レトロの小部屋

紙物を中心に古物を集めています。

絵草紙屋の終焉について

2018年02月09日 09時13分41秒 | 浮世絵 絵草子 古本 古教科書

先日の岩見重太郎一代記は、明治24年4月発行です。

大首絵と呼ばれた。役者、力士、小町娘などの浮世絵や絵草子でにぎわった絵草子屋はどうなって行ったのでしょう。

画家の鏑木清方に、絵草紙屋についての「こしかたの記」というのがあり、それに記されていると知りました。

所蔵品の鏑木清方の全集(昭和52年集英社)と、1993年(平成5年)展覧会の図録です。

図録の方には文筆についての扱いもありますが双方に「こしかたの記」については書かれていません。

清方の記述を探し当てました。
「その後、芳年、年方、周延、月耕(4人の画家)と、次々に新版は店頭を飾って、絵草紙屋はまだ庶民に親しまれてゐるやうだったが、27.8年の日清戦争に、一時戦争物の全盛を見せたのを境にして段々店が減って行った。
 役者絵は何と云っても写真の発達に抗し得なかったらうし、出版の戦後目覚ましい進展を見せて来たことと、34.5年に絵葉書の大流行が旋風のやうに起こって、それまでどうにか錦絵を吊るし続けてゐた店も、絵葉書に席を譲らなければならなくなった」
この続きを要約すると、雑誌などと共に錦絵も並べていた店が大正期にも2~3軒はあったが、震災の後はどうなったことやら、というような内容です。