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狭いベランダで育てているバラのこと、趣味のこと、トールペイントのことなどなんてことない毎日を書いていきます。

映画『永遠に僕のもの』レビュー

2019-09-23 09:47:16 | 映画
この映画を観てもう2週間以上も経ってしまいましたが、レビューを書きたいと思います。


『永遠に僕のもの』は、1970年代にアルゼンチンで12人以上も殺害した17歳の実在した凶悪犯、カルリートスをモデルに作られた映画です。

カルリートスが逮捕された時、その美貌と残虐な犯罪に世間の注目を浴びたそうですが

この映画でカルリートスを演じている新人俳優ロレンソ.フェロも、退廃的な美にあふれていて魅力的です、ルネッサンスの絵画から抜け出てきたよう。

(あらすじ)

1971年のアルゼンチン・ブエノスアイレス。
美しい少年カルリートス(ロレンソ・フェロ)は幼いころから他人のものを手に入れたがる性分で、思春期を迎え窃盗が自分の天職だと悟る。
新しい学校で出会ったラモン(チノ・ダリン)と意気投合したカルリートスは、二人でさまざまな犯罪に手を染め、やがて殺人を犯す。(シネマトゥデイからのコピペ)


いたって真面目な普通の両親のもとに生まれ経済的にも困っていないカルリートス、ふらふらと歩いていたのに思い付いたように豪邸に堂々と侵入し

宝石などの金目の物を盗む、窃盗に何の罪の意識も持たない。

「みんなどうかしてる、もっと自由に生きられるのに。」

好きな時に好きなように盗んだり殺したりすればいいのに。

こんな風に文字にすると不道徳な人物を描いた映画のようですが

この映画は『美しい絵の崩壊』と同じように現実的に観てはいけない映画です。

一つ一つのシーンが歪で毒々しい美を感じさせて、カルリートスに苦悩も葛藤もなく、ただただ耽美的美しさだけを放っています。

唯一人間らしさを感じさせるのは、学校で知り合ったラモンと言う野性的でこれまた悪い男の子に抱く淡い恋愛感情のような部分でしょうか。

ラモンとその父親と知り合ったことによって、カルリートスの犯罪は一人で盗みを働いていた頃よりも大掛かりになっていきます。


ラモンに対して自由に生きることの共感を求めていたカルリートスですが、

普通の感覚の持ち主であるラモンは踊るかのようにゆったりと盗んだり邪魔をしたからと言ってすぐに人を撃ち殺す彼に共感できるはずもない

二人の間には次第に溝が出来ていきます。


終盤、物語は最後の印象的なシーンに向かって畳みかけるように様々なことが起きていきます。


残虐な題材を扱ってはいますが、登場人物の心理に深く入り込むことが無いので心の痛みを感じることなく見れます、ただひたすらカルリートスの無邪気で悪魔的な美を堪能するようなおしゃれな作りになっています。

吸い寄せられるように映画を観た後も頭の中で映像が花火のように上がっていました。


ラモンの父親から処分するようにと言われて車を燃やすシーンで流れる〈朝日の当たる家〉などシーンシーンで流れる音楽も魅力的。



この映画の主人公にあまりにもピッタリなロレンソ.フェロ、男性っぽくなく子供みたいな身体つきが悪魔的な魅力を持つ天使にぴったり


ラモンに近づく時に取った行動も尋常じゃない、コワイです。


彼女に銃の撃ち方を教える。
盗んだネックレスを平気で彼女にあげちゃう


捕まった時、世間に衝撃を与えた。




冒頭、盗みを働いた豪邸の居間で音楽に身を任せて踊るカルリートス、一撃で彼の魅力にやられてしまうシーンで映画に引き込まれます。



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