いろはにぴあの(Ver.3)

ピアノを趣味で弾いています。なかなか進歩しませんが少しでもうまくなりたいと思っています。ときどき小さな絵を描きます。

いにしえの演奏家たち その1 イグナツ・フリードマンとウィリアム・カペル

2013年07月27日 | ピアノ・音楽

 いにしえの演奏家の演奏を聴くのが楽しくなっている今日この頃。1945年前後の演奏というとまさに第二次世界大戦前後、想像もつかないぐらい大変な時代だったはず。しかしそのような時代にも、古さを全く感じさせない、目の覚めるような演奏がたくさんなされていました。そんな演奏で以前から個人的に大好きな演奏の一つがポーランドのピアニスト、イグナツ・フリードマン(Ignaz Friedman 1882年– 1948年)によるショパンのノクターンOp.55-2。ショパン晩年の美しい作品を、フリードマンははっと目の覚めるような澄み切った演奏を聴かせてくれています。なんと1936年の演奏です。この演奏を初めて聴いた時にはこんなに素敵な演奏がそんなに昔になされたということ自体が信じられないような思いでした。こちらのCD(オーパス蔵で出ていましたが残念ながら廃盤になっていたようです)で何度も聴きました。同じCDに入っていたマズルカもとても素敵です。

 有難いことにOp.55-2の動画があったので、こちらに貼り付けます。


 フリードマンの演奏をきっかけにOp.55-2が好きになって数年後のつい先日、twitterである方がスカルラッティの動画として紹介されていた動画が目につき、ちょっと開いてみました。ウィリアム・カペル(William Kapell  1922年- 1953年)というピアニスト、名前も何も知りませんでしたが、とにかく聴いてみようと思って開いてみました。そうしたら、涼やかなスカルラッティK.380(29秒から)聴こえてきました。晩年である1953年の演奏ですがまったく古さを感じさせない洒落た演奏でびっくり。そしてさらにびっくりしたのは、その次(3分32秒から)あのノクターンOp.55-2が登場したこと!しかも、深みのある歌心あふれた演奏。なんと愛しむべき演奏なのでしょう。Op.55-2のマイベストはフリードマンだと思い込んでいたのですが、カペルのこの演奏、私から見たらフリードマンへの強力な殴り込み演奏でもありました。。。ちなみにその後のエミリオ・ナポリターノという方がピアノ用に編曲した「Gato(猫)」というアルゼンチンのフォークソングも素敵です。

 ちなみに本人の演奏姿が映った動画はyoutubeでは今のところこの動画しかないようです。

 この動画をきっかけにウィリアム・カペルというピアニストに興味を持ち始めたのですが、どうもこのカペル氏、アメリカ生まれのアメリカ育ちであり、第2次世界大戦終焉後世代における最も有望なアメリカ人ピアニストとまで称されるすごい方だったようです。まことに残念なことに、飛行機事故に遭い早世してしまいました。もし、彼が早世しなかったら、ピア二ストのr歴史も大幅な変化があっただろうと思える存在でした。(詳しい紹介がなされているサイトがありましたのでリンクしておきます(ウィリアム・カペル ~ホロヴィッツを超えて~)。

 ハチャトゥリアンのピアノ協奏曲の独奏者として抜擢されたカペル氏はこの曲の演奏を得意とし、第二次世界大戦中もソビエト連邦への連帯を示すために演奏し、この曲の普及に努めたといいます。カペルの演奏で初めてこの曲 (youtubeにもありますm(__)m)を聴いたのですが、バリバリとした見事な演奏でした。まだ一度しか聴いておらず、ちゃんとつかみ切れていないのですが、歴史的に有名な演奏だそうです。

 私が個人的にまだ聴きなれている曲目であるバッハのパルティータ第4番、ショパンのピアノソナタ、ラフマニノフも素晴らしいです。そしてショパンのマズルカ!これがまた素敵なのです。晩年の名曲Op.67-4です。

 

 最後に大好きな幻想ポロネーズの動画も貼り付けます。後で気付いたのですが、カペルによる幻想ポロネーズの演奏、彼自身についての知識も何もない段階からかなり気に入っていたみたいで、お気に入りに前から入れていたことに後で気づきました。

 

 ちなみにカペルの演奏を集めた全集のCDが最近お得な価格で出たようです。動画音源を貼り付けてばかりでずるい、という声がちらほらと聴こえてきたような気が。お金と手間をかけてLPを聴いた方たちもたくさんいらっしゃるようです。というわけで、私も有難味を感じながら、いずれはちゃんと全集も聴きたいものだ、と思っている昨今です。

 

PS)ホロヴィッツについての記載については誤りがありました。申し訳ございません。削除いたしました。