佐久良城

2014年03月23日 | 滋賀百城

 

  中世「奥津保・奥津野・奥野保・奥津野保・奥野」な
た日野町北東部は、南北朝時代までは、儀俄(蒲生)
支流、佐久良氏が支配していたと考えられている。そ
は、至徳二年(1358)12月19日付の文書に、
儀俄
左京亮氏秀が「奥野保勘定使載・押領使職・同預所
載」
として数代にわたり統治している事が記されている
書状
からもうかがい知ることが出来る。その後、南北朝
時代
が終わる頃を境に、儀俄氏に代わって小倉氏がこの
を支配したと考えられるが、その原因については記録
残っていない為に正確なことはわからない。小倉氏に
ついては、『淡海温故録』の他、『蒲生郡志』七愛知

志』などにそれぞれ系図が記載されるものの、多くの

違点が見られ不明な点が多く、文書等の資料につい
ても
小倉実澄の事跡やその二代後の蒲生氏から養子として迎
えた実隆に関するものが断片的に伝わっているのみであ
る。


 その実隆も永禄七年(1564)3月16日、小倉右
京太夫との合戦で討死しており、5月1日に佐久良を舞
台とした合戦を最後に領主としての小倉氏の動向は不明
である。
 佐久良城については、『蒲生郡志』が「東桜谷村大字
左久良山上にあり小貪官澄の居城なり。左久良山は大字
左久良の東より北に連亘す。北端の山―ににあるを下の
城山といひ 東峯に在るを上の城山と称す。両趾共周囲
を高く囲み 中央は凹みたる平地なり……下の城山は不
等辺方形にして、東と南は18間 西は21間 北は2
6間あり。東北方の谷に近く池あり,御馬冷ましといふ、
此の両城は応仁文明の乱時、文武兼備の良将たりし小倉
賓澄が拠りし所、時には京都五山の禅憎が山トにの識蘆
庵より来遊して、茶を品し酒を酌みし史蹟なり。」と記
している他、享保年間に刊行された『淡海温故録附巻 
古城之図』に「蒲生郡奥津保佐久良ノ郷公文所古城之図
小倉居城本丸廻り七十三間内郭東西二十三間 南北十八
間 城ノ北ノ下二清泉アリ御馬冷ト号ス 公文佐久良刑
部太夫卜部実長代々居之 至徳年中 公文佐久良治部太
夫康照代再興之 下司職小倉進士源景真始被補任之 文
明年中下司小倉三郎実方一男 同左近将監実澄一男 同
兵庫介実則 同三河守実隆也」と城郭の規模や佐久良氏
から小倉氏まで歴代の城主について記すとともに、絵図
を掲載している。その絵図には、「上の城山」と称され
山上に「本丸・二九」と記され石垣が巡る長寸城に対し
て、その尾根続きである「下の城山」と称される丘陵上
に土塁が巡る佐久良城が「小倉三河守居城下司館」とし
て描かれている。


 この絵図を見ると、「長寸城(上の城山)」が本城で、
「佐久良城(下の城山)」が単なる館か別郭であるかの
ような印象を受けるが、遺構の規模や内容を比較検討す
ると、実際はまったく逆であることがわかる。
 確かに長寸城には石積みが見られるが極めて部分的で、
曲輪の削平も甘く、とうてい絵図に描かれたような総石
垣の城郭と言えるものではない。一方、佐久良城は、主
郭の周囲を土塁で囲む他、深さ約11メートルの堀切、
竪堀群などを備えており絵図のような簡易な城郭ではな
いことからみても、絵図は何らかの意図で誇張されてい
ることがわかる。



 また、この二つの城郭は同じ尾根続きに位置するもの
の、その間隔は約1キロと離れており、連絡する尾根上
に城郭関連遺構と考えられるものは確認されていないこ
とからも、伝承されているような居館と詰城といった関
係ではないと考えられる。
 遺構は、比高約50メートルの丘陵上に東西約250
メートル、南北約160メートルの範囲で残 主郭は丘
陵西端部に東西約54メートル、南北約45メートルの
方形に近い平面プランで、周囲を高さ4メートル前後の
土塁で取り囲んでいる。また、主郭北東隅には庭園遺構
と伝えられる窪地が見られる。虎口は、東西中央に開口
しており、大手と伝えられる東側の虎口は、幅約20メ
ートル、深さ約11メートルの堀切を横切る土橋で東側
の馬出状の小曲輪へと接続している。現在この小曲輪か
ら土橋へは斜めに散策道が設定されているが、もとはク
ランク状に析れて土橋に至る遺であったことが観察出来
る。
 この虎口から土橋にかけては縁辺で石積みが見られ、
特に虎口から続く南側の土塁内壁や、堀切東面では数段
積み上げられている様子が確認できる。
 小曲輪から東に続く尾根上には二本の堀切が設けられ
ており、さらにこの堀切が設けられた区域の南北斜面に
は、数条の竪堀が堀られている。南面の竪堀群から西側
には帯郭が設けられ、さらに主郭の周囲は四面から北面
にかけて、堀切と竪堀、横堀状遺構を使用して防御ライ
ンを設定している。      

 出典:

   

 

【エピソード】 

 

  

 

【脚注及びリンク】    

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1. 戦国山城を歩く 小倉実澄が拠った佐久良城, 2013.04.13 
2. 近江 佐久良城 
3. こころに残る風景 佐久良城,滋賀県
4. 佐久良古墳
5. 
滋賀県管内蒲生郡志     
6. 淡海温故録   
7.江のふるさと滋賀 鍋
  
8. 武家家伝 小倉氏  

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