いろはにぴあの(Ver.3)

ピアノを趣味で弾いています。なかなか進歩しませんが少しでもうまくなりたいと思っています。ときどき小さな絵を描きます。

コンサートに行ってきました 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団と

2012年02月11日 | ピアノ・音楽

 昨日、 ピアノ界のアラゴルンとオーケストラの饗宴に行ってきました。ピアノ界のアラゴルンとは、フランク・ブラレイさん。勝手にあだ名をつけていますが、なんとなく似てらっしゃいませんか?。ある番組でブラレイ氏がシューベルトなどを弾いているのを聴き、なんと細やかで洒落たピアノを弾く人なんだろう、という印象を持ち、いつか生演奏を聴いてみたいと思っていました。その矢先に、ちょこちょこお世話になっているピアノ界の某組織のプレゼントコーナーに彼の登場するコンサートがあるということで申し込んだところ、当選しました。仰天したものの、非常にうれしくありがたかったです。実は曲についての予備知識はほとんどなかったのですが、折角の貴重な縁だということで友人と行くことにしました。会場はオ〇ラシ〇ィ。周辺はよく通っているものの、中に入るのははじめて。わくわくしながら異次元の世界へと足を運びました。 

 プログラムは以下の通りです。

 東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団 第256回 定期演奏会 

 指揮:矢崎彦太郎 ピアノ:フランク・ブラレイ コンサートマスター:戸澤哲夫

サミュエル・バーバー作曲 管弦楽のためのエッセイ 第2番 作品17

ジョージ・ガーシュイン作曲 ピアノ協奏曲 へ調 

フランク・ブラレイ氏によるピアノのアンコール プレリュード第2巻より 風変わりなラヴィーヌ将軍

 休憩

イーゴル・ストラヴィンスキー作曲 バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)

 

 天井が高く豪華なオ〇ラシ〇ィの会場。大きなホールの座席はステージ側にもあったりするのですが、今回がまさにそれに近い状態でした。席はなんと2階前方左側で、オケが真下に見えるというすごいところでした。客でありながら舞台の方たちの様子もしっかりと見ることができました。バスクラリネットやコントラファゴットが間近に見れたのがうれしかったです。友人は体を乗り出して一生懸命みていました。

 始まりました。バーバーの管弦楽のためのエッセイ第2番、フルートの美しい旋律で始まり、かっこいいフーガ(実は戦闘場面のようです)が登場し、多くの楽器があわさって壮大な雰囲気で終わりました。打楽器や管楽器が華なしくモダンな感じのオケ曲で、映画音楽にもぴったりのような気がしました。一度ですっと理解できたかというと、心もとないのですが、ひたすらかっこよかったというのは事実。

 ガーシュインのピアノ協奏曲へ調。4楽章からなる曲でした。ラプソディ・イン・ブルーのようなイメージを期待していましたが、その期待をまったくうらぎらない素敵な曲+演奏でした。この曲からフランク・ブラレイ氏が登場しました。お写真の通りアラゴルンのような風貌で登場し、非常に美しい音色で、ごきげんでのびやかな演奏を披露してくれました。ジャジーな要素がかなり含まれており、山のようなシンコペーションやグリッサンド、華やかな和音があふれんばかりに登場。しかしブラレイさんは全くの余裕。ピアノと戯れながら、指揮者の矢崎さんやオーケストラの団員ひとりひとりと楽しく対話していました。彼にとって舞台は茶の間のような空間だったのでは、と思えそうに。動きもよく見えるところで、手の平を返したり腕を瞬間的に回したりという独特の動きも見れられ、それがパフォーマンスなのか音量を出すために必要とした動きだったのかどちらだったのだろう、とも思いましたが、そのようなパフォーマンスも絵になっており、しかも音楽も見事なもので、ただただため息。音の響きもリズム感も抜群でした。ピアノは打楽器でもあったのだと改めて認識。和音も大切ですが、拍感も大切だなああらためて認識。

 その後ブラレイ氏によるアンコールで、ドビュッシーのプレリュードより風変わりなラヴィーヌ将軍が演奏されました。演奏前の解説では、ドビュッシーのこの曲はアメリカのジャズへとつながるきっかけの一つにもなっているのでは、と言われていました。独特な和音やリズム感、かなりジャジーです。とても表情豊かで軽やかに演奏していたのですが、その裏には、卓越した身体能力とともに、感性一つ一つの音やフレーズの緻密な計算があるのでは、と感じました。本当に、素敵でした。

 休憩後はストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」。このときはピアノはオケの他の楽器とともに、指揮者のほうに向く配置になっていました。他の楽器とともに、オケの一団員として、バレエ音楽に参加するという姿勢が伝わってきて、興味深かったです。4部からなるこの音楽、人形使いの手品によって、命を吹き込まれた人形たち、その中の一人、人形使いに足蹴にされ道化役になったペトルーシュカは、吹き込まれてしまった人間的感情に苦しみました。他に命を吹き込まれたバレリーナに恋したり、バレリーナに誘われて仲良く踊っていた豪奢なみなりのムーア人に嫉妬したり。。。と。そういうストーリーも興味深かったのですが、音楽の流れが非常に速く、華やかだったと思ったら一気に奈落の底へ突き落されたり、かと思ったらかわいらしくなったり急に激しくなったり、と、34分まったく飽きることがなく聴くことができました。踊りがたくさん登場し、ガーシュインと同じく躍動するリズムをオケとともに感じ取ることができ、一緒に体を動かしたくなるような場面が多かったとともに、楽器の可能性もかなり引き出されていたような気がします。私が書くのもおかしいのですが、弦楽器の人も管楽器の人も打楽器の人も、うまいなあと思いました。とくにトリルにトレモロ!打楽器と管楽器のトリルとトレモロによって演奏の色付けがかなりされていたような気がします。不協和音、かすれる音、ずれまくっているような音程の音、騒音ともいえそうなただただ騒々しい音、楽音なのか一瞬分からないように思えた音もたくさんありました。相当複雑な楽譜なのでしょうね。自由でのびやかな遊び心を感じ、しっかり楽しませてもらいました。それからピアノ!オケの音が大きく、残念ながら全部はしっかり聴こえなかったのですが、有名なダンスのところは見事な演奏を聴かせてくれました。ロシア系の音楽と言えば、真っ先にラフマニノフ、チャイコフスキーのような(とはいえども彼らにもいろいろな曲がありますが)、壮大で重厚なロマン派のイメージが浮かんでおり、そのなかでも一部のイメージが大きく占めていたのですが、そのように単純化してしまってはいけない、もっといろいろな曲を知り演奏を聴かなくては、と感じました。(ちなみにペトルーシュカはその後、ストラヴィンスキーによってピアノ独奏曲にも編曲されているようです。ブラレイ氏のソロがあったらぜひ聴いてみたいものです。)

 今回の演奏会、クラシックとジャズのかけはしとなったような曲が集まっていて、演奏形態もはじめてみるものが多く、非常に刺激的でした。ブラレイ氏もかっこよく、オケもブラレイ氏も素晴らしい演奏でした。そしてなんといっても楽しかったです!友人もとても喜んでくれました。残念ながらブラレイ氏のCD販売やサイン会はありませんでしたがそれはまたの機会にです。


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