人気YAアダルト小説の実写化として鳴り物入りで公開された前作からわずか1年で公開されたシリーズ第2弾。名匠ジョー・ロス監督が一流スタッフと製作した前作の手堅さは望むべくもなく、スリルと冒険心に欠けるものの、主演ジェニファー・ローレンスのスター性によってかろうじて147分を乗り切ることに成功している。
前作で”ハンガー・ゲーム”をサバイバルすることに成功したカットニスとピーター。ゲームのルールすら変える勇気と行動力は次第に革命の気運を呼び込んでいく。2人のその後にたっぷり1時間をかけた前半部はほとんど前作のエピローグに過ぎず、語り口の悪さは最後まで目立つ。歴代優勝者が終結する75周年記念大会という少年漫画的な展開は期待ほど機能せず、敵か味方か判然としないチームタッグの疑心暗鬼はもっとサスペンスを込めても良かったのではないか(『エンジェル・ウォーズ』に続きハスッパな戦闘少女役が似合うジェナ・マローンは良い)。
それでもいよいよ革命のシンボルとしてカットニスが立ち上がり、独裁政権への怒りを募らせるカリスマ性にはこちらも奮い立ってしまった。日本ではさほど話題に上がらなかったシリーズだが、世界中で大ヒットを記録。現在、独裁軍事政権のクーデターにより深刻な内戦状態にあるミャンマーでは、反政府運動のシンボルとして本作の3つ指ピースサインが掲げられている。映画の出来の良し悪しとは別に、非常に重要な影響力を持つ稀有なシリーズである。
『ハンガー・ゲーム2』13・米
監督 フランシス・ローレンス
出演 ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、ウディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、ジェフリー・ライト、トビー・ジョーンズ、ジェナ・マローン、スタンリー・トゥッチ、ドナルド・サザーランド
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