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❹ 地域全体のビオトープ化
ビオトープの輪を地域へ広げることにより、生
きものの種類や個体数が増え、生態系ピラミッ
ドの裾野が広がる。このことはヒトにとっても
蚊やハチなどの不快生物も減少することを意味
する。さらに、環境づくりや自然観察会などを
通じ、地域のコミュニケーションが深まり、生
きるための技を子ども達に伝える環境学科にも
貢献する。「③誰でもどこでもビオトープ=自
然再生を!」で示した提案は、個人の土地や建
物のほか、都市公園をはじめ小中学校や公民館、
病院、市町村役場などの公共施設に対しても同
じように対応できる。国や都道府県が管理する
河川には、多自然型川づくりとその運営を積極
的に働きかけることも提案される。わが家にく
わえて、身の回りにすばらしい自然環境を取り
戻し、次代へ残していくためには、個人から地
方自治体、国が管理する河川など、地域全体を
ビオトープ化することが主要である。公共空間
を個人1人でビオトープ化し維持することは、
労力的にも、経済的にも困難である。地域の仲
間を募り、管理者との協議を縦続し地域に愛さ
れる自然環境を修復していくことが大切である
(養父志乃夫著『ビオトープづくり実践帳』)。
【注釈】
「ビオトープの輪を地域へ広げる」→「・・・」
→「蚊やハチなどの不快生物も減少することを
意味する」。何か裏付けデータでもあるのだろ
うか。地域に広げるて、不快生物の大量発生し
た場合、殺虫剤でも使うのか。使うとしてそれ
は「化学合成物」がだめで「天然物質の抽出物」
なのかの議論になるというのだろうか?
Ⅱ ビオトープの基本
❶ 野生の生き物を呼び戻す方法
(1)「食う。食われるJ関係=自物連韻で成り
立つ生物のつながりを大切にする
地球上には、私たちが行日お世話になっている
経済の北のほかに、水と上、大気を基礎として
動植物同士の「食う 食われる」という関係=食
物運鎖から成り立つ生態系の性がある。健全な
大気と水、食料を入手し、豊かな人間社会を持
続的に維持するために、この掟を守る必要があ
る。生態系は、動植物を中心とした食物連鎖を
もとに成立する。土には落葉落枝や動植物遺体
を分解し、養分に還元する土壌生物が生息する。
森林や草地の植物を生産者と呼び、土壌生物が
作った養分と太陽のエネルギー、水、二酸化炭
素を使い、植物体である炭水化物に加え酸素、
水を生産する。生産者が作る酸素は、全生物の
呼吸に不可欠である。生産者の植物体を食べる
ことで多数のバッタやチョウ、ノウサギ、シカ
などの草食生物が生活できる(一次消費者)。こ
れらを餌ににカマキリやトンボ、アシナガバチ
などの肉食生物が生活する(二次消費者)。一次
消費者や二次消費者を食べ、カワセミやツグミ
などの鳥類が生活できる。さらに鳥類や小型野
生獣を捕食するタカやキツネなどの肉食鳥獣が
生存でき、ビラミッドの頂点に位置づけられる
(高次消費者)。土壌基盤を土台に生産者や一次
消費者の個体数、現存量、種類が多いほど、ビ
ラミッドの祈野が広く、そこで養いうる動植物
の現存量、種類が多くなる。
【注釈】
「動植物の種類の増加→やがて均衡→人間にと
って快適環境」という仮説と「動植物の種類の
増加→やがて均衡→人間にとって不快環境」と
いう仮説の違いは何かという命題が残る。
(2)ビオトープネットワークによる生物の自然定着
森林や草地、水域を含む広大な緑地、例えば東
京都心では皇居の自然環境などのようにすでに
多様性に富む動植物が安定して生息する緑地を
拠点ビオトーブと呼ぶ。もちろん白神山地や釧
路湿原などのような多様な生態系を育む緑地も
拠点ビオトープである。再生したビオトープに
棲みつく生物は、拠点ビオトープを基点に地域
のビオトープネットワークによって自然定着す
る種群による。ネットワークは生物が移動する
ための「道(回廊)」になる樹林や草地、溜地群、
河川、街路樹、庭や外構の植栽などの緑地を指
す。飛び石状に点在するものから連続している
ものまで形態は様々である。生物の種群によっ
て求める「道」の環境構造が異なることが多い。
地域の小川などに生息するメダカなどの魚類や
タニシなどの貝類などは、水系に大きな段差な
くビオトーブと小川がネットワークしていない
と自然定着できない。これらは、人為的に導入
するほかなく、採取する範囲は、地域の環境に
適した個体群が生息する同じ流域に限定する。
採取する個体数は自生地の個体群にダメージを
与えない範囲とする。
❷ 仲間づくりと活動場所の探し方
(1)仲間作りに適した既設の活動組織
インターネットのホームベージや地元市町村な
どの広報誌、里山保全や田んぼの学校などの書
籍を探し活動情報が得られたら、連絡を取って
行事やイベントに参加してみよう。市民参加に
よる里山づくりが行われている。まずは、既設
の活動場所を深し、そこをベースとして仲問づ
くりをしながら新たな活動場所を深すのが無難
である。活動の具体例や組織の運営方法などは、
進士五十人ほか編著(2000)「生き物緑地活動 を
はじめよう一環境NPOマネジメント入門― (風土
社)」などを参照のこと。
❸ 生きものの生息環境と見分け方
動植物の生息環境を計画し、設計、施工するた
めには、主な種の生活環や選択する環境条件を
把握しておく必要がある。動植物には、シオカ
ラトンボのように幅広い環境条件に生息できる
ものから、ハッチョウトンボなどのように限ら
れ条件にしか生息できない種があり、種類毎に
選択性に幅があることを理解しておく。また、
形成したビオトープに何が定着したかを確認す
るためには、主な種を見分ける力が要求される。
この同定作業では、専門家への問い合わせはも
ちろんのこと市販の入門書的な図鑑にある写真
や絵を参考に実物との照合を繰り返し、解説記
事との整合性を確かめ慣れることが大切である。
(1)生息環境
生息環境が在や属などで異なるのは、生物が互
いに強い競合を避けるため住み分けしていると
も理解される。同じチョウでも種や属毎に幼虫
の食樹や成虫が花蜜を得る際に選択する花色が
異なることが多い。
野鳥の見分け方
形態、鳴き声やしぐさ、習性、生息環境が見分
ける時のポイント。セキレイは水辺や裸地など
地上で採競することが多い。メジロやヒヨドリ
は茎葉の虫、果汁や花密にも餌にするコケラは
立木の幹上をつたい樹皮裏や材中の虫などを餌
にする。
(2)見分け方
図鑑は、普通、植物では開花個体、生物では成
体の絵や写真を掲載する。これでは花のない時
期や小幼虫の同定には不都合。同種でも色彩や
形態に一定幅がある。同属生物ではよく似て見
分けにくい種も数多い。このため次の①~④が
参考になる。
①最初は給本を活用しよう。
②学術図鑑は、専門用話で解説し検索よる形態
分類が中心である。用語の理解にも時間を要
し、初心者が見分け方を習得するには不向き。
子ども向けの科学絵本は、見分けるポイント
を平易で的確に表示し初心者にもわかりやすい。
③しぐさの違いから
類似した同属生物は、ミルンヤンマやヨシボ
ソヤンマのように後者が擬死する性質を持つ
こと、隠れる際にオンプパッタ幼虫は草本の
葉裏を使い、やや細身のショウリョウバッタ
は直立した草本に掴まることなどが同定ポイ
ントになる。
③すみかの環境から
類似した形態を持つ同属生物では、シオカラ
トンポは明るく、オオンオカラトンボはやや
日陰のある環境を選択する。成虫や幼虫の生
息環境が同定のポイントになることが多い。
④卵や種子から育ててみよう
主旨や卵から植物や昆虫を育て、成体までの
期間、形態や色合いの変化に加え、植物では
分枝状態や土湿の要求度など、生物では隠れ
処や食べ物の選択性などをスケッチや写真・
メモなどに残し見分ける力を五感で体得する。
セミの抜け殻の見分け方
形態や抜け殻が見つかった環境が見分けるポイ
ント。アブラゼミやクマゼは樹林が少ない市街
地でも生息。ニイニイゼミは関東以北では平地
に生息せず低山地の樹林に限定
トンボの見分け方
クロスジンヤンマ、カトリヤンマ、シオヤトン
ボ、マユタテアカネ、リスアカネなどは、丘陵
地の水辺や湿地に多いクロスジギンヤンマ、シ
オヤトンボなどは春期~夏期に出現するなど、
形態に加え発見した生息環境や時期がポイント
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