さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

クリスマスを彩る風物詩 葡萄と柑橘が融合「ホットワイン」

2023-12-24 16:54:24 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
今年も残すところ1週間。巷ではクリスマスマーケットが開催されるなど、季節を彩るイベントが行われている。
クリスマスマーケットに欠かせない存在であるのが「ホットワイン」。
「グリューワイン」あるいは「温葡萄酒」とも呼ばれ、ヨーロッパのクリスマスに欠かせない飲み物とされている。
今週は、ホットワインの歴史や文化、家庭での作り方を紹介したい。


【写真】赤ワインと柑橘を使った「ホットワイン」

ホットワインは赤ワインをベースに、オレンジやレモンなどの柑橘と蜂蜜、シナモンなどの香辛料を加え、沸騰させないよう気を付けながら火にかけて温める。

歴史は古代ローマ時代に遡り、見た目の美しさは勿論、胃の消化を助ける効果があり、ローマ帝国の拡大と共にヨーロッパ全体に広がった。
体を温めるのに最適な飲み物とされ、家庭に限らず、屋外でのイベントでも楽しめる冬の風物詩として親しまれている。

作り方は簡単。今回は国産の赤ワインに、旬を迎えた和歌山県産の温州みかんの果汁を使ってみた。
まず、耐熱のグラスもしくはマグカップに、赤ワインを100ml、みかん果汁を50ml、蜂蜜を小さじ1杯入れ、500Wの電子レンジで1分間加熱する。一旦取り出し、蜂蜜が溶けるようスプーンでかき混ぜ、更に30秒加熱する。仕上げにシナモンパウダーを振りかければ出来上がり。

芳醇な葡萄の味わいと、みかんの風味がマッチし、そこへ鼻に抜けるシナモンの香りが加わり、飲みやすく、体がぽかぽかしてくる。加温により少しはアルコールが抜けるようだが、あくまでもお酒。自動車を運転する可能性がある場合や、子供には飲ませないよう注意が必要。

クリスマスイブ。ご家庭で気軽に楽しめるホットワインを作ってみては。

(次田尚弘/和歌山市)
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嗜好や気候の変化に対応 日々進化を続ける「ぶどう」

2023-12-17 14:15:15 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
これまで、和歌山県内で収穫される13種類のぶどうを紹介してきた。色、形、味わいが異なる様々な品種が存在。今週は近年のぶどうを取り巻く環境と展望について考えたい。


【写真】県内で収穫される様々なぶどう

このシリーズの冒頭で取り上げたのが、150年以上の歴史をもつ「デラウェア」。
有田エリアを中心に観光農園での収穫体験が盛んな「巨峰」と共に、日本の食卓を彩る、ぶどうの代表格として親しまれてきた。

しかし、日本人の嗜好の変化から、大粒で糖度が高く、香りが優れる品種の台頭が進み、巨峰から派生した「ピオーネ」や「紫玉」をはじめ、1粒30gを超える「藤稔」などが人気を博すように。欧米系の品種が融合した「シャインマスカット」の登場で、ぶどうの高級志向も高まり、今や、ぶどうは高級フルーツとなった。

様々な種類のぶどうが店頭を賑わせる時代となったが、お盆前後に収穫のピークを迎える従来の品種と差を付けるため、収穫時期を工夫したものも登場。
かつては、短い期間でしか味わえなかったが、品種は異なるものの3ヶ月程度、何かしらのぶどうが存在する状況である。

気候変動に対応した新品種の登場も見られる。「ブラックビート」は高温による着色不良を防ぐため、8月以前に収穫ができ、温暖な地域における、ぶどう栽培の維持拡大に貢献。
市場や気候など、様々な環境変化に合わせ、ぶどうは日々進化を続けている。

全国的に見れば、ぶどうの一大産地というわけではない和歌山県であるが、代表格とされる巨峰から希少品種まで、様々な種類が栽培されている。

紀北エリアは京阪神から容易にアクセスでき、観光資源としての役割もある。
全ての品種を取り上げることはできなかったが、来夏、店頭でぶどうを見た時は、品種ごとの開発背景や希少度合いに触れながら、その味わいを楽しんでほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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シャインマスカットと瓜二つ 上品な甘さ「瀬戸ジャイアンツ」

2023-12-10 15:15:31 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、一粒が鶏卵程のサイズにまで成長し、世界最大級の異名を持つ「雄宝」を取り上げた。
今週は、見た目がシャインマスカットに似た「瀬戸ジャイアンツ」を紹介したい。


【写真】色で食べ頃を教えてくれる「瀬戸ジャイアンツ」

瀬戸ジャイアンツは、1979年に岡山県で生まれ、1989年に品種登録された。ヨーロッパ系の品種である「グザルカラー」と「ネオ・マスカット」を交配させたもの。黄緑色をしており、大粒であることから、シャインマスカットと瓜二つである。

特徴は皮が薄く、種なしであること。パリッとした弾けるような食感があり、爽やかで甘酸っぱく、シャインマスカットよりも上品な味わい。糖度は18度前後と高く、穏やかな酸味があるが、香りはあまり感じられない。1房あたりのサイズは500gから800gで、1粒あたりの重さは大きいもので30g程度になるものもある。

完熟すると黄緑色から黄色に変色し、表面に茶色の点が現れるようになり、これが食べ頃のサインといわれている。種が無く、果皮が薄いことから調理が容易で、ジュースやゼリー、シャーベットなどのデザートに用いられるなど、様々なバリエーションが楽しめる。
 
主な収穫期は9月末から10月初旬頃で、一般的なぶどうと比べ遅め。加温栽培では6月から11月まで収穫でき、長い期間に渡り安定的に出荷できる。

平成30年の農水省統計によると、栽培面積の第1位は岡山県(45ha)、第2位は香川県(3ha)、第3位は愛知県(2.8ha)、第4位は徳島県(1.6ha)、第5位は兵庫県(1.5ha)で、第6位に和歌山県(1.2ha)がランクインしている。
総栽培面積の75%が岡山県となっており、岡山県内では「桃太郎ぶどう」の愛称で販売されることもある。

その名のとおり、瀬戸内海の地域を中心に栽培される瀬戸ジャイアンツ。県内で購入可能であるので、ぜひ試してみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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鶏卵程のサイズにまで成長 世界最大級の異名を持つ「雄宝」

2023-12-03 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、栽培が難しく流通も困難な高級ぶどうで、旧ソ連原産の「リザマート」を取り上げた。
今週は世界最大級のサイズといわれるほど大粒の、「雄宝(ゆうほう)」を紹介したい。


【写真】黄緑色で大粒の「雄宝」

雄宝は「シャインマスカット」と「天山」を交配し育成された品種。いずれも黄緑色をしたヨーロッパ系の特徴をもつ。天山は1粒50gを超え、鶏卵と同程度にまで成長するものもある。それを受け継ぐ形で生まれたのが雄宝である。

果房は円錐形をしており、粒は楕円形。果皮は黄緑色をしているが、日が経つにつれ黄色に変わる。ジベレリン処理により種なしが一般的で、ホルモン剤の影響で果実が肥大。
中身を見ると種ができる部分が空洞になっている場合が多い。果実の色からマスカットをイメージするが、その香りはない。

食してみると、適度な歯ざわりがあり、糖度は20度程度で程よい甘さを感じる。酸味はあまり感じられないものの、さっぱりとした後味がある。
果肉がしっかりとしていることから、薄くスライスしても型崩れすることなく、様々な料理にも活用が可能。ぶどうの中ではトップクラスといわれるほど皮が薄いため、サクサクとした食感で、食べやすく、使い勝手がよい。

主な生産地は長野県、山梨県、岡山県など。農水省統計で栽培面積が公表されておらず、希少な部類の品種といえる。
旬は8月下旬から10月上旬。筆者は8月下旬頃、和歌山県内の産直市場で購入。一般的にスーパーなどで販売されることは稀で、大粒で品質のよいものは贈答用に使われることが多い。

世界最大級といわれるほど大粒の雄宝。売場で存在感を示していれば、ぜひ購入し、その味わいを楽しんでほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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