日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

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短刀 肥後大掾貞國 Sadakuni Wakizashi

2016-10-27 | 短刀
短刀 肥後大掾貞國


短刀 肥後大掾貞國

 貞國は、越前康継と近しい関係にあった刀工の一人。慶長年紀の作が現存することによって活躍期が判明しているが、作刀を始めた年代はもっと古くからであり、康継に先行する古刀期に主に活躍していた刀工というべきであろう。造り込みが片切刃で、表裏の樋も形状を異にし、武骨さと繊細さが同居した作。地鉄は一見して詰んだ小板目状だが、その中に杢を交えた板目肌が良く詰んで交じっており、それが流れるように刀身全体に及んでいる。刃文は小沸に匂の複合になる湾れ主張に互の目交じりで、相州振りを鮮明にしている。刃縁には細かな沸がほつれとなって掃き掛け、互の目の一部は尖り調子に地に突き入っている。本作を見ても、高い技術を備えていたことが良く判る。