月暦令和三年極月四日。
小寒の候。
朝方の鉛色の空から、昼頃より初雪となった。
寒さの余り、家に籠って稽古に励もうとも思ったが、年越しのバタバタで失念していた社会的責務の遂行に赴く。
思い掛けなく様々な憂き世の現象に出会ったので、雪も降っていることだし、久しぶりに公園を突っ切って帰ることにした。
井の頭公園、七井橋を渡る。
ボート乗り場の白鳥さんたちは大人しやかに湖面に浮かぶ。
鴨かカイツブリか、水鳥たちもしめやかに泳ぐ。
工事中の柵さえ雪化粧して美しい。
振り向けば、舫ったボートの群れが整然として、これまた美しい。
いずれを見ても水墨画の風情。
弁天様のお堂は修理中で、緑の網に囲われていた。
この月ずえの弾き初めの会で、竹生島で勿体無い唄のお役を仕るので、詫びる。
夜、43年遅れで、昭和53年度芸術祭参加作品である深作欣二監督の「赤穂城断絶」を見る。
冒頭のクレジットで唖然茫然の凄まじいオールスターキャストに笑う(歓喜のわらい)。
序盤、京都殺人案内の最強キャラ・遠藤太津朗が八島を舞う。
武家の宴会で謡曲を肴にしたシーンを描く時代劇は意外と少ない。嬉しい。
さすが深作欣二、分かりやすい。
手垢のついた忠臣蔵外伝エピをそのまま使わず、現代(20世紀)の社会派群像ドラマに仕上げてある。
そして何より錦ちゃんと千葉真一がカッコイイ。
綺羅星の如く揃った俳優たちがそれぞれ見せ場を持っているのも、深作監督の心憎い気遣い…いや、制作者たちの心意気でありましょう…しかし、これはオールスターキャストを旨とする忠臣蔵というドラマをきちんとなぞらえている本道でもある。
よく作り込んだ虚構の世界であるのに、とても現実的である。
ラスト、萬屋錦之介as内蔵助のセリフに思わず泣きそうになってしまった。
昭和5年、水戸出身の深作欣二監督ならではの武士道観といえるかもしれない。
また、昭和9年生れの高田宏治脚本は、戦前の価値観に戦後のドライさを加えて本質を曲げることなく、赤穂浪士のドラマを再構築させている。
もう見ることもあるまい…と思っていた忠臣蔵の時代劇映画だったが、何も知らない若い時ではなく、いろいろ観尽くした挙句にこの映画に出会えてとてもよかった。
めぐり逢いは偶然の顔をした必然かも…雪の夜。
小寒の候。
朝方の鉛色の空から、昼頃より初雪となった。
寒さの余り、家に籠って稽古に励もうとも思ったが、年越しのバタバタで失念していた社会的責務の遂行に赴く。
思い掛けなく様々な憂き世の現象に出会ったので、雪も降っていることだし、久しぶりに公園を突っ切って帰ることにした。
井の頭公園、七井橋を渡る。
ボート乗り場の白鳥さんたちは大人しやかに湖面に浮かぶ。
鴨かカイツブリか、水鳥たちもしめやかに泳ぐ。
工事中の柵さえ雪化粧して美しい。
振り向けば、舫ったボートの群れが整然として、これまた美しい。
いずれを見ても水墨画の風情。
弁天様のお堂は修理中で、緑の網に囲われていた。
この月ずえの弾き初めの会で、竹生島で勿体無い唄のお役を仕るので、詫びる。
夜、43年遅れで、昭和53年度芸術祭参加作品である深作欣二監督の「赤穂城断絶」を見る。
冒頭のクレジットで唖然茫然の凄まじいオールスターキャストに笑う(歓喜のわらい)。
序盤、京都殺人案内の最強キャラ・遠藤太津朗が八島を舞う。
武家の宴会で謡曲を肴にしたシーンを描く時代劇は意外と少ない。嬉しい。
さすが深作欣二、分かりやすい。
手垢のついた忠臣蔵外伝エピをそのまま使わず、現代(20世紀)の社会派群像ドラマに仕上げてある。
そして何より錦ちゃんと千葉真一がカッコイイ。
綺羅星の如く揃った俳優たちがそれぞれ見せ場を持っているのも、深作監督の心憎い気遣い…いや、制作者たちの心意気でありましょう…しかし、これはオールスターキャストを旨とする忠臣蔵というドラマをきちんとなぞらえている本道でもある。
よく作り込んだ虚構の世界であるのに、とても現実的である。
ラスト、萬屋錦之介as内蔵助のセリフに思わず泣きそうになってしまった。
昭和5年、水戸出身の深作欣二監督ならではの武士道観といえるかもしれない。
また、昭和9年生れの高田宏治脚本は、戦前の価値観に戦後のドライさを加えて本質を曲げることなく、赤穂浪士のドラマを再構築させている。
もう見ることもあるまい…と思っていた忠臣蔵の時代劇映画だったが、何も知らない若い時ではなく、いろいろ観尽くした挙句にこの映画に出会えてとてもよかった。
めぐり逢いは偶然の顔をした必然かも…雪の夜。