彼は鼻で深い息をしながら、一種の快い疲れで目をつむっていると、遠く上のほうから、
今登って行った連中の「六根清浄、お山は晴天」という声が二三度聞こえて来た・・
志賀直哉の「暗夜行路」の一節より
山深く、静寂の山中に響きわたる修行僧の掛け念仏
「さーんげさんげ(懺悔懺悔)、ろっこんしょうじょう(六根清浄)」
テレビ番組などで何度も紹介されたこともあり、ご存じの方も多いと思う
「懺悔」とは神仏にひれ伏すこと。とてつもない汗が身体中から流れ出ると同時に、
六根(眼・耳・鼻・舌・身・意の六つ)がきれい浄化されていく・・・
植物は根から水分や養分を吸って育っていく。人間の性器を男根、女根と呼ぶのも、
生み出す力があるからだ。また、人の生まれつきの性、持ち前を「根性」という
この「六根」それぞれが起こすさまざまの欲望を断ち切ることで、清らかな心を得る
その願いを込めた言葉が「六根清浄」と云われている
これを成就できれば、
☆眼の功徳 先入観なく物事を正しく見ることができる
☆耳の功徳 微妙なところまではっきりと捉えられ真意を捉えられる
☆鼻の功徳 さまざまな香り(匂い)をかぎ分けることができる
☆舌の功徳 食事がすべておいしく感じられ、また、言葉が人を感動させる。
☆身の功徳 清らかな身のために、美しく健康になれる
☆意の功徳 清らかな心のために、多くの人が会うことを願うようになる
この六根それぞれが起こすさまざまの欲望を、断ち切って清らかな心(意)を習得する
そう願い、日常生活で汚れた六根を、清らかな六根に近づけるため「六根清浄」の言葉を
繰り返し唱えながら修行僧は山を登っていく・・・
オイラも五十路を過ぎてまったく畑違いの職場に異動になってしまった
これも「修業」、日々、懺悔懺悔!六根清浄!を唱えながら“冷や汗”を流している
さて、日本人は昔からきれい好き。一部を除き!?清潔を愛する国民である
しかし、その清潔感は道義感覚と表裏一体だ
品位の高い人を「人格高潔」「きれいな人」「清潔な人」というが、
その反対の人を「不潔」「きたない」「よごれている奴」と決めつける
かつての政治家は井戸と塀しか残さないほど清廉だった
しかし、今日、実態は全く逆で、不浄の金に汚れた輩が多い・・
不倫、病室での喫煙、会期中の旅行など、あり得ないことばかり
いまいちど、「六根清浄」の意味を理解し、選挙前だけではなく、日ごろから、
身も心も無垢清浄になろうという祈りの言葉「六根清浄」を唱えてほしい
また、多くの命を預かる操縦士
常に冷静沈着、どんな状況でも最善を尽くすのが当たり前の仕事
しかし、「身」と「心」が病んでいればこうした判断などできやしない!
医者も同じ人の命を預かる大事な仕事だ
自分が犯した「医療ミス」、それを“過失”と認めない。これこそ言語道断!
誰しも間違いは起きる。だから反省を繰り返して改善していく
色川の大将が云っていた「お天道様が見てるからな。まっつぐ!だよ」
こうした心意気をもったプロが少なくなってきた・・・
ちなみに、「どっこいしょ」の語源は「六根清浄」がなまったものだ
これは、「南無阿弥陀仏」が「なんまいだー(ぶ)」と省略されたのと似ている
「どっこいしょ」
オイラ、残念ながら、加齢とともにからだが衰えてきているのを自覚しつつある
立ち上がったり、座り込んだりするとき、つい!無意識のうちにこれを発してしまう
しかし、「どっこいしょ」と声に出すことによって自分を叱咤激励しているわけで、
若くても、疲れたときは構わないから「どっこいしょ」と声に出すんだね!
これは、恥ずかしいことでもなんでもない!自分を奮い立たせる言霊だから
昨日のハマスタは広島戦、4時間を超える長い試合だった
選手、そしてファンもひとつになり、叱咤激励をこめて六根清浄!!
つまり、「どっこいしょ!!」と、唱えた結果が勝利を呼び込んだ!
特に、石川君に元気が戻ってきた!昨日も「猛打賞」と大健闘!!本当に嬉しい!!
それは、日頃から積み上げた努力の結果であり、六根を鍛え抜いた成果だ!
彼の生き様は、ある意味“修行僧”によく似ている
若干28歳!どんな結果を残しても、けして「有頂天」にならない・・・
そして、石川君の背中をみてきた筒香キャプテン。二人の性格はよく似ている
どちらもシャイな人間、しかし、コツコツと努力を重ね、けして弱音を吐かない
天才でも怪物でもない。黙々と「心身を鍛え上げた」男たちだ
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