石川啄木の短歌を現在かなつかいと著者の解釈する新感覚で詠みなおしながら紹介し、ついでに啄木をこきおろす本。ひとつひとつ抜き出すと、やっぱりいい歌がたくさんあるな~、と思った。生活とは違うフィクション(妄想)で詠んでいるところも僕は共感できます。人間としてひどい男だとしても、それは歌のよしあしには全く関係ないのだ。
遠くの森に行きたいな。
とても遠くの。
アラスカよりも。
ブラジルよりも。
木星よりも。
月よりも。
木を食べて。
葉っぱを食べて。
お花を摘んで。
川に流して。
虫の声を聴きたいな。
寝て起きて。
木を削って。
石を運んで。
土を練って。
火にくべて。
寝て起きて。
何かの動物に食べられて。
何かの虫の食べられて。
骨になって。
土になって。
もとどおり。
と思いきや。
削った木が据わっているよ。
焼いた土が笑っているよ。
しばらくは。
しばらくは。