長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

渡船場

2013年10月02日 12時20分22秒 | 旧地名フェチ
 波止場じゃないょ、渡船場だょ。
 マーロン・ブランドでも小林旭でも宍戸錠でもない。
 むしろ日活よりも松竹っぽい「下町の太陽」的な、渡船場を巡っております。

 ことの発端は、文楽を追っかけて大阪まで出向いた時のこと。
 偶々その月は、鑑賞教室で公演日程が短かったのですね。
 前日乗り込み、日中は例によって真田山など歴史探訪をいたし、夜は天満天神繁昌亭で上方落語を堪能しまして、さて翌日。通常営業のお芝居なら午前11時開演ですが、私にはあいにく2日間の時間しかないので、一分一秒が愛おしい。
 とはいえ、カタギのお勤めの方々とは休日が違いますので、道頓堀クルーズもやってない。おはよう寄席もやってない。
 ラジオ体操以外に、早朝からオモシロい場所は無いものか。

 人間、一心に探せば何かしら見つかるもんでございます。
 大阪にはまだ、渡船場があるんですね。東京にも矢切りの渡しなどございまして、私も20年以前、お江戸散策に凝ってたころ参りました。
 でも東京の堀、水路は、先の東京オリンピックの折、ほとんど全部埋め立てられちゃった。
 
 6月の朝早く難波江の宿を立ち出でまして、まずは私的因縁の天保山渡船場へ。
 なんと、舟に乗って向こう岸まで渡してもらえるのに、ロハなんですねぇ。地元の方々の足ですから、皆さんほとんど自転車で渡られます。
 ほんの短い間ですが、磯の匂いがする汐風に吹かれて袖口をパタパタさせたりする、その心地よさときたら…!

 そのあと、日本橋の文楽劇場へ参ったのですが、なんと…!
 番組が日高川……奇跡の渡船場繋がりです。
 (そのとき私の興奮は、芝居本体とは別な意味合いでも最高潮に達しました)

 それから、大阪に用事があるとき、時間が許せば渡船場へ参るようにしております。
 渡船場は地面のどん詰まりですから、そこまで行くのが大変です。
 バスの路線を調べたり、かなりの分数歩きます。

 先日は中之島で重大な用事がありましたその前に、千歳渡船場と甚兵衛渡船場のハシゴを、実に理想的な順路で遂行いたしました。
 …たぶん、小舟とバスの殺人トリックなら西村御大をしのげるかもしれない。

 お仕着せの観光は、つまらないですからねぇ。
 
 
コメント
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