すばるに恋して∞に堕ちて

新たに。また1から始めてみようかと。

STORY.31 約束

2009-11-04 08:06:31 | 小説
言い訳、します。

深夜の妄想です。

新曲のカップリングになってる2曲めと3曲めを聴いてるうちに、
浮かんでしまったとあるフレーズを使いたくて、

一晩で一気に書き上げていました。

日をおくと、恥ずかしさに書き直したくなるので、
さしたる手直しもせずに、UPさせます。

こんな恋を、彼が選択するとは思わないけれど、

彼と恋をしたら、こんな夜もあるのかもしれない、と、
思いつつ、
ここで、彼に不器用なほど愛される女性になってみたくて仕方ない私です。


お付き合いくださる方は、続きからお願いします。

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STORY.31  約束





ふたつの鼓動が重なる。

静寂に吐息がこぼれて、鮮やかな華が咲く。

闇が揺れて、軋む。


深く淀んだ澱の中から、這い上がろうとする獣。


吸いつくように形を変える、
白く柔らかなぬくもりの奥に潜む、怯えた獲物。


湿った風が、吹き抜ける。


「イヤ、こんなのは、イヤ・・・」

うわごとのように繰り返しこぼれる言葉とはうらはらに、
次第に熱さを増していく身体が、
俺を受け入れる。

濡れていく、
溢れていく、

互いに抱えた、せつないまでの激流。

わかってる。
わかってんねん。

こんなことに、なんの意味もないってことくらい。

せやけど、

こうすること以外、
彼女に、俺の想いを伝えるすべが見つからんのも、事実やから。

千のプレゼントより、
万の言葉より、

たった一回、肌を合わせることで伝わるもの。


そばにいたい。
そばにおってやりたい。

それが許されるなら、
こんなにも、愚かな炎に身を焼きつくすこともなかったんやな。

身勝手な、
子供じみた、
俺のわがままの果てを、

彼女は、
それでも受け入れてくれた。


俺だけの女性には、なられへん。


たったひとつの、小さな制約。

大きすぎる代償を支払ってまで、俺には溺れられへんという彼女を、
それでも、
こんなにも欲してる自分に、腹がたつ。

女やったら、どこにでもおるのに。

言い寄ってくる、
求められる、
一晩だけの、
欲望を処理するだけの、そんな関係やったら、
ラクやったのに。

どこで間違えた?
どこからやり直したら、ええ?

俺の腕の中で啼く彼女が、こんなにも愛しいのに、
なんで、
泣かすことしか出来へんねん。

間違えたんは、俺か?
彼女か?

その答えは、どこにあるん?

いや・・・
どこにもない答えを、俺はいつまで探して歩くんや?



蒼い炎が、俺の中で、燃え盛る。

冷たくて、
熱い。

熱いほどに、冷たい。

炎にさらされて、硬く己を誇示し始めるモノの行きつく先は、
どこにあんねん。

「きて・・・」

かすかに、でも確かに、
俺自身を呼ぶ声。

満たされぬ思いを、ひとときの快楽で埋めようとする彼女の、
その姿が、いじらしい。

誰かの代わりだと知って、
それでもいいと覚悟して、

俺は彼女を手に入れた。

そうしてまで、この身に欲しいと望んだ女やから。

やがて、いつか、終わりは来るんかもしれん。

彼女が望むものが、彼女の手に戻ることやってあるだろう。
唐突に、俺の気が変わることやって、あるやもしれん。

せやけど、今は、
今、この時間だけは、

ここに彼女を抱きしめて、離したくなくて、
俺だけを見てて欲しくて、
求めて欲しくて。


力まかせに抱く以外の方法があるんやったら、
誰か、俺に、教えてくれ!!


闇が悲鳴をあげる。

彼女の爪が俺の背中に、突き刺さり、
紅くにじんだ痛みが、さらに俺を高みへいざなう。

彼女に訪れる恍惚の刹那。
解き放つように、銀の閃光が俺を突き抜けていく。

この一瞬、
この一瞬だけが、

俺と彼女に与えられた、至福の刻。


ええわ。
ほかに、なんもなくても。

普通の恋人同士やったら、あたりまえの風景、

たとえば、
輝く空も、木々も、
甘い夢も、
限りない時間も、
未来さえも引き換えにしたって、ええ。


ここに、
この腕に彼女を。

この一瞬を、約束させてくれ。





FIN.




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