さんぽみちプロジェクト

さんぽみちプロジェクトの記録。
和歌山新報で日曜日一面に連載中の「WAKAYAMA NEWS HARBOR」と連携。

巨峰やピオーネを意識し育成 赤色で大粒の「クイーンニーナ」

2023-11-12 19:10:10 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、7月下旬に成熟する新品種で、気候変動に対応した「ブラックビート」を取り上げた。
今週も「巨峰」や「ピオーネ」を意識し、それらとの違いを新しい価値として売り出している「クイーンニーナ」を紹介したい。


【写真】美しい赤色が目を引く「クイーンニーナ」

クイーンニーナは果皮の色が赤く食味に優れた大粒のぶどう。1992年(平成4年)に広島県の果樹研究所で「安芸津20号」と「安芸クイーン」を交配し育成したもので、2011年(平成23年)に品種登録された。
巨峰やピオーネと異なる見た目で、食味に優れ、種なし栽培が可能な大粒品種の育成を目指し育成された。

果実は1粒あたり17g程度と大粒。果肉がしっかりとしており歯切れがよい。糖度は20度を超える一方、酸味が低いことから、さっぱりとした味わいというより、甘さが口に残るという印象。果汁は多くみずみずしい。巨峰やピオーネに似た香り(フォクシー香)がある。

名前の由来は、親である安芸クイーンの旧系統名が「安芸津27号」という名称であったことから、数字の27を「ニーナ」と読み替え、さらに、スペイン語で女の子を意味する「ニーチャ」にちなんでいるという。

収穫時期は、巨峰やピオーネよりもやや遅めの8月下旬から9月上旬頃。東北南部から九州まで、巨峰と同じ地域で栽培ができる。
2020年の農水省統計によると、栽培面積の第1位は長野県(19ha)で全国シェアの3割以上を占める。第2位が山梨県(12ha)、第3位が愛知県(5ha)と続く。和歌山県は統計上の数値は無いが、僅かながら栽培されており、筆者は県内の産直市場で購入した。

巨峰やピオーネと時期を同じくして出回り、それらとは一線を画した見た目や味わいが特徴のクイーンニーナ。店頭で見る機会があれば、ぜひ食べてみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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7月下旬に成熟する新品種 気候変動に対応「ブラックビート」

2023-11-05 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、巨峰に対抗した品種で、東北生まれの「あづましづく」を取り上げた。
今週は「藤稔(ふじみのり)」と「ピオーネ」を交配してできた「ブラックビート」を紹介したい。


【写真】漆黒が美しい「ブラックビート」

ブラックビートは、熊本県で育成、平成16年(2004年)に品種登録された早生種。収穫時期の早さの色付きの良さに秀でており、8月から9月にかけて熟期を迎える多くのぶどうよりも早い、7月下旬から収穫が可能。比較的収穫期が早い巨峰と比べても10日程早い。

熊本県の調査では気候変動の影響で、夏季において30℃を超える高温の日が増えたことで、ぶどうの着色不良が深刻化しているという。高温となる8月を迎える前にいち早く成熟を迎え収穫が可能なブラックビートは、この地域におけるぶどう栽培の維持拡大に期待されている。

ブラックビートの果実は短楕円形をしており、1粒は約16g前後と大きめ。果皮は黒に近い。見た目は巨峰のようで、巨峰からの交配によりできた、藤稔やピオーネを親に持つ理由として納得できる。

食してみると、巨峰系にある黒ぶどうならではの濃厚さが際立つ。酸味が弱いため甘味が強く感じられる。糖度は18度から21度。果肉は締りがあり、やや硬めでありながらみずみずしさがあり、皮は剥きやすく食べやすい。巨峰にあるような強い香りはあまり感じられない。

農水省統計(2020年)によると、全国の栽培面積は19.3ha。第1位は兵庫県(5.2ha)、第2位は山梨県(4.4ha)、第3位は福井県(2.6ha)。東京都、香川県、熊本県、埼玉県と続き、第8位に和歌山県(1ha)がランクインしている。

熊本県と同様に温暖な気候の和歌山県内でも、7月下旬から出回る品種。開発の背景には気候変動に対応するための知恵があった。

(次田尚弘/和歌山市)
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巨峰に対抗した新品種 東北生まれの「あづましづく」

2023-10-29 16:34:26 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、糖度が20度に達するほどの甘味で、巨峰の枝変わり品種である「紫玉(しぎょく)」を取り上げた。
今週は、巨峰の栽培に課題がある地域で生み出された「あづましづく」を紹介したい。


【写真】大粒で程よい張りがある「あづましづく」

あづましづくは、平成16年(2004年)に品種登録された比較的新しいぶどう。「ブラックオリンピア」と「4倍体ヒムロッド」を交配し、大粒で極早生の種なしぶどうを選抜し育成したもの。新品種育成の経緯には、主な栽培地である福島県の課題があった。

福島県ではデラウェアやキャンベルなどの小粒のぶどうの栽培が行われていたが、次第に巨峰のような大粒のぶどうが消費者に好まれるようになり、巨峰の栽培へのシフトが余儀なくされた。
巨峰の産地は福島県よりも温暖な西の地域が中心で、成熟期や収穫量において劣る傾向にあった。巨峰を品種改良した「高尾」という品種も生み出されていたが、病害虫が原因で栽培が難航。あづましづくに注目が集まった。

あづましづくの特徴は成熟の早さ。8月上旬頃には収穫が可能で、市場価格が良いお盆の時期に出荷が可能。巨峰よりも20日から1ヶ月程度早いことから、市場優位性が高い品種となっている。

果実の重さは15g程度で、糖度は17度程度。肉質は巨峰よりやわらかい傾向にあり、皮は剥きやすい。果汁が多く濃厚でジューシーな食味となっている。

農水省統計(2020年)によると、国内の栽培面積は約14ha。第1位が福島県(12.5ha)と9割を占め、第2位が青森県(1.4ha)となっている。東北地方での栽培が主であるが、筆者は和歌山県内の産直市場で購入した。
収穫期の早さに着目されてなのか、福島県以西の地域でも僅かながら栽培が行われているようだ。
手にする機会があれば、ぜひ食べてみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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糖度20度に達する甘味 巨峰の枝変わり品種「紫玉」

2023-10-22 13:30:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、糖度が高く1粒が30グラムを超える大粒の実が特徴の希少品種「藤稔(ふじみのり)」を取り上げた。
今週は、藤稔と比べ粒は小さいが糖度が高い「紫玉(しぎょく)」を紹介したい。


【写真】際立つ甘さが特徴の「紫玉」

紫玉は昭和57年に「巨峰」の優良系統である「高墨(たかすみ)」の枝変わりとして、山梨県で発見されたもの。昭和62年に品種登録されている。

高墨という品種は、実が巨峰よりも一回り小さく、コクのある味わいと香りが特徴。紫玉は更にそれよりも優れた品種であり、巨峰の良いところを引き出したものである。
外観は巨峰そのもので見分けるのは難しいが、やや濃い紫色をしている。

1粒のサイズは12グラムから16グラム。糖度は20度に達するものもある。果皮は分厚いが剥きやすい。果汁が多く甘味も強いため、ぶどうそのものの旨味が凝縮されている印象。肉質は巨峰よりやや硬め。1房あたりの大きさは500グラム程度。

巨峰より10日から15日程度早く収穫されることから、巨峰から生まれた早熟(早生)品種としても知られる。価格は1kg1200円~2000円程度で、巨峰と同程度かやや高め。

農水省統計(2020年)によると、全国の栽培面積は26.9ha。第1位は山梨県(9.2ha)、第2位は兵庫県(7.2ha)、第3位は愛知県(3.4ha)。
和歌山県は第8位(1ha)となっており、僅かではあるが県内でも栽培されている。
筆者は、かつらぎ町内の産直市場で購入。やや小ぶりではあるが、しっかりとした濃い紫色に食欲をそそられた。

収穫時期は8月上旬から9月中旬まで。前号で取り上げた藤稔よりも更に希少な品種。
1粒に凝縮された甘味と風味を味わっていただきたい。

(次田尚弘/和歌山市)
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30グラムを超える大粒も 糖度が高く、希少な「藤稔」

2023-10-15 14:04:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、欧米系の品種が融合して生まれた、人気品種である「シャインマスカット」を取り上げた。
今週は「ピオーネ」を親とし、大粒の果実が特徴の「藤稔(ふじみのり)」を紹介したい。


【写真】大粒の果実が特徴の「藤稔」

藤稔は神奈川県藤沢市で、ピオーネ(「巨峰」と「カノンホール・マスカット」の掛け合わせ)と「井川682号」を交雑させ、選抜育成したぶどうで、昭和60年(1985年)に品種登録された。

果実の直径は500円玉ほどで、大きいものでは1粒の重さが30g以上になる。食してみると、糖度は17度程度と高めだが、甘味と酸味のバランスがよく、果汁が豊富。みずみずしい食感で、やわらかめの肉質である。栽培方法によって、種無しと種ありのものがあり、購入する際には注意したい。

また、果実が大きいが故に、房から実落ちすることがあるため、長距離の輸送に向かず、包装を外し持ち上げるとバラバラと実が落ちてしまい、驚かされることもある。

農水省統計(令和2年)によると、主な生産地は、第1位が山梨県(62.1ha)、第2位が兵庫県(22.4ha)、第3位が神奈川県(18.3ha)で、全国的に見ても栽培面積は広くない。山梨県内では「大峰(たいほう)」の名で販売。海外への進出が行われており、中国で栽培されている。和歌山県内での栽培面積は第20位で2.5haとなっており、僅かではあるが栽培されている。

収穫時期は8月上旬から9月下旬まで。1つの農園あたり、およそ2週間から3週間程度の期間で収穫が終わるので、食べられる期間が短く希少価値もある。

今年のシーズンは終わってしまったが、1粒が巨峰の倍以上にもなる珍しい品種。
ぜひ、口いっぱいに広がる甘味と豊富な果汁を味わってほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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欧米系の品種が融合 大人気の「シャインマスカット」

2023-10-08 22:46:15 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、大粒で糖度や香りに優れ、巨峰を親にもつ「ピオーネ」を取り上げた。
今週は、巨峰、ピオーネと並ぶ、日本の代表的なぶどうとなった「シャインマスカット」を紹介したい。


【写真】黄緑色の果皮が美しい「シャインマスカット」

シャインマスカットは「安芸津21号」と「白南」を交配し育成。2006年に品種登録された歴史の浅いぶどうである。

安芸津21号はアメリカ系の品種である「スチューベン」と、ヨーロッパ系の品種である「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を交配したもの。
一方、白南はヨーロッパ系の「カッタクルガン」と「甲斐路」を交配したもので、いずれも、アメリカ系とヨーロッパ系の品種の組み合わせから生まれている。

一般的に、アメリカ系は弾力があり噛み切りにくい肉質でフォクシー香と呼ばれる特有の香りがあり、ヨーロッパ系は柔らかく噛み切りやすい肉質でマスカット香と呼ばれる香りがある。

果肉は大きく楕円形をしており、果皮の色は黄緑色で皮は薄いが、果肉と密着しているため剥きづらい。ジベレリン処理により種なしになっているものが多いため、皮ごと食べることができる。

食してみると、張りのある皮によるパリッとした食感があり、果肉は非常に甘くジューシー。酸味は控えめで、マスカットに近い香りがする。

農水省統計(2020年産)によると、全国の栽培面積は2281haで、巨峰に次ぐ2番目。
主な生産地は、第1位が長野県(640ha)、第2位が山梨県(609ha)、第3位が山形県(227ha)となっている。和歌山県でも栽培されており、面積は12haとなっている。

ハウス栽培のものは6月下旬から出荷が始まり8月下旬まで。露地栽培のものは8月上旬から10月上旬まで楽しめる。
栽培面積が拡大し、以前よりも手頃に購入できるように。ぜひ、味わってみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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大粒で糖度、香りに優れる 巨峰を親にもつ「ピオーネ」

2023-10-01 14:02:34 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、肉厚でコクがあり、根強い人気を誇る「巨峰」を取り上げた。
今週は、巨峰を親として開発された「ピオーネ」を紹介したい。


【写真】甘さと爽やかさが特徴の「ピオーネ」

ピオーネは昭和32年に、母を「巨峰」、父を「カノンホールマスカット」として生まれ、巨峰の甘さとマスカットの爽やかさを兼ね合わせた品種。
糖度が高く、香りが優れ、適度な酸味があり、大きいものは1粒20g程度。果肉はしまっており、巨峰よりも粒が落ちづらく、日持ちがよいという特徴をもつ。

名前はイタリア語で開拓者を意味する「pione(ピオーネ)」に由来する。元々は英語で開拓者を意味する「Pioneer(パイオニア)」と命名されていたが、後に改名されたという。

ピオーネには「ニューピオーネ」と名付けられたものがあるが、種があるか無いかの違い。
ジベレリンという植物ホルモンを用いて、種を作らず果実を肥大化させる技術が用いられている。

農水省統計(2020年産)によると、全国の栽培面積は1910ha。国内の生食用ぶどうの約15%を占め「巨峰」「シャインマスカット」に次ぐ3番目。
主な生産地は、第1位が岡山県(799ha)、第2位が山梨県(350ha)、第3位が香川県(106ha)となっており、和歌山県は第11位(25ha)。県内では、かつらぎ町を中心とした北部の地域で栽培されている。

栽培面積第1位を誇り、全体の約42%を占める岡山県では、産地が独自の出荷基準を設けた「プレミアムピオーネ」と称されたものがある。大きさや糖度、見た目を評価したもので、主に贈答品として使われている。

出荷時期はハウス栽培のものは5月下旬から11月中旬にかけて。露地物も10月下旬頃まで出回る。

冷凍庫に入れ、シャーベットのようにして食べても美味しいピオーネ。お好みの味わい方で楽しんでみてほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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根強い人気を誇る 肉厚でコクがある「巨峰」

2023-09-17 14:12:13 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、家庭で親しまれるぶどうの代表格として知られ、150年もの歴史を持つ「デラウェア」を取り上げた。
今週も、かつてから家庭での親しみが深い「巨峰(きょほう)」を紹介したい。


【写真】紀北で収穫された「巨峰」

巨峰は「石原早生」と「センテニアル」というぶどうを親とし、昭和12年から育成され、昭和17年に静岡県で誕生した品種で、正式な名称は「石原センテニアル」。
育成地から富士山が見えることにちなみ、巨峰の名で昭和30年に商標登録された。

果皮は紫黒色で1粒あたりの重さは10~15gと大きい。果肉はしまっており果汁が多い。香りがよく、糖度は18~20度と甘味が強いが、その中に酸味とコクを感じることもできる。

1房あたりのサイズは大きいもので500~600g程度にまで成長するが、糖度と1房あたりの粒の数は比例しており、粒の数が少ないほど甘味が増すといわれている。
そのことから、生産者は、房の大きさと甘味のバランスを考え、適度な間引きを行うなどして調整している。
「ピオーネ」などの品種は巨峰を親として開発されたもの。今後、このコーナーで紹介していきたい。

旬は露地物で8月から10月頃。ハウス栽培のものは5月下旬頃から出回る。
2020年の農水省統計によると、栽培面積の第1位は山梨県(1019ha)、第2位は長野県(685ha)、第3位は福岡県(358ha)となっている。県内でも栽培されており、全国順位は第12位(48.2ha)。

有田川町の観光農園団地「有田巨峰村」は、気軽にぶどう狩りを楽しめる施設。開園時期は園により異なるが、概ね8月上旬から9月中旬にかけて開園し、多くの観光客で賑わう。

まもなくシーズンを終えるが、紀北地域は新鮮な巨峰が手に入りやすい。ぜひ、その味わいを楽しんでほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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家庭で親しまれる代表格150年の歴史を持つ「デラウェア」

2023-09-10 14:01:00 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、紀ノ川流域で栽培が盛んな「ぶどう」の歴史を取り上げた。県内では少なくとも20種類が栽培。今週は「デラウェア」を紹介したい。


【写真】小粒の実が特徴の「デラウェア」

デラウェアは種なしぶどうの定番として、古くから親しまれる品種。
1房あたりの重さは150g程度。実は小粒でありながら、甘さが強く、適度な酸味があり、香りもよい。

元々は種ができる品種であるが、ジベレリンというホルモン剤に房を浸けることで、種ができないよう処理されている。

原産はアメリカ。自然交雑種とされ1855年にオハイオ州デラウェアで発表されたことから、この名が付いた。日本には1872年に入ってきたとされる。

巨峰などの高級なぶどうと比べ、手頃な価格で購入できることから、庶民に親しまれてきた品種であるが、現在は様々な種類の大粒種が出回るようになり生産量が減少。40年間で半減したという統計値もある。

主な生産地は、第1位が山形県(904ha)、第2位が山梨県(341ha)、第3位が大阪府(267ha)となっている(平成30年度農水省統計)。
大阪府内では柏原市、交野市、枚方市などで盛んに栽培。デラウェアが日本に入って間もない1884年から本格的に栽培が行われ、出荷以外の収入源として、近隣の農家が集団で「観光ぶどう狩り」に取り組むなど、観光農業の先駆けとしても知られる。
露地物は7月下旬から9月下旬まで収穫できる。

デラウェアには、目の疲れに効果があるとされるポリフェノールの一種「アントシアニン」や、がんの抑制作用が期待される「レスベラトロール」が含まれ、皮ごと食べることでその効果が得られるという。

健康維持や増進にも役立つデラウェア。大粒種が多く出回る中ではあるが、昔懐かしい味わいを楽しんでほしい。

(次田尚弘/和歌山市)
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様々な品種が店頭を彩る 紀ノ川流域で栽培盛んな「ぶどう」

2023-09-03 17:18:18 | WAKAYAMA NEWS HARBOR
前号では、地域の伝統野菜として知られる、メロン変種の「マクワウリ」の歴史と味わいについて取り上げた。
9月に入り、旬の真っ只中であるのが「ぶどう」。今週は、ぶどうの歴史を紹介したい。


【写真】県内で収穫された「ぶどう」

ぶどうの原産地は中近東で、古代ヨーロッパや中国に伝わったとされる。歴史は古く、紀元前3000年頃にはカスピ海沿岸などで栽培が始まっていたという。
日本では奈良時代に中国から伝来。ヨーロッパブドウが鎌倉時代初期から現在の山梨県甲州市で栽培され、やがてこの地域の特産品となった。

その後、周辺地域や関西に広がり、明治に入ると欧米から新たな品種が多数栽培されるように。
しかし、乾燥を好むヨーロッパブドウのほとんどが日本の気候に馴染めず、栽培は困難を極めた。
一方でアメリカブドウは日本でも栽培が可能で、「デラウェア」や「キャンベル・アーリー」などの品種が普及。匂いがきついことからワインには適さず、主に生食用として親しまれるようになった。

県内では主に、和歌山市、橋本市、かつらぎ町、有田川町で栽培。紀ノ川の流域は土壌が豊かで、保水性と排水性のバランスがよく、降水量は比較的少なめで、昼夜の気温の高低差が大きいという特徴がある。
水はけが良く、降水量が少なく、一日の気温差が大きい土地を好むブドウにとって、この地域は栽培地として適している。

近年、品種が増え、県内では少なくとも20種類が栽培されているといわれる。この時期、産直市場などでは様々なブドウを見かけ、2006年に品種登録された、人気のシャインマスカットもある。

栽培地の気候や農家の栽培法により、味わいが大きく変わるぶどう。県内で収穫される数々の品種を紹介していきたい。

(次田尚弘/和歌山市)
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