日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 兼元(孫六) Kanemoto

2016-05-21 | 
刀 兼元(孫六)


刀 兼元(孫六)

 之定に並んで知名度の高い孫六兼元の、磨り上げながら孫六らしい造り込みの出来。二寸ほどの磨り上げで、現在は二尺七分、元来は二尺二寸半ほどの扱い易い寸法。身幅広く先幅広く、大鋒、反り六分、重ね薄く刃先鋭く仕立てて刃の通り抜けを高め、鎬をわずかに立てて横からの衝撃に持耐えられるよう工夫をしている。柾目調に流れた板目鍛えの地鉄は、肌目強く起ってざんぐりとし、関映りも顕著に全面を白っぽくみせた、実用の武器ならではの覇気に富んだ地相。最上大業物の凄みが感じられる。刃文は匂出来の互の目乱れの焼頭が尖った態で、良く言われるような三本杉ではない。三本杉の顕著な作は後の代の兼元に多い。匂口の締まった焼刃は、所々に小沸を付けて出入りが高低し、刃中には淡い匂足が射し、刃縁を金線を伴った沸筋が流れる。帽子の浅く乱れ込んで先が乱れて返る様子は何となく地蔵風にも見えるが、相州伝の影響であろうか沸強く掃き掛けて返っている。