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さらっと考察してきているが、実地体験する
と一連の作業での体力は思った以上に消耗す
るので、継続は力なりを文字通りとするなら
時間をじっくりとかけ、体力の七分目程度の
ペースで作業を進めるのがコツだろう思って
いる(山仕事は大変だ)。
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(4)雑木林の設計・施工と育成管理
❶ 共通事項
1)歩行ルート決定
● どのように設置するのか?
緩傾斜地ではルートに沿って現地発生の間伐
材などの丸太を敷き歩行ルートとする。幅は、
最低1人が歩ける程度とする。急傾斜地では、
現地発生の間伐材で階段を設置する。このル
ートは、現地崎本や間伐材、刈屑などの搬出
といった修復段階だけでなく、管理、観察用
ルートにもなる。
● 丸太は効果を発揮する!
林地に加わる踏圧の力が丸太全体に分散され、
踏み固めを軽減する。丸太は、土面を被覆す
るため、雨水による歩行ルートの洗掘や泥地
化を抑え、林地保全に効果を発揮する。歩行
による斜面の損傷を避けるため、傾斜地では
間伐材による階段、沼地を渡る歩行路には間
伐材を使い木橋を作る。
(2)生態的刈払い
● なぜ生態的刈払いを行うのか?
植生の誘導や更新、希少種や対象とする野生
車花、花木を育成するために行う。また、サ
サ類や低木類の繁茂を抑制し、野生草花が混
生する土手や雑本林の林床、溜池における水
際の植生を形成するためには、年1~22回、
定期的なメu払いを継続する。
● 実施方針
希少種、育成対象植物はピンポールやビニテ
ープなどでマーキングする。また、選択的刈
払いでは、育成する希少在、野草、花木を誤
って刈払わないように、慣れるまでは現地で
植物を判別しながら手刈りする。移動力に乏
しい生物に配慮し、一度に多人数で対象地全
面を刈払わないこと。少人数で何回かに分け
て行う。さらに市民参加で行う際には、入門
段階では安全上の理由から、鎌や剪定ハサミ
で刈払いを行う。
● 草刈り強使用上の注意
ヘビやカエル、オサムシなど、地表性生物に
対し高速で回転する刃で損傷を加えないよう
に、事前にこれらの生物を作業に囲から追い
払い、ゆつくり作業を進める。刃の接触によ
る不意のケガを避けるため、刈払い機を運転
する参加者どうしの間に4m以上の距離をと
り、使用方法に対する事前打ち合わせや安全
対策を充分に行う。やわらかい草本にはポリ
プロピレン製の紐状の刃、茎や幹が堅いスス
キや低木類にはノコ状の刃を刈払機に着装す
る。
(3)刈り屑、落ち葉の搔き集め方
● 目的
雑木林構成種の種子は、多くが発芽に光が必
要。実生が根系を展開し土壌の水分や養分を
吸収するためには、粒子が上壌面に着地して
いる必要がある。落葉落枝が堆積すると、下
層にある穂子に光が当たらず発芽が進まない。
堆積した落ち葉の間に挟まった種子は、雨水
により水分が供給され発芽しても、根系が土
壌に達せず枯死してしまう。定期的な落ち葉
搔きは、林床の種子に光を当て、実生が根茎
を仲張する発芽床を育成する。
● 方法
竹製の熊手を使用する。金属製の熊手やレー
キは林床の表面や野車の実生に損傷を加えや
すい。地表性の生物や野生草花の生育場所を
避けながら、軽くかき集める。その際、埋土
種子が多く、多年生植物の根茎が仲張し土壌
生物が最も多い表層部をかきえぐらないように
する。落ち葉掻きの適期は秋の落葉後。この時
期に行うのは、落葉が落ちてすぐなので、軽くか
き集めやすく、カタクリなどに寄生し生育を阻害
するサビ菌を除去するためである。
(4) 枝打ち・蔓切り
●目的:太陽光を入射させ低木層や草本層に
おける育成植物の成長を促す。また、カブト
ムシやクワガタムシ、オオムラサキなどの大
型昆虫類をはじめ、エナガやヤマドリなどの
鳥類が、樹冠の隙間や林内を飛び交えるよう
にするために実施する。
●程度:樹高7~ 8mの立木では、樹冠から下
の樹幹の高さが3~ 4m前後になるまで枝打ち
を実施する。枝打ちを施しても、切り日から
新芽が形成され「ひこ生え」が発生する。こ
れらについては、切り口に樹皮が展開して新
芽が発生しなくなるまで、下刈りを行う際な
どに、適宜、切り取る。
●方法:安全を考慮し樹幹にハシゴが固定で
きる林業や造園用梯子を使用し、転落防止に
は充分に注意する。全体の樹形を考慮し、幹
と枝の接合部から切る。枝を切るためにはよ
く切れる手鋸やナタ、剪定バサミを使用する。
●二次的効果:コナラやクスギなどの樹種で
は、枝の切り口に傷日が残ると、そこから樹
液がしみ出し、カブトムシやクワガタムシ類
などの餌場になる。傷は、大小があってもか
まわない。傷口の大きさにより樹波に集まる
昆虫類が共なり、逆に多くの種類の餌場を形
成する。
(5) 間伐
● 目的
林内に達する太陽光を増加させ、低木層の花木
や草本層の野生草花、山莱、薬草などの増殖、
昆虫類や鳥類が森林内に進入しやすくするなど、
目的に沿ったさまざまな効果がある。
● 安全対策
伐倒作業は危険である。安全靴を履き、ヘルメ
ットを着用すること。市民参加で実施する場合に
は、できるだけノコギリにより作業を行う方が安
全である。チェーンソーを使用する場合には、専
門家の指導を必ず受ける。樹高10m以上の大木
の間伐は、専門家に依頼することが望まれる。
● 間伐樹種選定
間伐木の選定に際しては、競争に負けた被圧
木、枯木を優先する。外来種のニセアカシア
やニワウルシなどが侵入している場合には、
優先的に間伐本とする。対象木についてスプ
レーやテープなどによリマーキングを施す。
● 間伐作業
伐倒方向の決定に際しては、作業者の安全を
第一に施設などの位置を目視し、幹が倒れて
も支障ない位置を選定する。伐倒に先立ち、
作業開始時に現場関係者どうしで安全確認を
行う。まず、伐倒木の構冠が育成木に寄りか
かって損傷を加え、伐倒木の樹冠の枝葉が育
成木の枝栄に絡んでFlれにくくなるのを避け
るため、枝打ちを行う。林業ハシゴを立木に
立て、下から順に枝を切り落とし、絡まった
ツルを取り除く。ハシゴ上での作業には安全
上、ノコギリの使用を勧める。
●受け口:伐倒する側にノコやナタで幹の大
きの1/3~ 1/4、角度30°~ 45°の切れ込み
をつくる。受け口がないと、伐倒方向が不安
定になり、本の重さでノコが切口に挟まって
作業ができなくなる。
●伐倒:ノコギリやチェーンソーで受け日の
真反対側の少し上側から切り込み伐倒。幹直
径の1/10租度切り残した段階で作業を止め、
伐倒方向にゆっくり押し倒す。押し倒す際、
切り口からの跳ね返りがあるため作業者の身
体に接触しないよう充分に注意する。
(6)萌芽更新
雑木林の若返りを図り、生物多様性を育成し、
林齢の異なる多様な環境構造を形成するため
に実施。立木伐採は区画を定め、全伐とする。
方法は間伐作業に準じる。
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(7)雪起こし
●根返り:多雪地の斜面に生育する樹高4~5
m前後までの若い雑木林では、間伐後に周囲
の支え木がなくなり、斜両上方からの積雪の
移動圧により根返りを起こし倒伏することが
ある。
●対策:雪解け直後、根系が伸張を開始し、
新芽が展開する前に雪起こし対策を実施する。
使用する縄は、葉組やシユロ縄など自然腐朽
する材料とする。縄を取り付けるときの引っ
張りの程度は、立木は自力で立つ力があるた
め、地面に対し直角になる程度で充分。
(8)堆肥場、間伐材置き場
● なぜ堆肥場や間伐材置き場などを設けるのか
山と人や生物、植物との有機物の循環を進め
るために設置する。
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● 堆肥場や間伐材置き場などを設置する環境条件
出水の影響を受けない下刈りされた半日陰地
がよい。落ち葉の腐植化とカブトムシなど甲
虫類の産卵や幼虫の生息地、両生 爬虫類の
生息地にするためには、温湿度に変化が少な
く水はけのよい北向きの斜面下部を選定する。
この条件がない場合は、西日や直射日光の入
らない水はけの良い凹地を選ぶ。
● 堆肥場、間伐材置き場の作り方と循環利用方法
枝打ち屑、間伐材、刈屑、落葉落枝は、それ
ぞれ別々に搬出し、活用しやすいように仕分
けして、別々に世き場を決める。
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間伐材:持ち運びができるよう、0.5~1m前
後に玉切りし、崩れないように積み上げる。
落業落枝、小枝を堆肥化するには、間伐材と
刈取った低木類を粗柔にして木枠をつくり、
高さ1m前後まで積み上げる。積み上げた落
葉落枝に腐熟を進める酸素を送り込むため、
カブトムンなどの幼虫へのへの損傷が少ない
繰り返す。適期は、1世代1年であるカプト
ムシの成虫が羽化し幼虫がいない7月中下旬
である。
❷ 雑木林の設計・施工と育成管理
対象地が持つポテンシャルを最大限活用する。
初期施工と、その後の育成管理段階で必要な
設計 施工がある。大半の雑木林は密生状態
に放置されており、初期施行工に労力を要す
ることが多い。作業は人力によることが多く、
人員などの面から維続して育成管理できる面
積を充分に検討する。
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