さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

山、川、海の景観を守る 「吉野熊野国立公園」

2014-06-29 13:28:19 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

これまで、瀬戸内海国立公園の指定80周年について紹介してきたが、和歌山県には国立公園がもうひとつある。
吉野熊野国立公園」だ。

吉野熊野国立公園は三重県、奈良県、和歌山県にまたがり、紀伊半島の中央に位置する山々と川、海岸で構成され、昭和11年2月1日に指定。
今年が78周年にあたる。

桜で有名な吉野山、大峯山、大台ケ原、熊野三山などが有名で、平成16年に「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産登録されたことから、広く注目されるようになった。

和歌山県内では田辺市、新宮市、那智勝浦町、太地町、北山村、串本町がそのエリアとなる。
大峯山脈や大台ケ原から続く熊野川(北山川下流域)に位置する景勝地「瀞峡」、熊野三山に位置する「那智の滝(一の滝)」、黒潮の暖流が育む南紀特有の自然景観を味わえる「宇久井半島」、国の名勝天然記念物に指定されている「橋杭岩」、熱帯性の生物が生息し2005年にラムサール条約に登録された「串本海域公園」が代表的だ。

【写真】吉野熊野国立公園に指定されている「橋杭岩」(串本町)


串本海域公園」は昭和45年、日本で最初に指定された海域公園。
指定当初は「海中公園地区」の名称であったが、藻場やサンゴ礁などの海中の景観に加え、海中と一体的な海域環境をつくる干潟や岩礁域などを守ることを目的に平成22年4月に制度が改定されている。

和歌山県が誇る、山、川、海の歴史的価値を自然景観の観点から保護しようと、78年前に指定された吉野熊野国立公園は、世界遺産登録の先駆けと言って過言ではない。
吉野熊野国立公園の魅力にクローズアップしたい。

(次田尚弘/和歌山)

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瀬戸の夕景スポットを巡る 倉敷で運行「鑑賞バス」

2014-06-22 13:31:55 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号に続き、瀬戸内海国立公園の指定80周年を祝う他府県の事例を紹介したい。
倉敷市で、日本の夕陽百選にも選ばれている鷲羽山(児島・下津井)夕景スポットを巡る「夕景鑑賞バス」が運行され、人気を博している。

【写真】車内から瀬戸の夕景を楽しむ乗客(倉敷市)


夕景鑑賞バス」はJR児島駅を発着地点とし、周辺の宿泊施設を経由、夕景スポット2箇所で各15分の鑑賞時間を設けながら約2時間かけて巡る。
お盆期間中を除く、金曜日・土曜日・祝前日に運行され、大人、子供、共に一人510円で乗車できる。

日没の時間を考慮したダイヤで、夏至に近い6・7月は午後5時30分に出発、冬至に近い10・11・12月は午後4時に出発。
児島地区の特産品であるジーンズ生地をシートにあしらったバスが登用され、地元出身の著名人による案内放送など、観光客へのもてなしも充分だ。

鷲羽山と同じ、日本の夕陽百選に選ばれている景勝地が和歌山にもある。
同じく瀬戸内海国立公園の区域である和歌浦・雑賀崎、他にも、由良町の白崎海洋公園・戸津井漁港、白浜町の円月島(瀬戸)・白良浜、高野町の大門、串本町の潮岬がそうだ。

昨今は短い時間単位でレンタカーを利用できるサービスもあるが、路線バスや定期観光バスは個人旅行の友。
しかし、日没の時刻に合わせた柔軟な移動が求められる夕景鑑賞に不向きなことも事実。
地域の宝といえる景勝地からの夕景を観光客にタイミングよく提供できる「夕景鑑賞バス」のアイデアに感服すると共に、和歌山を訪れる方々にもこのような機会があればと感じた。

(次田尚弘/岡山)

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指定80周年祝い、各地でイベント 岡山・香川 記念式典も

2014-06-15 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

最も身近な国立公園として指定80周年を迎える「瀬戸内海国立公園」を取り上げている。
同国立公園は和歌山県を東端に瀬戸内海を囲む1府10県がその範囲であるが、他府県では指定80周年をどのように迎えているか。

岡山県倉敷市。白壁が美しい倉敷駅周辺美観地区から南へ約15キロ、瀬戸大橋の本州側の起点に位置する児島地区では、街の至る所に指定80周年を祝う旗が掲げられお祝いムード一色。

【写真】指定80周年を祝うモニュメント(岡山県倉敷市)


地区の南端には瀬戸大橋と島々を望む風光明媚な観光名所「鷲羽山(わしゅうざん)」がある。巨大な橋の人工美と点在する島々の自然美の調和が観光客を魅了。
一帯は第二種特別地域に指定され、展望台からの眺望を確保するための樹木の手入れなど景観の保全が積極的に行われている。

倉敷市では3月16日に鷲羽山第二展望台で記念式典を開催。
国立公園ウォーキングや島巡りツアー、写真展、絵画展などを定期的に実施している。
対岸の香川県高松市では7月13日に記念式典を開催。夏の観光シーズンにあわせ、沿岸の8地区を巡るラリーイベントの実施など、県外からの誘客にも積極的だ。

紀淡海峡の向こう側、岡山や香川では瀬戸内海の魅力を見つめる催しがたくさん。
共通の地域資源を持つ他県の取り組みに触れ、瀬戸内海という共通項にプラスで存在する地域ならではの魅力や付加価値が、地域色として内外に知られることで、瀬戸内海を囲む広いエリアが一体となり、魅力の向上や横の連携強化につながると感じる。
友ヶ島地区や和歌浦地区には他の地域に引けを取らない魅力が沢山。
岡山や香川と肩を並べる景勝地としてPRしたい。

(次田尚弘/岡山)

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最も身近な国立公園 加太・和歌浦 瀬戸内海の魅力

2014-06-08 19:54:17 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号より、ことし80周年を迎える瀬戸内海国立公園について紹介している。
県内では和歌山市がエリアに含まれ、加太・友ヶ島地区と和歌浦・雑賀崎地区の海域と陸域が同公園として指定されている。

【写真】加太から友ヶ島地区を望む(淡路島が間近に見える)


環境省の管理計画書によると、現在の景観を極力保護することが必要な地域(第1種特別地域)として、神島(加太・友ヶ島地区)、双子島・大島・中ノ島(和歌浦・雑賀崎地区)が該当し、自然植生や自然海岸を厳正に保護。
沖ノ島・地ノ島(加太・雑賀崎地区)、加太・深山の海岸林、城ヶ崎海岸の海食台、雑賀山は第2種特別区に指定され地形や植生など島の景観保全を、雑賀崎から新和歌浦にかけての断崖の景観や鷹ノ巣の上人窟などは第3種特別区に指定され海食崖の保全など、それぞれ、保全対象と保護管理の方針が定められている。

また、加太地区砲台跡展望広場や城ヶ崎、友ヶ島地区のコウノ巣山展望台、雑賀崎・和歌浦地区の雑賀崎灯台や章魚頭姿山(たこずしやま)、番所の鼻は、代表的な展望地として、そこから望む紀淡海峡や島々、海岸線などが展望、眺望の保全対象とされている。

これらの地域は和歌山市において代表的な景勝地として私たち市民にも知られているが、近年、かつてのような賑いから遠のきつつあることも事実。
それに対し、アニメを皮切りにした友ヶ島地区の人気、和歌浦の海の幸を身近に味わえる試みなど、地域の方々の尽力も大きい。
指定80周年を機に、極めて身近にある瀬戸内海国立公園の魅力に触れてみてはどうだろう。

(次田尚弘/和歌山)
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瀬戸内海の魅力を守り80年 日本で最大の国立公園

2014-06-01 20:14:11 | WAKAYAMA NEWS HARBOR

前号では伊豆・下田にある「和歌の浦」について紹介した。
相模灘に面し太平洋のどこまでも青い海が特徴的であった。
一方で和歌山市の「和歌浦(わかのうら)」は紀伊水道に面する瀬戸内海
潮の流れが速くリアス式の地形が特徴で、同じ海といっても太平洋と瀬戸内海では、それぞれで異なる魅力がある。
瀬戸内海の魅力を再認識しようという動きが各地で活発になっている。

瀬戸内海は東端を和歌山県、西端を大分県とする本州・四国・九州に挟まれた内海。
その優れた風景や豊かな自然を守ることを目的に、昭和9年、国は瀬戸内海の一部のエリアを日本で初めての国立公園に指定し「瀬戸内海国立公園」とした。
指定から80年を迎える今年、香川県や岡山県、広島県では記念式典をはじめ、写真展、観光ツアーなどが積極的に開催されている。



瀬戸内海国立公園」は東西約450キロと、全国で31箇所ある国立公園の中で最大規模。
県内では和歌山市がそのエリアに含まれ、加太・友ヶ島地区和歌浦・雑賀崎地区の海域と陸域が指定されている。
面積は482ヘクタールと小規模でありながらも、地域の特色を踏まえた風致・風景の管理、地域の開発・整備への対処等が定められた管理計画もあり、それに沿って保護が行われている。

これら和歌山市の地域が国立公園に指定されたのは昭和25年。
当初の指定区域である香川県、岡山県、広島県より十数年遅れての指定であり、また、小さな島々が無数に存在する瀬戸内海らしさがこれらの地域に比べると薄いところもあるが、段々に建つ家々が特徴的な集落や港町の存在は瀬戸内海の町並みそのもの。
人と自然が共存する豊かな地域の魅力を深掘りしていきたい。

(次田尚弘/和歌山)

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