15歳のマリーはシンクロナイズドスイミングの教室に通う年上の少女フロリアーヌに惹かれる。早熟のフロリアーヌは高嶺の花とも言うべき美しさで、マリーにはこの感情の出どころが判然としなかった。マリーは少しでも彼女の傍にいたいとシンクロ教室へ潜り込み、フロリアーヌとの距離を縮めていく。
『燃ゆる女の肖像』セリーヌ・シアマ監督の長編デビュー作は女性によるエロスが肯定的に描かれている。プールサイドでマリーとフロリアーヌの間に通う、名も付けられぬ感情と欲動にこそ真のエロスが宿り、恋しさのあまり愛しい人の食べ終えたリンゴにかじりつく場面で僕は悶絶してしまった。シアマの実体験が基になっているという本作は、当時16〜17歳であったアデル・エネルの類稀なスター性、香り立つような美しさによって成立しており、後に2人は交際に発展。セリーヌ・シアマという作家にとってアデル・エネルが“燃ゆる女の肖像”である事がよくわかる。
『水の中のつぼみ』07・仏
監督 セリーヌ・シアマ
出演 ポーリーヌ・アキュアール、アデル・エネル、ルイーズ・ブラシェール
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