日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 左弘行 Hiroyuki Wakizashi

2016-05-02 | 脇差
脇差 左弘行


脇差 左弘行

 弘行極めの大磨上無銘。この弘行も左文字の孫弟子に当たる位置付け。刃長一尺五寸九分。南北朝中期という時代にはこの寸法の鎬造脇差はない。寸法から、古刀の名品を大小で揃えたいと願った高位の武家が、古作を磨り上げるという大胆な行為で脇差を造り出したもの。実はこのような例は間々ある。贅沢な所業だ。さて、南北朝中期の大太刀を磨り上げた姿形が顕著なこの作は柾目肌が強く、左の一門にもこのような出来があるのかと、改めて見直してしまう。刃文は穏やかで小模様な互の目を交えた直刃。左一門の特徴である揺れて返るという帽子がポイントのようだ。