さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

「熊野」で繋がる道の駅 県境越え、周遊キャンペーン

2014-08-31 17:22:36 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、全国各地の道の駅で販売されている「道の駅記念きっぷ」と、道の駅に期待される役割について紹介した。
今週は、和歌山県と奈良県にある一部の道の駅を周遊するキャンペーンを紹介したい。

和歌山県田辺市と奈良県十津川村は、「聖地熊野を核とした癒しと蘇りの観光圏協議会」を立ち上げ、互いに共通する観光資源である世界遺産の熊野古道や温泉で、県境を越えた交流が行われるよう、田辺市内7ヶ所と十津川村1ヶ所の道の駅を巡る「道の駅(えき)っぷ干支めぐりキャンペーン」を実施している。


【写真】干支めぐりキャンペーンのスタンプ台紙

対象の道の駅で500円購入毎に道の駅きっぷ1枚がもらえ、8ヶ所の道の駅きっぷ を集め並べ合わせると1つの干支の絵になるという仕掛け。
さらに専用のスタンプ台紙に道の駅スタンプを捺印し8ヶ所全て集まれば、先着300名に特別きっぷ2枚と、道の駅きっぷを保管できる専用ファイルが進呈され、抽選で特産品が当たるというもの。

平成17年の市町村合併で田辺市の面積は県全体の約22%を占めるようになり、近畿で最も広い市。
旧の田辺市、龍神村、中辺路町、大塔村、本宮町には、熊野古道をはじめとした魅力的な地域資源がたくさんあり、そのエリアごとの情報発信基地として、道の駅も整備されてきた。
十津川村との共通項をもとに県境を跨いだ横の連携で、新しい観光と人の流れが生まれている。

キャンペーンは9月末まで実施。
詳しくは田辺市観光振興課(0739・26・9929)。
9月の連休で周遊してみては。

(次田尚弘/和歌山)
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求められる立ち寄り地点に 「道の駅記念きっぷ」

2014-08-24 13:38:04 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では「有意義な旅づくりに」と題して、道の駅紀州備長炭記念公園ほんまもん体験について紹介した。
地場産品を扱い、訪れた人々へそれらの販売や観光地の紹介を行う案内所や休憩所として、旅行者に親しまれているのが「道の駅」だ。

道の駅は全国に1000箇所以上の登録がある。「」は、街道沿いで栄えた宿場を意味することに由来。
県内には27箇所の登録があり、温浴施設を併設した椿はなの湯(白浜町)や、熊野古道や川の道との結節点として設けられている瀞峡街道・熊野川(新宮市)では、多数の旅行者が集う「」であることを感じさせられる。

鉄道駅であれば訪れた記念に入場券を買い求めるコレクターがいるが、道の駅にも同様の記念切符がある。「道の駅記念きっぷ」だ。
筆者も、道の駅しらまの里(有田川町)で購入してみた。1枚180円と鉄道駅に比べると割高感はあるが、重みのある硬券で、スタッフの方が訪れた日付を捺印してくれる。


【写真】道の駅記念きっぷ(有田川町・しらまの里)

スタッフの方によると、全国の道の駅きっぷ を集めるコレクターが何枚も買い求めるという。
また、近畿の道の駅を巡るスタンプラリーで完走者には抽選で特産品等が当たるという試みが行われるなど、行程を幾度にも分け、自動車で近畿各地の観光地を巡る楽しみを提案。
単なる休憩所ではなく、情報発信基地ともいえる、ドライバーに求められる旅の立ち寄り地点として、様々な工夫がされている。

県内外問わず、情報収集や旅の記念に、道の駅に立ち寄ってみてはいかがだろうか。
そこでは、ガイドブックでは知りえない地域の魅力に触れられるかもしれない。

(次田尚弘/和歌山)
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有意義な旅づくりに 多彩な「ほんまもん体験」

2014-08-17 13:37:16 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

8月も半ばを過ぎ、子供たちの夏休みも残すところ2週間。この夏最後の思い出と自由研究の宿題づくりに、是非おすすめしたい旅がある。

和歌山県が新しい旅の形として提案している「ほんまもん体験」だ。
ほんまもん体験では、体験を通じて地域の自然、歴史や文化、伝統産業などの魅力に触れてもらう体験型観光を推進し、自然観察、スポーツ、生活文化、地域産業、農林漁業、歴史文化の6ジャンル、350を超える体験が用意されている。

生活文化体験のひとつ、「備長炭風鈴づくり体験(田辺市)」を筆者も体験してみた。
あらかじめ切り揃えられた備長炭と、備長炭の原木であるウバメガシを使った台座、短冊などの作成キットが準備されており、スタッフの方の指導を受けながら作っていく。
備長炭の形や釣り紐の長さなど微妙な調整で風鈴の音色が変わるところがポイント。
備長炭の歴史や製造工程、芸術や地域の文化など、スタッフの方とのコミュニケーションを通じて備長炭への理解を深められることも魅力。
約1時間で世界に一つしかない、備長炭発祥の地・和歌山ならではの風鈴が出来上がる。

 

【写真】「備長炭風鈴づくり体験」の作成キット


備長炭風鈴づくり体験は、田辺市秋津川の「道の駅 紀州備長炭記念公園」内の施設「すみ工房」で、最少2人から最大40人まで体験でき、料金は1人1,500円。
作った風鈴は専用のケースに入れ、持ち帰れる。対象は小学生以上。

この体験は、ほんまもん体験のラインナップのひとつに過ぎず、他にも県内各市町村で様々な体験が多数用意されている。
詳しくは和歌山県観光連盟のウェブサイトから調べられる。
観光地巡りや海水浴に加え、その地域ならではの体験をすることで、記憶に残る有意義な旅になるはず。
県内在住の皆様にもおすすめしたい。

(次田尚弘/和歌山)

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地域の生活文化遺産 古座川町「明神の潜水橋」

2014-08-10 13:35:13 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号に続き、紀南の魅力的な川の歴史と文化について取り上げる。
今週は古座川町の「明神の潜水橋(みょうじんのせんすいきょう)」を紹介したい。


【写真】「明神の潜水橋」(古座川町明神-潤野を結ぶ)

明神の潜水橋」は古座川町役場から北西へ約6キロ、明神郵便局の前にある。
古座川の中流に架かり、明神地区潤野(うるの)地区を結ぶ、全長約90メートル、幅約1.5メートルの橋。
欄干がないのが特徴で、増水時には水面より下に潜ることから一般的に「潜水橋」と呼ばれている。

欄干が無いのは、増水時に流木や土砂の影響で橋が流されたり、川の水がせき止められ洪水が起きるのを防ぐため。平常時はいささか危険とも思われるが、これも先人の知恵だ。

明神の潜水橋」をよく見ると、川の上流に面した縁石部分のみ鉄が巻かれている。
これは上流から来る流木が衝突し橋が壊れないよう保護する役割がある。
このような対策が施されていても、平成18年6月の大雨で一部の橋脚が流される被害があった。
地元の方々からの強い要望で平成21年3月に復旧している。

紀南地方には富田川にも潜水橋が存在する。
これもまた平成23年9月の台風12号の豪雨で2つの潜水橋が流されたが平成25年4月に復旧。
潜水橋は、地元の方々の生活に無くてはならないものとして、地域で愛される存在だ。

近年は潜水橋の歴史や文化を再認識する動きがあり、高知県では流域の生活を支えてきた貴重な生活文化遺産として保存する方針が出されている。
この夏、今もなお地域で親しまれ続ける川や橋の歴史や文化に触れてみてはどうだろう。
ただし、増水時は川に近づかないようご注意を。

(次田尚弘/和歌山)
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自然と文化が息づく世界 「古座川の一枚岩」

2014-08-03 13:55:57 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号から、紀南の魅力的な川の歴史と文化について取り上げている。今週は古座川町の「一枚岩」を紹介したい。


【写真】古座川の一枚岩(古座川町相瀬)

一枚岩」は古座川町役場から北西へ約10キロ。
古座川の本流沿いを走る県道38号を西へ進み、突き当たる国道371号を北上すると巨大な岩が見えてくる。
高さ100メートル、幅500メートルの大岩壁で、熊野カルデラ火山の地下深くのマグマから形成され、地上に現れた岩石が風化・浸食されたことにより、このような形になったという。
昭和16年「古座川の一枚岩」として国指定天然記念物に指定されている。

一枚岩にも古くから伝わる伝説がある。
その昔、岩が好物の魔物がおり、岩を食い荒らしながら古座川を遡ってきたという。
一枚岩に辿り着いた魔物が一枚岩を食べようと噛み付いた時、里に住む猟犬が魔物に襲い掛かり追い払ったところ、一枚岩だけは穴だらけにならずに済んだ。
魔物が噛み付いたとされる部分という岩の中央部には滝が流れ、それが魔物の歯型と悔し涙として現代に残るという話だ。
同じ古座川沿いにある「虫喰岩」や「牡丹岩」は風雨で岩肌が浸食され、無数の穴が開いているのが特徴。
一枚岩だけは滑らかな岩肌であり、この伝説の由縁が理解できる。
また、4月19日と8月25日の前後数日間は、夕日を受けて「守り犬」の影が一枚岩に浮かび上がるという。

他にも一枚岩の岩面に生える「ヘリトリゴケ」というコケの群生が国内最大でかつ、最長寿命であり世界的に注目されるものであるという。
紀伊半島の生い立ちを物語る貴重な地質遺産のひとつとして、平成21年に県内で唯一の「日本の地質百選」に選定。
自然と文化が息づく神秘の世界がここにある。

(次田尚弘/和歌山)
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