決して目覚ましい映像表現が行われているワケではないが、ゾンビのようにしぶとかった実写映画化より確実にファンを楽しませてくれるフルCG長編アニメシリーズの第5弾。1作目『ディジェネレーション』、2作目『ダムネーション』は傑作アニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』も手掛けた菅正太郎の参加により、巨大製薬企業と政府のマッチポンプによってテロ戦争が継続する『バイオハザード』本来の批評性が取り込まれていたものの、ホラーアクションに特化して以後は、フランチャイズの一角を手緩く担うに留まってきた感はある(Wikipediaによると菅は2015年に他界している)。
今回はクリス、レオン、クレア、レベッカというシリーズを支えてきた人気キャラ4人に加え、ゲーム版『5』以後、出番のなかったジル・ヴァレンタインが復活。歴代主人公がアッセンブルする集大成的作品となった。レオン×ジルなど、ゲームでは実現していないタッグを見られるのがファンには嬉しく、へらず口ばかり叩くレオンにジルが呆れ顔を見せる、といった遊び心あふれるシーンはもっとあっても良かっただろう。作中時間と実時間がリンクする珍しい設定によって、いつの間にかフロントラインが30〜40代ばかりになってしまったのはいささか華に欠けるが、『5』の強化手術後、加齢が抑えられたジルにはまだシリーズを牽引するキャラクターとして伸び代が残されているように見える。彼女がPTSDを乗り越え、バイオテロに対峙していく様がゾンビアクション映画に1本の筋を通していた。
『バイオハザード:デスアイランド』23・日
監督 羽住英一郎
出演 湯屋敦子、森川智之、東地宏樹、甲斐田裕子、小清水亜美、子安武人
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