「ひげの禁止は人権侵害」地下鉄の運転士が市を提訴(16/03/10)
今、保育や介護、建設現場など、公共サービスや公共工事を担う現場で、低価格の受注競争に巻き込まれ、経済的に追い詰められる労働者が増えている。京都市内のある保育所では財政削減の一環での民間委託に伴い、契約保育士全員が職を失った。このままでは働く人が食べていけなくなり、保育の質や安全が低下するのではと保護者に不安が広がっている。背景にあるのは、自治体が推し進めるコスト削減。公共工事を担う建設現場では若い後継者が育たず、労働者の技術の継承などが難しくなっている。国の調査によると、全国の自治体の半数近くが、違法に公共工事の予定価格を下げていることが明らかになり、そのしわ寄せが現場の労働者の雇用を劣化させ、さらなるワーキングプアを生み出している。どのように労働者の生活を守り、公共サービスの質を維持していくのか。
広がる“労働崩壊”~公共サービスの担い手に何が~
広がる“労働崩壊”~公共サービスの担い手に何が~
「こんなはずじゃなかった! 話が違う!!」ーー。
実態とは異なる“甘い労働条件”を提示した求人票にダマされる人が急増している。法律があっても取り締まれない、その卑劣な手口とは!?
【画像】「求人詐欺」の悪質な手口
■基本給を10万円以上偽っていたケース
ハローワークや求人サイトに出す求人票には「基本給30万円」といった好条件を提示しておきながら、実際の待遇は全く違う。そんな「求人詐欺」が急増しているという。
実際、厚生労働省に「ハローワークの求人票と契約時の労働条件が違う」と寄せられた相談件数は、2012年度が7783件、13年度が9380件、14年度が1万2252件と右肩上がりだ。
ブラック企業被害対策弁護団の代表である佐々木亮弁護士に、蔓延(まんえん)する求人詐欺の実態について聞いた。
「今はまだ係争中の案件ですが、例えば、運送会社A社の場合は、基本給を10万円以上も偽っていました。A社がハローワークに出していた求人票では『基本給』が『28万円から35万円』となっているのに、入社時にサインを求められる雇用契約書(下記写真参照)には『月給』『23万円』と記されています。さらに、よくよく雇用契約書を見ると、実際の基本給は17万4144円という非道な給与体系となっています」
そんなブラック企業なんてすぐに辞めればいい! そう思うかもしれないが、せっかく手にした正社員の仕事を失いたくないという気持ち、職歴に傷がつくことへの不安などから、泣き寝入りして勤務し続ける被害者は若者を中心に少なくないという。
「最初の募集時には基本給30万円とうたっていたにもかかわらず、実際は基本給15万円だったという事例もあります。差額の15万円分は『固定割増手当』(固定残業代)ということで、無制限に残業をさせられたそうです。
このような極めて悪質なケースでも、ハローワークなどに出ている求人票の段階では、詐欺かどうかの見極めが非常に難しい。そこが問題を根深くしている要因といえますね」(佐々木氏)
では、対抗策は何もない?
「強(し)いて言うなら、まず条件が良すぎるところは疑ったほうがいい。あとは会社では雇用契約書にサインせず、一度、家に持ち帰りましょう。もし雇用契約書を持ち帰ることに会社側が難色を示すようなら求人詐欺の可能性が高いです。そして自宅で給与欄などをくまなくチェックしてください。雇用契約書には会社側の真意が書いてありますので。
ただ、中には『基本給(固定残業代含む)』のような紛(まぎ)らわしい書き方をしている場合もあるので注意が必要です。いずれにしても、雇用契約書にサイン、捺印をしていると、法律的にはその契約に同意していたと見なされ、かなり不利になります。くれぐれも慎重にチェックしてください」(佐々木氏)
■取り締まる法律はあっても機能せず
そもそも、なぜ求人詐欺は急増しているのか? その理由を労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」代表の今野晴貴(こんの・はるき)氏に聞いた。今野氏は3月15日に最新刊『求人詐欺』(幻冬舎)を上梓(じょうし)する予定だ。
「まずは固定残業代という制度が広まったことが大きいですね。あらかじめ残業代を定額で決めておくというもので、ブラック企業は、この固定残業代を含めた額をあえて『基本給』として求人票に記載しています。あとは慢性的な人手不足も要因。人員が足りないのであれば普通は高給を払って人を雇うわけですが、昨今は人手不足だからこそダマして安く雇おうとするモラル皆無の企業が増えているんです」
でも、それって誰がどう考えても法律違反。なぜ、ブラック企業が好き勝手にできてしまうのか?
「もちろん法律はありますが、一切機能していないのが実情です。職業安定法65条では、『虚偽の広告をなし、又は
役所のチェックは絶対不可能! ブラック企業が仕掛ける“求人詐欺”のワナとは
実態とは異なる“甘い労働条件”を提示した求人票にダマされる人が急増している。法律があっても取り締まれない、その卑劣な手口とは!?
【画像】「求人詐欺」の悪質な手口
■基本給を10万円以上偽っていたケース
ハローワークや求人サイトに出す求人票には「基本給30万円」といった好条件を提示しておきながら、実際の待遇は全く違う。そんな「求人詐欺」が急増しているという。
実際、厚生労働省に「ハローワークの求人票と契約時の労働条件が違う」と寄せられた相談件数は、2012年度が7783件、13年度が9380件、14年度が1万2252件と右肩上がりだ。
ブラック企業被害対策弁護団の代表である佐々木亮弁護士に、蔓延(まんえん)する求人詐欺の実態について聞いた。
「今はまだ係争中の案件ですが、例えば、運送会社A社の場合は、基本給を10万円以上も偽っていました。A社がハローワークに出していた求人票では『基本給』が『28万円から35万円』となっているのに、入社時にサインを求められる雇用契約書(下記写真参照)には『月給』『23万円』と記されています。さらに、よくよく雇用契約書を見ると、実際の基本給は17万4144円という非道な給与体系となっています」
そんなブラック企業なんてすぐに辞めればいい! そう思うかもしれないが、せっかく手にした正社員の仕事を失いたくないという気持ち、職歴に傷がつくことへの不安などから、泣き寝入りして勤務し続ける被害者は若者を中心に少なくないという。
「最初の募集時には基本給30万円とうたっていたにもかかわらず、実際は基本給15万円だったという事例もあります。差額の15万円分は『固定割増手当』(固定残業代)ということで、無制限に残業をさせられたそうです。
このような極めて悪質なケースでも、ハローワークなどに出ている求人票の段階では、詐欺かどうかの見極めが非常に難しい。そこが問題を根深くしている要因といえますね」(佐々木氏)
では、対抗策は何もない?
「強(し)いて言うなら、まず条件が良すぎるところは疑ったほうがいい。あとは会社では雇用契約書にサインせず、一度、家に持ち帰りましょう。もし雇用契約書を持ち帰ることに会社側が難色を示すようなら求人詐欺の可能性が高いです。そして自宅で給与欄などをくまなくチェックしてください。雇用契約書には会社側の真意が書いてありますので。
ただ、中には『基本給(固定残業代含む)』のような紛(まぎ)らわしい書き方をしている場合もあるので注意が必要です。いずれにしても、雇用契約書にサイン、捺印をしていると、法律的にはその契約に同意していたと見なされ、かなり不利になります。くれぐれも慎重にチェックしてください」(佐々木氏)
■取り締まる法律はあっても機能せず
そもそも、なぜ求人詐欺は急増しているのか? その理由を労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」代表の今野晴貴(こんの・はるき)氏に聞いた。今野氏は3月15日に最新刊『求人詐欺』(幻冬舎)を上梓(じょうし)する予定だ。
「まずは固定残業代という制度が広まったことが大きいですね。あらかじめ残業代を定額で決めておくというもので、ブラック企業は、この固定残業代を含めた額をあえて『基本給』として求人票に記載しています。あとは慢性的な人手不足も要因。人員が足りないのであれば普通は高給を払って人を雇うわけですが、昨今は人手不足だからこそダマして安く雇おうとするモラル皆無の企業が増えているんです」
でも、それって誰がどう考えても法律違反。なぜ、ブラック企業が好き勝手にできてしまうのか?
「もちろん法律はありますが、一切機能していないのが実情です。職業安定法65条では、『虚偽の広告をなし、又は
役所のチェックは絶対不可能! ブラック企業が仕掛ける“求人詐欺”のワナとは
サーティワンアイスクリーム仙台一番町店(仙台市青葉区)の契約社員の元店長や元学生アルバイトら3人が9日、賃金未払いが労働基準法違反に当たるなどとして、仙台労働基準監督署に是正を求め申告した。
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申告内容は、(1)不正確な賃金計算で未払いがある(2)閉店後の深夜も1人勤務を強いられた-など15項目。
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記者会見した30代女性元店長の場合、昨年6~8月の3カ月で約130時間の未払いがあり、役職手当や持ち帰り残業
サーティワン一番町店 賃金未払い是正求め申告
電子機器製造大手のイビデン(岐阜県大垣市)の30代男性社員が自殺したのは上司のパワハラや長時間労働が原因として、遺族らが同社と上司に計約1億500万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が10日、岐阜地裁(唐木浩之裁判長)で開かれ、イビデンと上司は遺族側請求を全面的に受け入れ、訴訟は終結した。
男性社員をめぐっては昨年1月、大垣労働基準監督署が労災と認定していた。
訴状によると、男性社員は岐阜県内の事業所で設計などを担当していた2013年10月に自殺。自殺前の6カ月間は月67~140時間の超過勤務を強いられ、上司からは「何でできんのや」「バカヤロー」などと叱責されていた。
社員自殺で1億円支払い=イビデン、訴訟で争わず―岐阜地裁
男性社員をめぐっては昨年1月、大垣労働基準監督署が労災と認定していた。
訴状によると、男性社員は岐阜県内の事業所で設計などを担当していた2013年10月に自殺。自殺前の6カ月間は月67~140時間の超過勤務を強いられ、上司からは「何でできんのや」「バカヤロー」などと叱責されていた。
社員自殺で1億円支払い=イビデン、訴訟で争わず―岐阜地裁