日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 大慶直胤 Naotane Katana

2016-10-07 | その他
刀 大慶直胤


刀 大慶直胤

 二尺三寸三分。総体がおおらかで、地造りもたっぷりとしており、直胤らしい刀。地鉄はこれも良く詰んだ小板目肌に見えるが、実は板目、杢目が潜んでいる。焼刃にその片鱗が顔を出し、渦巻き、ほつれ、砂流し、沸筋となって表れている。これらの働きはすべて鍛え肌を基礎とするもの。焼刃は沸が主体で匂が伴い、明るく冴え冴えとして刃先まで広がる。帽子も調子を同じくしてほつれ掛かり、浅く乱れて先掃き掛けて返る。天保六年の作。先に紹介した脇差とは大小で誂えられたものであろう。直胤には古作に紛れる映りの立った備前伝があり、またこのように地中に沸の景色が窺える相州伝がある。好き嫌いは別にして、いずれも高い技術が備わってのものである。当時の人気のほどが理解できよう。