鯖のなれ鮨

2014年03月27日 | 滋賀グルメ紀

 

 

 

若狭から京都まで大量の塩さばが運ばれたことから名づ
けられた鯖街道。その朽木村の伝統料理は、塩さばをつ
かった鯖のなれずし。鯖のなれずしは、乳酸菌の塊で、
日本のチーズと呼ばれている。山椒とトチの葉で雑菌を
シャットアウトして半年~2年寝かせてつくる。その製
法はその土地で微妙にことなるが、「鯖のなれずし」は、
小浜市の沿岸部にある内外海地区に伝わる郷土料理で、
同地区の冬場、特に正月には欠かせない逸品。なれずし
は、主として魚介類を塩と米飯を混ぜて乳酸発酵させ
た保存食品であり、若狭の鯖以外にも全国各地それぞれ
の特色がある。若狭小浜の鯖のなれずしは、脂ののった
春鯖を一旦塩漬けしてから糠漬けし、約1年間熟成させ
てできた「へしこ」をさらに一晩塩抜きして皮を剥ぎ、
腹の中にご飯と糀を詰めて、10~14日樽に漬け込み完成
させている。小浜市のそれは、発酵食品特有の甘みと旨
みがあり、高級なチーズのような香りがするが、そのま
ま食べてもよいが、焼いて食べるとまた違った風味が楽
しめる。近年は、作り手の高齢化もあり、なれずしをつ
くる家庭が減少していることから、平成18(2006)年12
月21日、国際スローフード協会主催の、食の世界遺産と
いわれる「味の箱舟」に北陸では初めて認定されている。

 


これに対し高島市朽木村のなれずし(名人上田正・妙子
夫妻
の家庭)は、お腹ががぺちゃんこの夏鯖を使う。さ
ばの脂が少
ない時期、卵を産んだあとで脂も少なく痩せ
細った夏の鯖は乳酸菌の働きを助ける。(1)
発酵中に
腐らないようごはん全体に塩を利かせる。(2)そして、鯖のお
腹おなか詰め込みやすいようごはんをだんご状に丸める。
の量、1匹につき1合。(3)ごはんをさばに詰め、
地元で採れ
た山椒の葉をしいたおけに並べる。山椒の葉
がごはんの腐敗を防ぎなれずしの長期発酵を可能にする。
(4)
漬け込みが終わったら専用の発酵小屋へおけを移
し2年間置く(
発酵環境を一定にしておかないと発酵菌
がうまく働かない)。






上写真は、乳酸菌で身がとろとろに分解されたもの。こ
れぞ発酵がうまくいった証し。食べる前に冷凍庫で凍ら
せる
ことで、型くずさせずきれいに切り分けることがで
きる。しばら
く常温に置きほんのり冷たさが残るくらい
が食べ頃。一番のお勧めは鯖の
頭。丼に移した頭にお湯を
注ぎかき混ぜて食す。ここは鮒寿司と同じだが糀はつかって
いない。なれずしのうまみ、酸味、塩けが、渾然一体となった
発酵スープに変身する。滋賀近江の国はなれ鮨の宝庫であ
る。
 

【エピソード】  

 

 

【脚注及びリンク】     

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1. 若狭鯖街道熊川宿
2. 鯖街道、Wikipedia 
3. 若狭街道・鯖街道|街道歩きの旅 鯖街道
4. ぶらりいい町|鯖街道・朽木村
5. 若狭春鯖のなれずし、北大路魯山人

6. 若鯖のなれずし|北陸の郷土食 知られざる北陸の食 
7. 若うどきネットワーク「発酵漫遊記」の中から4つの
 発酵食品を再度紹介する。 2014.03.25
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