刀 大慶直胤
刀 大慶直胤
二尺三寸三分。総体がおおらかで、地造りもたっぷりとしており、直胤らしい刀。地鉄はこれも良く詰んだ小板目肌に見えるが、実は板目、杢目が潜んでいる。焼刃にその片鱗が顔を出し、渦巻き、ほつれ、砂流し、沸筋となって表れている。これらの働きはすべて鍛え肌を基礎とするもの。焼刃は沸が主体で匂が伴い、明るく冴え冴えとして刃先まで広がる。帽子も調子を同じくしてほつれ掛かり、浅く乱れて先掃き掛けて返る。天保六年の作。先に紹介した脇差とは大小で誂えられたものであろう。直胤には古作に紛れる映りの立った備前伝があり、またこのように地中に沸の景色が窺える相州伝がある。好き嫌いは別にして、いずれも高い技術が備わってのものである。当時の人気のほどが理解できよう。
刀 大慶直胤
二尺三寸三分。総体がおおらかで、地造りもたっぷりとしており、直胤らしい刀。地鉄はこれも良く詰んだ小板目肌に見えるが、実は板目、杢目が潜んでいる。焼刃にその片鱗が顔を出し、渦巻き、ほつれ、砂流し、沸筋となって表れている。これらの働きはすべて鍛え肌を基礎とするもの。焼刃は沸が主体で匂が伴い、明るく冴え冴えとして刃先まで広がる。帽子も調子を同じくしてほつれ掛かり、浅く乱れて先掃き掛けて返る。天保六年の作。先に紹介した脇差とは大小で誂えられたものであろう。直胤には古作に紛れる映りの立った備前伝があり、またこのように地中に沸の景色が窺える相州伝がある。好き嫌いは別にして、いずれも高い技術が備わってのものである。当時の人気のほどが理解できよう。