小諸 布引便り

信州の大自然に囲まれて、風を感じ、枝を眺めて、徒然に、社会戯評する日帰り温泉の湯治客です。愛犬の介護が終了しました。

食の安心・安全上の集団的自衛権侵害を考える:

2014年07月24日 | 社会戯評
食の安心・安全上の集団的自衛権侵害を考える:
これまでも、中国での食の安心・安全を巡る様々な問題は、食品製造・輸入・販売に関わってきたものにとっては、見逃すわけにはゆかない関心事である。2002年の冷凍ほうれん草の残留農薬問題、03年の鰻から検出された抗菌剤、07-08年に掛けての未だ記憶に新しい毒入り餃子混入問題、そして、今回の消費期限きれの原料を使用した米系企業のHACCP違反事件、等、この間も、ホテル向けの練り歯磨き粉に毒性物質が混入していたこと、或いは、中国産粉ミルクに、違法は物質が混入していたことなど、中国国内での偽装・違反事例も含めると、一体この拝金主義の国での食の安心・安全は、どうなっているのかと疑われる。しかしながら、今回の問題が、TV報道されている背景は、よくよく冷静に考えてみれば、報道の自由がない国で、何故、米系企業の失態が、しかも、20有余年も歴史のある有数企業で、こうした違反行為が、「意図的に」、暴かれたのか?意図的にと、米系企業と云うところが、ミソである。謂わば、これは、中国国内企業ばかりでなく、先端を行く外資系企業でも、同様のことが頻繁に、生じていることを政治的に暴露することで、大衆の民族的な自尊心と劣等感を満足させ、ひいては、アメリカ政府を牽制させようとする政府の意図は、見え見えである。それが証拠に、これまでは、すべて、海外からの指摘を受けて、問題が顕在化したにも拘わらず今回に限っては、如何にも、当局の監視体制が厳しいことをアピールして、大衆の食の安心・安全に対する不満をガス抜きしようとする意図が、感じ取られる。何事も、二重徴税・ダブルスタンダードの国であることを改めて、再認識しなければならない。経営者が、拝金主義者であれば、そこで、働く労働者は、その拝金主義という哲学を多いに学び、少しでも、手抜きで、おいしい作業を行おうとモラルやコンプライアンス法令遵守どころの話ではない。報道によれば、この工場は、HACCP(Hazardous Analysis of Critical Control Point)というNASAの宇宙食の開発時に、創造されたシステムで、広く、食品製造分野では、極めて、食の安心・安全に関しては、バイブル的な極めて有効なシステムである。もっとも、この仕組みは、前提にあるのは、従業員による高いモラル意識と法令遵守が、なければならないことは言を俟たない。既に、30有余年も前に、この専門用語を学んだものであるが、インドや中国の工場に出張したときに、驚いたことには、このハッセップの認証が、政治的・経済的な関係から、明らかにその規定からは逸脱していても、公然と、相手国から認可・認証されていることを目の辺りにした。ISOの規格なども、含めて、国際標準などと云うものは、発展途上国では、全く当てにならないことが了解されよう。ましてや、外資系企業であっても、結局は、現地のネイティブ労働者の意識改革・徹底した教育がなされなければ駄目であることが分かる。そう言えば、外国で工場を操業していたときに、勿体ないからと云って、作業机から床に落ちた原料を手袋で、拾い上げた従業員に対して、何故、そういうことをしてはいけないかを品質管理室のスタッフから、何度も、What NOT to do を説明させたことを想い起こす。あの従業員は、今、どうしているだろうか?映像を観ていて、台車を長靴で足蹴にしていたり、素手で、床に落ちた肉の原料を機械に戻す様は、なかなか、刺激的である。この米系企業は、HACCP工場認証番号は、取り消しになるのであろうか?更には、米国国家食品安全局は、どのように対応するのであろか?食の安心・安全に対する米国も含めた集団的な安全保障が、今回の事例では、明らかに、侵害されたとしか、思えないが、安倍政権・オバマ政権は、どういう見解を持っているのであろうか?食のグローバル化の中で、おおいに、考えされられる事件である。