殺生は これがきはみと 蚊をつぶす 夢詩香
*わたしの知っている人に、本当に、めったに虫も殺せないような人がいるんです。ゴキブリも殺せないそう。
ある日、その人のお父さんが、川でたくさん鮒を釣ってきて、煮つけを作ってくれと頼まれたそうなんです。で、その人は、生きてる鮒がどうしても殺せなくて、すごく困ったそう。
まな板の上の鮒を見て、包丁で刺そうとしたら、痛いだろうなって思うとどうしてもできなかったって。
それでどうしたのって尋ねたら、なんとそのまま冷蔵庫に入れちゃったそう。そしたら次の日も、鮒は冷蔵庫の中で生きてたそうです。それって、かえって鮒は苦しいんじゃないのっていったら、しゅんとしてました。
それから何かの事情で話が変わったから、彼女が鮒の煮つけを無事に作れたかどうかは知らないんだけど。
その人が、殺してもあまり気がとがめないのは、蚊くらいのものですって。蚊だったら、躊躇なくすぐにたたくことができるそうです。
確かに、蚊はいやですよね。かゆいし、ぶーんとうなって近寄ってくるときの不快なことといったらない。
そんなことで、こんな句ができました。