レトロの小部屋

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刀の本

2018年02月08日 09時41分04秒 | 浮世絵 絵草子 古本 古教科書

ボロボロの汚い本だったので、消毒とシワ伸ばしにアイロンをかけ、落ち着かせました。

webから専門家らしき人にメールでお尋ねして、教えをいただきました。

タイトルは「新刀銘藎(尽)大全」です。

乙巳(きのとみ)の春。60年周期の年号であるので、弘化2年(1845)春、である。
應需 建水道人類 は「版元などからの求めに応じ、建水道人が題抜した」の意味。

茶道で水を捨てる器を「建水」というが、刀剣の捨て場の異名「秋水」になぞらえて自虐しているようだ。
建水の字は癖字で(この本を書いた人の筆跡)堂水に」見間違える。

全85ページの最後。

江戸時代は本阿弥家が唯一、幕府公認の刀剣鑑定を許されていたので勝手な出版は許されなかった。
天保年間、水野忠邦が天保の改革(1830~1841)で奢侈禁令(しゃしきんれい・贅沢禁止)を出し出版業界もしめつけていたが、失脚したのを機に出されたのかも?

しかし、連樋と添樋の図解が怪しく青江ボウシ(3つは刀剣の部分の専門用語)も間違った挿絵など、刀剣に対する見識は高くない。
名刀は地鉄(じがね)が青いと表現するが、これは観念的な言い回しである。
錦絵の武者の刀は青いのでこの本は現代のムックのようである。
最後のページの印は、持ち主の蔵書印と思われる。

いただいた回答はおよそこの様でした。

明治生まれの祖父母が子供のころ、両親や周りの大人は皆江戸時代生まれだった。
祖父が子供のころ体験した武家夫人の腕前をメールにしたためて、お礼を申し上げた。