魅力ある地域の観光名所を自家用車を使わず周遊したいが、最寄駅からの移動がたいへん。
目的地まで本数の多い路線バスがあったり、レンタサイクルで行ける環境(距離・天候)、タクシーを利用する金銭的な余裕があればよいが、このような条件をクリアした旅を計画することが厳しいことも多い。
それを解決する取り組み事例を紹介したい。
【写真】井原鉄道神辺駅(広島県福山市)
広島県福山市の神辺(かんなべ)駅と岡山県井原市の井原駅を結ぶ井原鉄道井原線では、行政と協力し、鉄道を利用した観光を促進する取り組みを行っている。
沿線の井原市と矢掛町がそれぞれ実施している「無料観光バス」。
井原市無料観光バスであれば、同線を利用し市外から同市を訪れる10名以上の団体観光客に、同線の各駅から観光地まで無料の観光バスを運行するというもので、同市の観光振興と同線の利用促進を図ることが目的。事前の申し込みが必要。
観光コースは自由に設定できるが、条件として、指定された観光名所1ヶ所以上を観光コースに組み入れる必要がある。
季節にあわせ、イチゴ狩りや栗拾いなどを組み合わせることもできるという。
団体で行動する必要があるが、この施策の存在で、移動手段の確保が問題で旅を断念されることを減らすことができ、また、新たに旅を企画する団体にも期待できる。
和歌山県内でも駅から離れたところに観光名所があることが多い。
同市のような手厚い施策は難しくとも、今あるものを活用したわかりやすく、かつ積極的な情報発信があれば、更なる観光促進につながるかもしれない。
(次田尚弘/広島)