さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

糖度が高く程よい食感 産直市場などで流通「甘秋柿」

2022-12-25 16:38:38 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では「富有柿」と「次郎柿」の良い点を活かし、果汁が多くサクサクした食感が特徴の「太秋柿(たいしゅうがき)」を取り上げた。
今週も富有柿を親に持つ「甘秋柿(かんしゅうがき)」を紹介したい。


【写真】小ぶりであるが味は抜群の「甘秋柿」

甘秋柿は農水省果樹試験場が「新秋柿(しんしゅうがき)」に「富有柿」と「興津16号」の交配種「18-4」を交配させて育成したもの。
新品種の開発は昭和61年に始まり、新秋柿に18-4の花粉を交配。初めて実を付けたのは平成4年で、平成6年に一次選抜を通過。平成8年に「カキ安芸津14号」という系統番号が付けられ、適応性検討試験を経て、平成14年に新品種に決まり、甘秋柿と命名。平成17年に品種登録が完了した。

果実はやや小ぶりで重さは200g程度。やや腰高で扁平な形をしている。食してみると肉質は緻密で果汁が多い。硬すぎず、柔らかすぎることもなく心地よい食感。完全甘柿であるため渋みなども感じられない。糖度は16~17%と高く、甘味が強いのが特徴。収穫期は10月中旬から下旬頃で、収穫から17日程度日持ちするとされる。

栽培面積が少ないからか農水省統計で都道府県別の栽培状況を把握することはできないが、主に、夏秋期の気温が高い地域に適し、富有柿や次郎柿の栽培地域での栽培が適しているとされる。
果皮に汚れが出る汚損果の発生が多く、果実が小ぶりであることから贈答品には向きづらく、主に産直市場などへ農家が持ち込み、販売されることが多いようである。

筆者は県内の産直市場で購入。栽培量は多くないと思われるが、県内でも出回る品種。
収穫時期が短いこともあり、見つけたときはすぐに購入しておきたい逸品である。

(次田尚弘/和歌山市)
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富有柿と次郎柿の良いとこ取り 果汁多くサクサクした食感「太秋柿」

2022-12-18 17:13:14 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では「富有柿(ふゆうがき)」と並ぶ柿の代表格として、180年近い歴史を持つ「次郎柿(じろうがき)」を取り上げた。
今週は富有柿と次郎柿を親に持つ「太秋柿(たいしゅうがき)」を紹介したい。


【写真】果汁、甘さ、食感に恵まれた「太秋柿」

太秋柿は1977年に果樹試験場で、富有柿に次郎柿と興津15号の交雑種を掛け合わせてできた完全甘柿。1995年に品種登録されて以降、各地に栽培が広がっている。

果実は400g程度と大玉で、物によっては500gを超えるものもある。
果肉はサクサクしており果汁がとても多い。糖度は17度程度でじゅうぶんな甘さがある。
熟すにつれて表皮にひび割れができやすいことから、表皮が青いうちから収穫される。
完全甘柿であることから青いうちから食べることができ、熟したものよりもサクサクした食感が楽しめる。

太秋柿の特徴として、果頂部(ヘタの反対側)を中心にして、円を描くように細かなひび割れが入りやすいことがあげられる。
これを「条紋(じょうもん)」といい、果実の中でも糖度が高い部分にできるといわれ、見た目が悪く商品価値は下がるものの甘さを求める方にとっては重要なポイント。手に取って条紋の有無を確認し購入してみてほしい。
収穫時期は富有柿と比べて少し早めの10月下旬から11月上旬頃。

令和元年度の農水省統計によると、栽培面積の第1位は熊本県(118.4ha)、第2位は福岡県(55.5ha)、第3位は岡山県(15.1ha)、第4位は愛媛県(14.4ha)、第5位は岐阜県(14.3ha)となっている。
和歌山県の栽培面積は4.8haで僅かながら栽培されている。

富有柿と次郎柿の良いところを掛け合わせてできた太秋柿。
今年のシーズンは終わっているが、ぜひ来年、食べ比べて楽しんでみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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富有柿と並ぶ代表格180年近い歴史を持つ「次郎柿」

2022-12-11 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では全国の栽培面積が第1位で、シーズン終盤に登場する「富有柿(ふゆうがき)」を取り上げた。
富有柿と共に柿の代表格として比較されるのが「次郎柿(じろうがき)」。「富有柿はあごで食べ、次郎柿は歯で食べる」と言われ、果肉が柔らかい富有柿と比べ、次郎柿は硬めで歯ごたえがある食感。今週は次郎柿を紹介したい。


【写真】歯ごたえのある食感が特徴の「次郎柿」

次郎柿の歴史は古く、1844年に静岡県周智郡森町に住む松本治郎吉氏が川の上流から流れてきた柿の幼木を見つけ、これを自宅に植えたのがはじまりとされている。この木は静岡県の指定天然記念物として保存されている。

名前の由来は発見した治郎吉氏にちなんでおり、「治郎さんの柿」と呼ばれたことから「次郎柿」と書かれるようになり現在に至っている。
次郎柿は枝替わりによる系統が多数あり、「一木次郎」「前川次郎」「焼津早生次郎」など、いずれも人の名前のような名となっている。

次郎柿は完全甘柿で、重さは200g~300gとやや小ぶり。平核無柿のように四角い形をしているが、ヘタがある果頂部分には凹みがある。果肉を見ると緻密で硬く果汁は少なめ。糖度は17度程度ある。
食してみると硬さはあるもののサクっとした食感。その後に上品な甘さがある。生食に加え、崩れにくい特徴から薄くスライスしサラダなどにアレンジするのもおすすめ。

令和元年度の農水省統計によると、栽培面積の第1位は愛知県(44.6ha)、第2位は静岡県(32.2ha)、第3位は愛媛県(17.9ha)となっており、和歌山県の栽培面積の記載は無い。
筆者は和歌山県内の産直市場で購入。僅かながら県内でも栽培されているようだ。

旬は10月下旬頃から12月上旬頃まで。富有柿と一緒に食べ比べしてみてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)
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