4.労働組合がない会社
「労働組合なんていらない」と、口にする人がいる。特に、20~30代に多い。今から20~30年前にも、20~30代は労組について冷めた態度をとる人がいた。それもひとつの考え方なのだろう。たしかに、労組があったところで、解決できないことはたくさんある。しかし、労組は経営側に対し、「最低限度のブレーキ」として機能するもの。例えば、大規模なリストラをする場合、退職者の数を少しでも減らすよう働きかけるとか、労働時間を可能な限り、減らすことを経営側に提案する。要求どおりになる可能性は低くとも、通常は、そのような方向に歩み寄っていくものだ。
このように労使のバランスがうまくとれている会社は、いじめやパワハラも少ない傾向がある。管理職からしてみれば、部下が労組の幹部に「あの上司のパワハラがひどい」と訴えられることを警戒しなければならない。こうして労組から人事部などに苦情が伝えられると、一段とややこしい問題になるからだ。だが、労組がない場合、そういった「最低限のブレーキ」が存在しないため、それを訴えることができず、いじめやパワハラが蔓延するきっかけになりかねない。
5.社長が創業者で、ワンマンで、カリスマ
このケースは、働く側からすると、何かと苦労することが多い。特に、30~50代の中堅社員、幹部はその場の雰囲気などを察知し、相当、上手に立ち回らないと、社長から激しく叱られたり、辞めることを促がされたりする。このタイプの社長は、天才的な一面がある一方で、気性が激しく、感情の起伏が激しい場合が多い。創業者であり、大株主でもあるから、社内において怖れる者がいないのだ。たとえ、労組があったとしても、このような社長の前では、なかなか強くは発言できないだろう。
こういう会社では、社長の信用を得た管理職の発言力が強くなり、部下に対しても激しく叱責するようになる。時には、罵倒したりして、社長の権力をかさに、強引に自分に従うよう要求する。その管理職の横暴な言動を社長に直訴する人がいないことを知っているからだ。他の幹部も結局のところ社長のイエスマンばかりで見て見ぬフリをする。これでは、部下たちは順番に潰れていくことになりかねない。
2回にわたって紹介した、いじめやパワハラが頻発する職場の特徴を読み返していただくと、その理由が、ある程度は見えてくるだろう。最後に、
いじめやパワハラが頻発する職場の特徴・続編