり前と思わず、そんな小さなことを素直に表現することで、だんだん、人生の冬が去っていったりするものなのです。
美しいですね。
冬の寒い夜には、身を寄せ合って、たまには互いをよく見てみましょう。今まで知らなかった人に、そこで出会えるかもしれません。