長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ルイの9番目の人生』

2020-03-10 | 映画レビュー(る)

 9歳の少年ルイは文字通り九死に一生の場面を経てきた。帝王切開で生まれ、全身骨折に遭い、そして映画の冒頭、断崖絶壁から海へと落ちていく。物語は昏睡状態に陥った彼の夢と遺された家族を往復するダークファンタジーだ。過激な描写で知られるフランスのホラー監督アレクサンドル・アジャはリズ・ジェンセンの同名小説を幻想的に映像化し、ジャンル映画監督として洗練を見せた。脚本は『侍女の物語』のニック役や、エル・ファニング主演『ティーン・スピリット』で監督デビューを飾ったマックス・ミンゲラが手掛けている(故アンソニー・ミンゲラ監督の息子!)。

 映画の見所はルイの母親に扮したサラ・ガドンだ。“世界で最も美しい顔”に選ばれた彼女の美貌が映画に妖艶な幻想性を与えており、物語の要となっていく。謎めいた女(ファムファタール)に男はなぜ“燃える”のか。このテーマは続く主演ドラマ『またの名をグレイス』で極められる事となる。


『ルイの9番目の人生』16・米、英、加
監督 アレクサンドル・アジャ
出演 ジェイミー・ドーナン、サラ・ガドン、アーロン・ポール、エイダン・ロングワース、オリヴァー・プラット
 

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