ふるさとは 月と言ひたし 庭の草 夢詩香
*庭の草をむしりながら、ふと、この世から逃げて、どこか知らない自分の故郷に帰りたいと思う。そんなことが、女性にはよくあります。
この世界で生きることが、女性にとってはあまりに苦しいからです。
家を住みやすく整えるために、庭の草むしりなどをしているのだが、それは決して誰にも認められることはない。心を尽くして、みなのために、よいことをきちんとやっていても、だれもそれを美しいとは言ってはくれない。
本当は、草むしりなどよりも、もっと高いことができるのだが、なかなかそれをさせてはくれない。何とかして、自分なりの形を作って、高いことをしようとすれば、表からも裏からも、奇妙な邪魔が入って、みながそれをやめさせようとする。
女はそんなことをするものではないのだと。
嫌になるほど、そんなことばかりある世界。無表情を気取って何もわからないふりをしているのは、そうしなければ、またいじめられるからなのです。
男よりも低いのだという姿勢を保っていなければ、とたんに正体はもっと美しいものなのだとばれてしまう。
男の嘘を、踏みにじれる力があるのだということを、男に気付かれてしまうと、まずい。絶対に男は女を殺しにかかるだろうから。
だがそんなことに耐えてばかりいると、心はいつもどこか知らない虚空に吸い込まれていく。かぐや姫のように、月の都のようなところに帰りたい。女の顔しか見ないような男ばかりがいる世界から、自分を奪い去ってくれる人が、天の世界から来てはくれないだろうか。
来てくれますよ。
神はいつまでも、女性たちの悲しみを見過ごしていたりはしない。
もうそろそろ、耐えてばかりの人生から解放される時が来る。
とうとう、男が女性を馬鹿にしてやってきたことが、崩壊してしまったからです。
それはもう見事に。