さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

甘酸っぱさと弾力が特徴 水戸・和歌山の銘菓「のし梅」

2020-03-29 15:48:23 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、茨城県の特産品である梅を用いた個性あふれる「梅酒」を取り上げた。他にも梅を使った郷土ならではの菓子が存在する。
今週は水戸の土産品として知られる「のし梅」を紹介したい。


【写真】水戸の銘菓「のし梅」

のし梅は、梅をすりつぶし、黒糖や水飴などの砂糖と寒天を練り込み、板状に薄く伸ばして乾かせ竹の皮で包んだ菓子。梅の甘酸っぱさと香り、弾力のある食感が特徴。

もともとは、山形藩の医師が長崎に遊学の際、中国から伝来したとされる梅を用いた「気付け薬」として考案し、山形へ持ち帰ったとされ、現在も山形県の菓子として親しまれている。

梅を加工し土産品としての価値を付け販売しようと、梅の名産地である水戸や和歌山に製法が広まり、現代では水戸銘菓として知られるようになった。
水戸では老舗の菓子店が製造、販売し、主要駅の売店等で広く取り扱われている。
茶会で出される水戸ならではの菓子で、夏場は冷やして食べるのがおすすめ。

和歌山県でも、梅の産地であるみなべ町や上富田町の食品メーカーで製造されている。
水戸との違いは南高梅を使用していることに加え、味が異なる複数の種類が存在すること。
梅の風味がメーンとなるプレーンタイプと、柑橘の風味を楽しむため柚子の皮などを混ぜたタイプ。
梅花の色を表現しようと桃の色素を加え赤く染めたものや、抹茶を混ぜたものなど様々。
他の特産品とのコラボレーションで、のし梅の楽しみ方を増やす工夫がみられる。

同じ名称でも御当地により進化を遂げる銘菓「のし梅」。地域で異なる味わいを食べ比べてみてほしい。

(次田尚弘/水戸市)
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地ビールや地酒をベースに 茨城県の個性あふれる「梅酒」

2020-03-22 14:10:17 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、茨城県鹿嶋市で東京五輪のサッカー競技会場のひとつとなる「県立カシマサッカースタジアム」を取り上げた。
今週から、茨城県の特産品や土産品を紹介していきたい。

本コーナーのタイトルの由来となっている「梅」。以前、偕楽園の梅林で育った梅の実が市民に配布されることを取り上げたが、県内では梅の生産や加工品の製造が盛ん。

主に生産されている梅の品種は「白加賀(しらかが)」と呼ばれるもの。
白加賀は主に関東地方を産地とし、国内で最も生産量が多い品種とされている。

江戸時代から栽培されてきた品種で、種が小さく果肉が緻密で肉厚であることが特徴。
実のサイズは25gから30g程度で、和歌山県の南高梅や古城梅とほぼ同じ。
青梅で梅干しや梅酒、梅シロップなどに加工される。

茨城県は関東屈指の酒どころで、日本酒や地ビールの製造技術を用いて梅酒を製造する酒蔵が多く、様々な種類が存在。

地ビールの酒造メーカーが作る梅酒を飲んでみた。
ビールの製造に欠かせないホップに梅を漬け込み、フルーツシュガーを加えた梅酒は、梅の風味と甘さが際立ちながらもさらりとした軽い食感が特徴。

他にも梅酒をベースにシソや巨峰、柚子などを漬けたフレーバー梅酒や、地元名産の清酒をベースにした梅酒が多数あり、個性のある梅酒の存在が御当地の特徴といえる。


【写真】茨城県産の梅酒

和歌山県産とは違った梅酒の楽しみ方ができる。梅でつながる茨城県。
ぜひ、お気に入りの梅酒を見つけてみてほしい。

(次田尚弘/水戸市)
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アントラーズの本拠 五輪会場「茨城カシマスタジアム」

2020-03-15 13:33:29 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、茨城県鹿嶋市にある常陸国一宮の「鹿島神宮」と、徳川家による信仰を取り上げた。
今週は鹿島神宮に程近く、東京五輪のサッカー競技会場となる「県立カシマサッカースタジアム」を紹介したい。


【写真】茨城カシマスタジアム

県立カシマサッカースタジアムは、鹿島神宮から北東へ約2.5kmに位置するサッカー専用スタジアムで1993年に完成。
2001年には2002FIFAワールドカップ開催のため4万人以上を収容する規模に改修。
2011年の東日本大震災で大きな被害を受けるも改修工事が進み、震災から9年を経た現在は茨城県における復興のシンボルとして親しまれている。

2017年7月、スイスで開かれた国際オリンピック委員会の理事会で、東京五輪のサッカー競技会場として承認。
大会時は「茨城カシマスタジアム」の名称となり、県内では開催を告知する案内表示や、東京方面を結ぶ高速バスの車体へのラッピング広告など、様々な取り組みが進められている。

このスタジアムはJリーグ「鹿島アントラーズ」のホームスタジアムとしても知られる。かつては旧住友金属工業が主たる株主であったことから、和歌山県内でもアントラーズのファンとして現地を訪れた方も多いのではないだろうか。
スタジアムの歴史や、これまでのアントラーズの歩み、2002FIFAワールドカップの記録などを紹介するミュージアムもあり、ファンの方にお勧めしたいスポット。

東京五輪では7月23日から男子の予選が始まり、8月3日に女子の準決勝、4日に男子準決勝、6日に女子3位決定戦が行われる予定。
東京五輪の開催まで4ヵ月と少し。茨城県では機運がますます高まっている。

(次田尚弘/鹿嶋市)
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頼宜の弟、頼房も奉納 徳川家の信仰厚い「鹿島神宮」

2020-03-08 16:36:41 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号より、水戸徳川家と縁のある茨城県内の観光地や特産品を取り上げている。
今週は水戸市から南南東へ約50km、鹿嶋市にある「鹿島神宮」を紹介したい。


【写真】鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)

常陸国一宮「鹿島神宮」は東北・関東を中心に全国600社存在する鹿島神社の総本山で「武甕槌神(タケミカヅチ)」を祭神とする神社。
その歴史は古く、紀元前660年の創建。祭神の武甕槌神は、天照大御神の命を受け、香取神宮(千葉県香取市)の御祭神「経津主大神(ふつぬしのおおかみ)」と共に「大国主命(おおくにぬしのみこと)」と話し合い、国譲りの交渉を成就させたという。
東国遠征の拠点とされ、皇族や藤原氏から崇敬を受け、国の守護神として信仰されてきた。

12年に一度行われる「御船祭(みふねまつり)」は、御祭神である武甕槌神が3000人に及ぶ大行列と100隻を超える船団を率いて、香取神社の御祭神である経津主大神と水上で出会う鹿島神宮最大の神事で、約1700年前から伝わるという。

徳川家からの信仰も厚く、現在の社殿は2代将軍・秀忠、奥宮は家康、楼門は水戸藩初代藩主で水戸徳川家の祖(紀州藩初代藩主、頼宜の弟)頼房により奉納されたもので、重要文化財に指定されている。

東国三社のひとつである鹿島神宮は、正月三が日となると大勢の参拝客で賑わい、神宮の大鳥居へと続く賛同の仲見世巡りも楽しみのひとつ。

JR鹿島線鹿島神宮駅下車、徒歩約10分。東京駅から運行される高速バスの利用が便利で所要時間は約2時間。
歴史が深く、多数の重要文化財が残る鹿島神宮の参拝をおすすめしたい。

(次田尚弘/鹿嶋市)
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魅力ある歴史ロード 再生された「備前堀」と緑道

2020-03-01 13:45:10 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では「おもてなし」日本一への挑戦と題し、茨城県が進める「いばらき観光マイスター」の制度を取り上げた。
県民をあげて観光都市としての魅力を高める、県内の観光地や特産品を紹介していきたい。

今週は、前々号で取り上げた「千波湖」の氾濫対策や農業用水として使われている「備前堀(びぜんぼり)」と景観整備された岸辺の緑道を紹介する。


【写真】備前堀と伊奈備前守忠次の銅像

備前堀(別名、伊奈堀)は水戸市の桜川と涸沼川(ひぬまがわ)を結ぶ用水路。
少しの雨でも千波湖が氾濫し、僅かな日照りで干害に見舞われることから、慶長15年(1610年)水戸藩初代藩主の徳川頼房が、幕府直轄地を司る代官として設置した「関東代官」の一人、「伊奈備前守忠次(いな・ただつぐ)」に命じて作らせた。

堀の岸辺では染物屋が並び、染物を洗う光景が見られるなど商工業が反映。農業用水として水田を潤すなど大きな恩恵をもたらしたという。
開削を明示された伊奈備前守忠次の名にちなみ、備前堀、伊奈堀と呼ばれるようになった。

大正10年から昭和7年にかけての干拓事業により千波湖とは切り離され、農地へ水を行うかんがいの時期以外は空堀の状況となり、景観を損ねていたことから、昭和63年から平成13年にかけ護岸の修復と同時に、沿道を魅力ある歴史ロードとして整備。
情緒溢れる観光客の回遊場所として生まれ変わった。

夜には岸辺の沿道がライトアップされるなど、昼と夜で異なる顔を見せてくれる。
途中の道明橋には、開削に貢献した伊奈備前守忠次の銅像が建つ。
水戸を訪れた際はぜひ訪れてみてほしい。

(次田尚弘/水戸市)
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