姉は数時間前の記憶さえとどめることができなくなった。
街中でよく似た後姿の人に会えば姉をしのび、
似た声を聞くと思わず振り返る。
思い出さない日はないのに、どうしても見舞いに行けない。
現実を直視できない弱虫の私。
子供たちや孫、施設のスタッフの人たちに温かく見守られて、
暮らしているのがせめてもの慰めだ。
姉の心には、それらのことがなんにも届かないのは残念だが……。
夕日のように美しく沈んでいくことは、難しいことのようだ。
街中でよく似た後姿の人に会えば姉をしのび、
似た声を聞くと思わず振り返る。
思い出さない日はないのに、どうしても見舞いに行けない。
現実を直視できない弱虫の私。
子供たちや孫、施設のスタッフの人たちに温かく見守られて、
暮らしているのがせめてもの慰めだ。
姉の心には、それらのことがなんにも届かないのは残念だが……。
夕日のように美しく沈んでいくことは、難しいことのようだ。