さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

日本農業遺産に認定 最盛期迎える「蔵出しみかん」

2024-02-11 13:30:30 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、酸味が少なく強い甘味が特徴の「津之望(つののぞみ)」を取り上げた。
今の時期に出荷の最盛期を迎えているのが、海南市下津町が誇る「蔵出しみかん」。今週はこの地域で受け継がれてきた伝統的な農法について紹介したい。


みかんを貯蔵する蔵

蔵出しみかんの特徴は、12月中に収穫されたみかんを、1ヶ月以上かけて、各農家にある土壁の蔵の中で熟成させて出荷するという点。熟成させることで糖度を高めるほか、収穫時の効率性を高めることや、他の産地が出荷しない時期に高単価で販売できるというメリットがある。

みかんを貯蔵する蔵は、長年、この地域で受け継がれている特有の技術で、畑の土や、近くにある雑木林の竹や木を利用して建設。傾斜地に雑木林を作り、伝統的な石積みの技術で耕作面積を増やすなど、この地域ならではの工夫がされている。

ランドスケープの観点からも、山頂から海に至るまでの急な傾斜地に段々畑のように畑や集落を配するなど、厳しい環境でありながら、先人の知恵により持続可能な農業システムが構成されている。

これらの仕組みが評価され、平成31年2月に「下津蔵出しみかんシステム」として日本農業遺産に認定。日本農業遺産とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた地域を、農林水産大臣が認定する制度。
県内では他に、有田地域、高野・花園・清水地域が認定されている。

令和5年1月には、有田地域と一体となった、和歌山県有田・下津地域として、世界農業遺産への申請承認を受け、10月に申請書類を提出。今後、審議が行われるという。

海南市内では蔵出しみかんの販売を知らせる幟が多数立てられ、今が最盛期。生産量は約3500tで販売は3月まで続く。

(次田尚弘/海南市)


【写真】海南市内で見られる幟
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和歌山県が全国1位のシェア 酸味が少なく甘味が強い「津之望」

2024-02-06 14:11:12 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、濃厚なオレンジの風味が特徴で、甘味が強く食べやすい「津之輝(つのかがやき)」を取り上げた。
今週は名前が似ており、食べ頃を迎えている「津之望(つののぞみ)」を紹介したい。


【写真】果汁たっぷりの「津之望」

津之望は平成23年に品種登録された、津之輝よりも少し新しい柑橘。開発されたのは昭和49年のこと。約40年の月日を経て、世に送り出された品種である。育成されたのは津之輝と同じ、長崎県にある農研機構の果樹試験場。育成地である「口之津」という地域の名前と、柑橘における農業振興の希望の意味を込めて名付けられたという。

果実のサイズは200g程度。果皮は薄く、容易に手で剥くことができる。じょうのうも薄く食べやすいが、果肉に種が入ることが多いため注意が必要。オレンジのように、ナイフでスマイルカットに切れば、種を気にすることなく食べることができる。

食してみると果汁の多さに気付く。「清見」と「アンコール」を交配したもので、津之輝と比べ、温州みかんの系統を含まないことから、酸味が弱く、甘さが先行する特徴がある。果肉は濃いオレンジ色をしており柔らかい。

12月下旬には糖度が12度を超え、クエン酸の含有率は1%となることから、年内の収穫が可能。早ければ年末から店頭に並び、年を越して2月上旬まで出回る。
糖度が高いものでは15度を超えるものも。柑橘に酸味を求める方にとっては少々物足りない味わいかもしれないが、果汁の多さや甘さを重視する方にはおすすめしたい逸品である。

農水省の統計によると、収穫量の第1位は和歌山県(約32t)、第2位は長崎県(約19t)となっており、和歌山県は全国の約6割のシェアを誇る。
今が食べ頃の津之望。ぜひ、味わってみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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濃厚なオレンジ風味が特徴 甘味が強く食べやすい「津之輝」

2024-01-28 13:40:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、その大きさが故に、剥き方に工夫が必要で、食べ方に多様なレパートリーを持つ「文旦」を取り上げた。果物売り場では、続々と春柑橘の販売が始まっている。
今週は今が旬の「津之輝(つのかがやき)」を紹介したい。


【写真】果汁の多さと濃厚な風味が特徴の「津之輝」

津之輝(つのかがやき)は、平成21年に品種登録された柑橘。国立農研機構が「清見」と「興津早生」を掛け合わせた品種に、「アンコール」を交配し育成したもの。
オレンジ風味のタンゴール品種である清見、食味が優れた温州みかんである興津早生、強い甘味と香りの良さを兼ね揃えたアンコール。それぞれの特性を受け継いだ品種である。

果実のサイズは200グラム前後。果皮は濃いオレンジ色で、手で容易に剥くことができる。
じょうのうが薄く柔らかいため、温州みかんのように袋ごと食べることができる。

食してみると、そのジューシーさが際立つ。果汁を豊富に含んだ果肉はプルプルとしている。糖度は13度程度と甘味が強く、酸味がほどよくあり、味に深みがある。ほとんど種が無いため、食べやすい。

名前の由来は育成された長崎県の口之津という地域の名前と、光沢があり美しい見た目に由来するという。

農水省統計によると、収穫量第1位は長崎県(114t)、第2位は佐賀県(97t)、第3位は宮崎県(92t)、第4位は鹿児島県(59t)、第5位は和歌山県(17t)となっており、県内でも栽培されている。

施設栽培のものは12月から収穫が始まり、露地栽培のものは1月中旬から2月上旬に収穫され、3月にかけて出回る。

プリっとした食感に、濃厚なオレンジの風味を感じる津之輝。旬を迎えた今、ぜひ食べてみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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剥き方にも一工夫 多様なレパートリーを持つ「文旦」

2024-01-21 15:10:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号から、目を見張る大きさが特徴で、長い歴史を持つ「文旦(ぶんたん)」を取り上げている。
果汁が多く、実の一粒ずつがプリプリしており、酸っぱさが少ないが故に様々な味わい方がある。
サイズが大きいため、剥き方にも工夫が必要で、奥が深いといえる柑橘。今週は文旦の魅力を深掘りしたい。


【写真】プリプリとした果実が特徴の「文旦」

剥き方は次のとおり。ハッサクのように手で剥くことは難しいため、ヘタが横に来るようにして置き、まずは、包丁で縦に浅い切り込みを入れながら一周する。次に、切り込みにスプーンを差し込み、力を入れながら文旦を回し、果実と皮を離脱させる。そして、果実を手でひねるようにして外に取り出す。最後に一房ずつ薄皮を剥き、果実が取り外されて出来た、文旦の半分を器にして、剥いた果実を盛り付ければ出来上がり。これが一般的な文旦の剥き方である。

薄皮を剥いたプリプリの果実をそのまま食する方法もあれば、様々な形に調理して、さらにその味わいを楽しむことができる。例えば、皮と果実を使って作る、ほろ苦さが特徴の「文旦ジャム」。皮のほろ苦さと砂糖の甘さのバランスを楽しめる「文旦ピール」は、お酒のつまみとしても。

文旦の一種で、以前、このコーナーでも取り上げた「晩白柚(ばんぺいゆ)」は、文旦のなかでも最もサイズが大きい品種。
一般的に「わた」と呼ばれる分厚くて白い部分を使った「わたの砂糖漬け」は甘党の方に支持される逸品。さっぱりとした甘味を活かし、ジェラートやタルト、プリンとして食することもでき、そのレパートリーは幅広い。

文旦は100gあたりのビタミンCの含有量が高く、風邪の予防や免疫力の強化にも有効とされる。この時期に持ってこいの柑橘をぜひ味わってみては。

(次田尚弘/和歌山市)
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目を見張る大きさ 長い歴史をもつ「文旦」

2024-01-14 14:02:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、福をもたらす縁起物として、サイズも価格も一流の「獅子柚子(ししゆず)」を取り上げた。獅子柚子は「文旦(ブンタン)」の一種。今週は文旦を紹介したい。


【写真】最大で重さ2kgにもなる「文旦」

文旦は東南アジアを原産とする柑橘。日本には室町時代の末期に伝来したとされる。伝来した地は鹿児島県の阿久根市といわれ、市の木に制定されるほど。

一説には、中国の広東と長崎を往来する貿易船が難破し、現在の阿久根市に漂着し、助けられたお礼に文旦が贈られたことがきかっけ。船長の名が「謝文旦」といい、それにちなんで、文旦と名付けられたという。
文旦は正式には「ザボン」という和名が付けられており、この名称でご存知の方もいるだろう。

品種により多少の差異はあるが、果実の直径は15㎝から25㎝程度。重さは500g程度のものから大きいものでは2kgになるものもある。見た目が似ているグレープフルーツやハッサクは、文旦と別の柑橘の交配により生まれたもの。古くから存在する、伝統のある柑橘である。

食してみると、果汁が多く、実の一粒ずつがプリプリとしている。小玉のものは味が濃く、甘味と酸味を強く感じるが、大玉のものは水っぽさを感じてしまう。

11月頃から翌年4月頃まで収穫されるが、主に出荷されるのは2月から3月頃。
農水省統計によると、収穫量の第1位は高知県(約1万1千トン)で全国シェアの約95%を占める。愛媛県、鹿児島県、宮崎県、大分県と続き、主に西日本の地域で栽培されている。

筆者は県内の産直市場で購入。僅かながらであるが県内でも栽培されているようだ。
新春を彩り、歴史をもつ文旦。その大きさに目を見張るが、ぜひ、その味わいを楽しんでみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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福をもたらす縁起物 サイズ、価格も一流の「獅子柚子」

2024-01-07 15:46:56 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
新しい年を迎えたが、元日から心が痛む災害のニュースが報道されている。自然の猛威を回避することは難しいが、可能な限り穏やかな年になってほしい。

今週は、邪気を払い、福をもたらす縁起物として知られる「獅子柚子(ししゆず)」を紹介したい。


【写真】大きくて凸凹が特徴の「獅子柚子」

獅子柚子は「文旦(ぶんだん)」という柑橘の一種。原産は中国で、奈良時代に日本に伝わったとされる。

特徴は何と言ってもその大きさ。直径20cm程度あり、果重は1kgを超える。一般的な柚子の約10倍、グレープフルーツの約3倍のサイズである。皮が非常に分厚く、表面が凸凹している。獅子や鬼の顔に似ていることからこの名が付けられたという。他にも「鬼柚子」と呼ばれることがある。

柚子の名が付いているが、文旦の一種であるため、柚子のような強い香りはなく、ほのかに柑橘系の香りがする程度。
食用には向かず、主に観賞用とされるが、マーマレードやピールにして食べることができる。白い綿状の部分には、ヘスペリジンというポリフェノールの一種が含まれ、血流の改善や、新陳代謝を促進する効果があるとされる。

収穫期は11月下旬から1月にかけて。インパクトの大きい柚子として、冬至に合わせ風呂に入れられることもあるが、正月飾りとして玄関に飾り、魔除けや縁起物として使用されるのが一般的。
実が大きいということから「実入りが良くなる」と願掛けし、長期間しなびることがないため、飲食店の店先などで年間を通じて飾られることもある。

栽培地域は関東より西の地域。筆者は県内の産直市場で購入した。大きくて形のよいものは1個3000円程度で販売される高級品である。

暗い話題で始まった2024年。邪気を払い、福をもたらせてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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クリスマスを彩る風物詩 葡萄と柑橘が融合「ホットワイン」

2023-12-24 16:54:24 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
今年も残すところ1週間。巷ではクリスマスマーケットが開催されるなど、季節を彩るイベントが行われている。
クリスマスマーケットに欠かせない存在であるのが「ホットワイン」。
「グリューワイン」あるいは「温葡萄酒」とも呼ばれ、ヨーロッパのクリスマスに欠かせない飲み物とされている。
今週は、ホットワインの歴史や文化、家庭での作り方を紹介したい。


【写真】赤ワインと柑橘を使った「ホットワイン」

ホットワインは赤ワインをベースに、オレンジやレモンなどの柑橘と蜂蜜、シナモンなどの香辛料を加え、沸騰させないよう気を付けながら火にかけて温める。

歴史は古代ローマ時代に遡り、見た目の美しさは勿論、胃の消化を助ける効果があり、ローマ帝国の拡大と共にヨーロッパ全体に広がった。
体を温めるのに最適な飲み物とされ、家庭に限らず、屋外でのイベントでも楽しめる冬の風物詩として親しまれている。

作り方は簡単。今回は国産の赤ワインに、旬を迎えた和歌山県産の温州みかんの果汁を使ってみた。
まず、耐熱のグラスもしくはマグカップに、赤ワインを100ml、みかん果汁を50ml、蜂蜜を小さじ1杯入れ、500Wの電子レンジで1分間加熱する。一旦取り出し、蜂蜜が溶けるようスプーンでかき混ぜ、更に30秒加熱する。仕上げにシナモンパウダーを振りかければ出来上がり。

芳醇な葡萄の味わいと、みかんの風味がマッチし、そこへ鼻に抜けるシナモンの香りが加わり、飲みやすく、体がぽかぽかしてくる。加温により少しはアルコールが抜けるようだが、あくまでもお酒。自動車を運転する可能性がある場合や、子供には飲ませないよう注意が必要。

クリスマスイブ。ご家庭で気軽に楽しめるホットワインを作ってみては。

(次田尚弘/和歌山市)
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嗜好や気候の変化に対応 日々進化を続ける「ぶどう」

2023-12-17 14:15:15 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
これまで、和歌山県内で収穫される13種類のぶどうを紹介してきた。色、形、味わいが異なる様々な品種が存在。今週は近年のぶどうを取り巻く環境と展望について考えたい。


【写真】県内で収穫される様々なぶどう

このシリーズの冒頭で取り上げたのが、150年以上の歴史をもつ「デラウェア」。
有田エリアを中心に観光農園での収穫体験が盛んな「巨峰」と共に、日本の食卓を彩る、ぶどうの代表格として親しまれてきた。

しかし、日本人の嗜好の変化から、大粒で糖度が高く、香りが優れる品種の台頭が進み、巨峰から派生した「ピオーネ」や「紫玉」をはじめ、1粒30gを超える「藤稔」などが人気を博すように。欧米系の品種が融合した「シャインマスカット」の登場で、ぶどうの高級志向も高まり、今や、ぶどうは高級フルーツとなった。

様々な種類のぶどうが店頭を賑わせる時代となったが、お盆前後に収穫のピークを迎える従来の品種と差を付けるため、収穫時期を工夫したものも登場。
かつては、短い期間でしか味わえなかったが、品種は異なるものの3ヶ月程度、何かしらのぶどうが存在する状況である。

気候変動に対応した新品種の登場も見られる。「ブラックビート」は高温による着色不良を防ぐため、8月以前に収穫ができ、温暖な地域における、ぶどう栽培の維持拡大に貢献。
市場や気候など、様々な環境変化に合わせ、ぶどうは日々進化を続けている。

全国的に見れば、ぶどうの一大産地というわけではない和歌山県であるが、代表格とされる巨峰から希少品種まで、様々な種類が栽培されている。

紀北エリアは京阪神から容易にアクセスでき、観光資源としての役割もある。
全ての品種を取り上げることはできなかったが、来夏、店頭でぶどうを見た時は、品種ごとの開発背景や希少度合いに触れながら、その味わいを楽しんでほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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シャインマスカットと瓜二つ 上品な甘さ「瀬戸ジャイアンツ」

2023-12-10 15:15:31 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、一粒が鶏卵程のサイズにまで成長し、世界最大級の異名を持つ「雄宝」を取り上げた。
今週は、見た目がシャインマスカットに似た「瀬戸ジャイアンツ」を紹介したい。


【写真】色で食べ頃を教えてくれる「瀬戸ジャイアンツ」

瀬戸ジャイアンツは、1979年に岡山県で生まれ、1989年に品種登録された。ヨーロッパ系の品種である「グザルカラー」と「ネオ・マスカット」を交配させたもの。黄緑色をしており、大粒であることから、シャインマスカットと瓜二つである。

特徴は皮が薄く、種なしであること。パリッとした弾けるような食感があり、爽やかで甘酸っぱく、シャインマスカットよりも上品な味わい。糖度は18度前後と高く、穏やかな酸味があるが、香りはあまり感じられない。1房あたりのサイズは500gから800gで、1粒あたりの重さは大きいもので30g程度になるものもある。

完熟すると黄緑色から黄色に変色し、表面に茶色の点が現れるようになり、これが食べ頃のサインといわれている。種が無く、果皮が薄いことから調理が容易で、ジュースやゼリー、シャーベットなどのデザートに用いられるなど、様々なバリエーションが楽しめる。
 
主な収穫期は9月末から10月初旬頃で、一般的なぶどうと比べ遅め。加温栽培では6月から11月まで収穫でき、長い期間に渡り安定的に出荷できる。

平成30年の農水省統計によると、栽培面積の第1位は岡山県(45ha)、第2位は香川県(3ha)、第3位は愛知県(2.8ha)、第4位は徳島県(1.6ha)、第5位は兵庫県(1.5ha)で、第6位に和歌山県(1.2ha)がランクインしている。
総栽培面積の75%が岡山県となっており、岡山県内では「桃太郎ぶどう」の愛称で販売されることもある。

その名のとおり、瀬戸内海の地域を中心に栽培される瀬戸ジャイアンツ。県内で購入可能であるので、ぜひ試してみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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鶏卵程のサイズにまで成長 世界最大級の異名を持つ「雄宝」

2023-12-03 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、栽培が難しく流通も困難な高級ぶどうで、旧ソ連原産の「リザマート」を取り上げた。
今週は世界最大級のサイズといわれるほど大粒の、「雄宝(ゆうほう)」を紹介したい。


【写真】黄緑色で大粒の「雄宝」

雄宝は「シャインマスカット」と「天山」を交配し育成された品種。いずれも黄緑色をしたヨーロッパ系の特徴をもつ。天山は1粒50gを超え、鶏卵と同程度にまで成長するものもある。それを受け継ぐ形で生まれたのが雄宝である。

果房は円錐形をしており、粒は楕円形。果皮は黄緑色をしているが、日が経つにつれ黄色に変わる。ジベレリン処理により種なしが一般的で、ホルモン剤の影響で果実が肥大。
中身を見ると種ができる部分が空洞になっている場合が多い。果実の色からマスカットをイメージするが、その香りはない。

食してみると、適度な歯ざわりがあり、糖度は20度程度で程よい甘さを感じる。酸味はあまり感じられないものの、さっぱりとした後味がある。
果肉がしっかりとしていることから、薄くスライスしても型崩れすることなく、様々な料理にも活用が可能。ぶどうの中ではトップクラスといわれるほど皮が薄いため、サクサクとした食感で、食べやすく、使い勝手がよい。

主な生産地は長野県、山梨県、岡山県など。農水省統計で栽培面積が公表されておらず、希少な部類の品種といえる。
旬は8月下旬から10月上旬。筆者は8月下旬頃、和歌山県内の産直市場で購入。一般的にスーパーなどで販売されることは稀で、大粒で品質のよいものは贈答用に使われることが多い。

世界最大級といわれるほど大粒の雄宝。売場で存在感を示していれば、ぜひ購入し、その味わいを楽しんでほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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