アルバイトを辞めたいと店長に相談したところ、「何言ってんだ」「無理だからな」と言われた――。インターネットのQ&Aサイト「OKWave」に、18歳の女子高生という相談者から投稿があった。
相談者は飲食店チェーンでアルバイトをしている。肉体的・精神的にきつい仕事で、しかもセクハラやパワハラを繰り返す店長が人間的に嫌いだという。先日、「夏ごろにはバイトを辞めたい」と店長に申し出たところ、相談者が体調不良で休んだことやレジを打ち間違えたことを大目に見ていたとして、「恩を仇で返すな」「とにかく無理だからな」と言われたそうだ。
相談者は免許合宿のための長期休暇をもらっており、「そのままフェードアウトしようか」「この辞め方は非常識なのか」と悩んでいる。はたして、女子高生は、どのようにアルバイトを辞めればいいのだろうか。労働問題にくわしい古金千明弁護士に聞いた。
●「フェードアウトを法的に正当化することは難しい」
「会社と合意できない場合でも、フェードアウト、つまり、無断欠勤したまま辞めていくという方法はおすすすめできません」
古金弁護士はこのように述べる。どうして、そういえるのだろうか。
「アルバイト契約は、法的には『労働契約』(雇用契約)に分類されます。一方的にフェードアウトしてしまうと、従業員の『契約不履行』となり、あとから損害賠償を請求されるリスクが残ってしまうからです。
たしかに、フェードアウトをしても、現実的には、会社が『不問』にしてくれることがあるでしょう。しかし、そうでない場合は、フェードアウトを法的に正当化することは難しいため、問題がさらに拡大するリスクがあります」
●アルバイト契約に「期間の定め」がない場合
では、アルバイトを辞めたいとき、どうすればいいのだろうか。
「会社と従業員の間で、退職について合意できなかった場合、従業員から退職する場合の手続きは民法に定められています。
まず、アルバイト契約に『期間の定め』がなかった場合、会社に対して退職する旨を申し出れば、退職することができます。理由は必要ありません。申し出から『2週間』が経過した時点で、原則として、退職の効力が生じます(民法627条1項)。
ただし、月給制など、期間で賃金が決まっている場合は、退職の申し出の効力は次期以降に対してのみすることができ、かつ、当期の給与計算期間の前半にする必要があります(民法627条2項)。
たとえば賃金が月給制で給与計算期間が毎月末締めの場合、7月末に退職をしたい場合は、7月15日までに退職の意思表示をする必要があります。しかし、7月16日以降に退職の意思表示をすると、8月末にならないと退職の効力が生じません。
なお、退職の申し出は、口頭でもできますが、その日付を明らかにするためにも、退職届を郵送するか、メールで送ったほうがよいでしょう」
●アルバイト契約に「期間の定め」がある場合
では、契約期間3カ月など、アルバイト契約に「期間の定め」がある場合はどうなるのか。
「フェードアウト」は非常識?「バイトを辞めたい」女子高生がとるべき対応とは・・・