日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 和泉守兼定(之定) Kanesada Wakizahi

2016-05-20 | 脇差
脇差 和泉守兼定(之定)


脇差 和泉守兼定(之定)

 薙刀を脇差に仕立て直したもの。刃長一尺五寸強、反り三分半。斬れ味優れた武器であり、さぞや戦場では活躍したであろう。刀身に「人間無骨」の文字彫刻があり、この薙刀を一振りされたら抗い得るものなどなかろう、必ず胴体と首が・・・離れる。元来は、さらに三寸ほど長い一尺八、九寸。大薙刀の部類だ。物打から先反りが矯正されてはいるが、物打辺りが張った様子はそのまま残っている。江戸時代には大小の小とされていたに違いない。地鉄は流れ肌を交えた小板目鍛えで、良く詰んでいる。美濃刀工の中には、新刀の地鉄を見るように切鑢に詰んだ小板目肌があり、兼定の地鉄にそのような例がある。この脇差は平地に板目が顕著に現れ、刃寄り柾調となって古風。映りが起ち、匂口の締まった穏やかな尖り調子の互の目が焼かれている。刃中は砂流し、沸筋が流れ、これが物打から鋒に掛けて顕著。綺麗な地鉄に凄みのある焼刃が魅力と言って良いのだろうか、使うことに徹した武器としての迫力がある。