HBO製作のドラマ『ユーフォリア』で一躍その名を知らしめたサム・レヴィンソン監督の前作はほとんど姉妹編のような趣きだ。SNSとSEXが氾濫する女子高生たちのスクールライフ、一見社会に溶け込んでいるトランスジェンダーという表向きのキーワードはもちろん、パーティシーンの狂騒を交通整理する編集や、縦横無尽に動き回るカメラといったテクニック、そして71年の東映『ずべ公番長 ざんげの値打ちもない』を引用するオタク的オマージュとどこからどう見てもサム・レヴィンソン印である。
さらに本作は後半、突如『パージ』よろしくなホラーへと転調。暴徒が女子高生の住む2階建て一軒家を取り囲むロングショットの異様なテンションは一体なんなのだ。ネット社会で顔を隠し、女性蔑視をまき散らす男どもへ女子高生たちが正義の鉄槌を下すバイオレンス映画だった!
ちなみに『ずべ公番長 ざんげの値打ちもない』は劇中、女子高生たちのマイフェイバリットとして出てくる。そんなJKいるかよ!現在、34歳のサム・レヴィンソン、これからが楽しみな監督だ。
『アサシネーション・ネーション』18・米
監督 サム・レヴィンソン
出演 オデッサ・ヤング、スキ・ウォーターハウス、ハリ・ネラ、アブラアニカ・ノニ・ローズ、モード・アパトー、ビル・スカルスガルド、ベラ・ソーン
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