日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 元喜 Motoyoshi Katana

2016-09-12 | 
刀 佐渡守國富元喜


刀 佐渡守國富元喜

 江戸前期明暦頃の長門国の刀工。あまり聞いたことがない刀工だが、このような激しい相州伝の作品を遺している。身幅たっぷりとし、重ねは尋常、反りを控えている。板目の流れた地鉄に地沸が付いてざんぐりと肌立ち、地景が目立つ。小沸主調の互の目に湾れを複合した刃文は、刃境が和紙を引き裂いたように沸ほつれが掛かり、淡い匂を伴って刃中に広がり、砂流し、沸筋、金線、小足の他、島刃状に沸の凝る風を見せている。帽子は表が小丸返り、裏は沸筋を伴って掃き掛けて返る。刃文構成から相州古作を狙ったことが分かる。沸粒が揃っており、叢なく綺麗で、その流れるような景色がいい。