「安部公房全集023 1970.02-1973.03」 1999新潮社(2007年2刷)
「周辺飛行」というエッセイが1~17あるのだが、短編じゃないかと突っ込んでいたら実は安部公房の夢の話ということだった。
P18 講演「人間の価値」の中で『小説を書かずに理屈ばかりをこねる作家』なる自虐発言がありますが、まったくです。何ですか、次の作品は6年かかった「箱男」ですか。全集の024にあるんだろうね?
P63~シナリオ「一日240時間」(大阪万博自動車館)ああ、あれは安部公房が書いたのか・・・って覚えてないけど。
実験演劇「ガイドブック」
「キューブ」って映画(1997)があったな、この作品の影響はあったのかな。まあ、閉鎖環境っていうと自然にこういうアイデアになっていくんだろうけど。
P251 全集でやっと三島由紀夫の死が出てくるが、事件そのものには大して触れない。もう二か所出てくるところでも同じだ。安倍公房からすれば、その程度の関係だったのか。なんだ、そうか。(しかし、三島由紀夫からすると安部公房は唯一の友人?P301)
P256 座談会「日本文明談」
日本のナショナリズム・・・偽物だよね。そうだよね。アメリカ支配がもっと抑圧的だったら、日本人にもナショナリズムがきちんと生まれたかもね。
P260~講義「人間をいかに認識するか」 創作も鑑賞も自己の存在確認ってことですか。
P300 やっと「カルマ氏」という作品がちょっとわかった気になる。安倍公房の作品って、やっぱり解説が欲しいわ。っていうか、理屈をこねる割にはそういう作品として出来上がっている気がしない…なんていうから解説したくなくなるんだろうな。
P328 対談「自由をまさぐる映画」 種をまかない映画関係者がだめだっていうけど、蒔いている種が安倍公房の思っているものと違うだけかもね。今だって映画の主演をアイドルでまかなったりして、そういう層の取り込みをやっているじゃない。(作品ファンは逃げるけど)
「箱男」がどんな作品かまだわからないが、「ダンボー」を使えるようなものだろうか。そうしたら、今でも映画化が可能じゃないだろうか。
P351 対談「私の文学観 演劇観」 海外批評から日本と欧米の違いを社会の中の階級意識を見るわけだ。それを読んで、自民党やら右翼がやることは結局日本社会に階級をつけたいということか。格差拡大でそれは達成できそうですね。口先ばかりで政策に熱が入らない理由がわかります。
P355 乞食以下になると国家のスタンプの領域外に出ちゃう
巻末付録の「演劇講義ノート」と「「ガイドブック」稽古日誌」は演劇関係者にはお宝なのかもしれない。
いやあ、それにしても本当に理屈ばっかりこねて小説を書かないよね、特にこの時期は!!!
もう、全集の中でも特に読むのが苦痛なところだわ。たぶん。