長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

緑になるまで

2024年08月28日 23時45分26秒 | ベランダ実記
 昨夏の我がレモンの庭では、青虫に寄生する生物の魔手からの防衛対策が主眼となっていたのですが、酷暑に喘ぐ今年は、新たなる災厄がアゲハチョウたちを襲っていました。
 暴風や豪雨から生き延び蛹化したものの、もうすぐ羽化する様子を見せながら、眠りから覚めないサナギが多数発生する状況となったのが令和6年の八月でした。
 さながら『猿の惑星』などの20世紀のSF映画で、宇宙船がどこかの惑星に漂着するも、睡眠装置の故障で目覚められなかった宇宙飛行士たちのように…
 この“かえらぬサナギ”問題は、レモンの国の森番の心象に暗い影を落としたのですが、一方で、無垢なる幼児たちは炎熱地獄をものともせず、葉陰で一心に檸檬樹を蚕食するさまは、また、森番の心に、ひと時の安らぎを齎してもいたのでした。

8/15 人間の鬱屈をよそに、今日もアゲハチョウのお母さんたちの来訪で賑わうレモン林に散在する、ゆりかご荘に産み付けられた瑞々しい卵を発見したのは、79年目の終戦の日のことでした。(表題写真)

8/17 7:10AM 卵が褐色みを帯びてきました↓


同日 12:39 孵化しました↓


8/18 7:14 お食事に出掛けました↓



同日 9:04 生まれた場所が彼の寝床のようで、いつもの場所に戻っていました↓


8/19 8:44 二齢幼虫に脱皮↓


8/20 7:05 食欲旺盛。


8/21 7:26 トゲトゲ虫(三齢幼虫)に進化↓


8/22 8:40 恰幅がよくなる↓


8/23 9:48 おそらく四齢幼虫に↓


8/24 8:19 だいぶ大きくなりました。


同日 16:29 いつもの場所で大人しく↓


8/25 8:15 居続け↓


8/26 7:51 地色がやや緑に↓


同日 9:31 終齢幼虫(アオムシ)に脱皮しました。



同日 17:27 青虫生活の始まり。


8/27 7:36 ゆりかご荘から大きい枝葉のラフマイヤー南荘へ、自主的引っ越し計画推進中。


8/28 6:55 昨晩お引越し完了。新居にて。



 雨に濡れて、空き店(だな)となった、みどりちゃんになるまでの育ての親。


 だいぶ脛(葉ですが)を齧られました。
 蝉の声もやみて吹きくる風に、秋だなぁ…と、つるべ落とし。
 
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お暑うございます

2024年08月07日 11時59分19秒 | 折々の情景
暑さに耐えかねトホンとしてベランダに出でてみれば、ひらひらひら…と舞い遊ぶ蝶が一匹。



我が庵に寄宿なされしアゲハチョウが、母蝶となって再来した模様。





暫くの間、旧居を懐かしみ一頻りパタパタとベランダを游弋しておりました。









今日は立秋。
一昨夕から秋の虫の音も聴こえて、季節の移ろいは早いものです。
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夏色に染まる

2024年08月02日 00時23分28秒 | 近況
昼過ぎに外出先での用事が済んだ。
これ幸いと、早く帰って懸案事項を片付けたいのは山々だが、炎天下の熱風に吹かれて家路を辿るのに臆した。
駅ビルで涼もうか…夏物のセールでも覗いてみるか…いや、映画館で日暮れまで酷暑をやり過ごす手もあるぞ……

7月の初旬、余りにも暑いので、35年ぶりにバッサリ髪の毛を切ってもらった。
鏡の中の私は妙に懐かしく、百年ぶりに昔の自分に逢ったような気がした。



…この顔は……そうだ、ジブリの『おもひでぽろぽろ』のタエ子ちゃんでは…
何より、髪を結う作業から解放されたのが堪らなく爽快であった。
それから暫くして、犬神家の一族の草笛光子演じる三女梅子の髪型にも似てきたので、更に着る物の断捨離を挙行して身も心もサッパリと真人間、還暦過ぎの刀自に相応しい風体になるべく心掛けてみたのだが、どうも当節のアパレル業界のラインナップがしっくり来ない。

そこでふと、吉祥寺駅ビル上階のユザワヤに立ち寄り、染色コーナーで染め粉を入手。
もう二十年以前に求めた夏のカーディガンが、甘いペールブルーで最早着られない色合いだったのを、ものが良いので捨てられずに持っていたのだった。これをどうにか色揚げして、生ける衣に出来ぬものか。



何と懐かしいみやこ染め。
昭和の頃聞いたきりの固有名詞に廻りあえる歓び。
説明書通りに、粛々と手順を追ってゆく。
染め粉を溶いてカーディガンを溶液に漬け込み、待つこと30分。ぬるま湯と水で濯いで色止めの溶液に20分。脱水して干す。
思い掛けず、心地よい夏色に染まった。

思えば、染色作業に勤しむのは、小学校だったか中学校だったかすっかり忘れてしまったが、家庭科の授業でろうけつ染めをして以来だから、まさしく50年ぶりのこと。
自分の手でこんなに簡単に染め替えが出来るとは、有難いことである。

そんなわけで、酷暑を凌ぐには、注意深く神経を傾注しつつ没頭できる、何かしらの手作業が最適なことが判明。
むかし名画座で観た成瀬巳喜男監督の『おかあさん』では、家業のクリーニング屋さんで帽子の染め替えを請け負っていたっけ…と、髪型ひとつでおのが記憶のタイムラインを縦横に往き来する、令和6年夏、極熱地獄の一日。

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